これからは、高度成長時代やバブル時代のつけを全国民が税金で払うことになりそうである。つまり、一部の無責任な馬鹿の尻ぬぐいである。
(以下引用)
廃虚となった巨大観音像、なぜかオーナーは国…「税金」9億円かけて異例の解体工事中
■相続放棄の果てに
大阪湾を望む淡路島の丘陵地に立つ「世界平和大観音像」。解体用の足場に囲まれた外観はタワーマンションのようだ。工事は今月から本格化する。外壁を撤去し、内側の鉄骨部分は頭部から順に切断してクレーンで地上に下ろす。6月頃には姿を消す予定だ。
観音像は地元の実業家の男性が1982年に建てた。内部に展望台や博物館があり、開業当初こそ観光客でにぎわったが、次第に寂れ、88年には男性が死亡。引き継いだ妻も亡くなり、2006年に閉鎖された。
遺族は相続を放棄し廃虚化が進行。外壁はひび割れ、一部がはがれ落ちるなどした。国は相続人がいない土地や建物は国庫に帰属するとの民法の規定を踏まえ、20年3月に国有化して解体を決めた。費用は約8億8000万円に上る。財務省によると、1億円以上かけて建物を解体するのは極めて異例という。
■解体に及び腰
老朽施設を撤去する責任は、まずは所有者にある。ただし、倒壊の恐れなど周囲に危険を及ぼす建物は、自治体が空家対策特別措置法に基づき行政代執行で強制撤去できる。費用も所有者から回収できるが、実際は難しいのが現状だ。
淡路市は観音像の所有者の遺族側に対応を求めてきたが、行政代執行については「巨額の公費支出に住民の反発が予想され、具体的な検討は進まなかった」(担当者)と打ち明ける。
栃木県日光市の鬼怒川温泉に立つ3棟の廃虚化したホテルも同様だ。いずれも所有者が不明だったり、権利関係が複雑だったりして、管理者は不在。景観を損ない、防犯上の問題も懸念されるが、解体費は3棟で計約40億円かかり、市は撤去に難色を示している。
北海道平取町の山の斜面に立つ<UFO観測基地>も崩落の危機にある。1960年代にレジャー会社がピラミッド形の神殿などを建設。観光施設として人気を呼んだが、70年代に閉鎖後、施設は町に寄贈され、一時は自然公園として利用されたが20年近く放置状態となっている。町は「施設の再利用に向けて協議することになっているが、仮に解体することになれば、町の財政では難しい」とする。
■再生例も
成功例もある。広島県尾道市はJR尾道駅北側に建てられ、90年代に閉館した私設博物館(高さ約27メートル)を2020年に解体した。天守閣を模した外観で<尾道城>と名付けられたが、しゃちほこが落下するなど危険性が指摘されたためだ。
観光名所の千光寺公園にある利点を生かし、跡地は尾道水道を望める展望台に生まれ変わった。整備費約2億円のうち約9000万円は、地域活性化事業が対象の国の補助金を活用できたという。市の担当者は「国の補助に助けられた」と話す。
■自治体は財源捻出に工夫を
土居丈朗・慶応大教授(財政学)の話「今後も同様の問題は増えることが予想される。あくまで所有者が撤去するのが大前提だ。ただし、地方自治体は倒壊リスクを訴え、災害時などに交付される特別交付税を申請するといった工夫を凝らすべきだ。国は国民に広く浅く負担してもらい、それを財源に撤去費用を積み立てる保険制度のようなものを考えたほうがよい」
【写真】解体に向け、足場で覆われた観音像(13日、兵庫県淡路市で、読売ヘリから)=里見研撮影