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色即是空 空即是色

「紙屋研究所」の過去記事の一節だが、私は「色即是空 空即是色」を唯心論的に解釈している。
まあ、唯心論的とは大げさだが、要するに、世界は解釈する者の心次第である、ということだ。

「色」はあらゆる現象を意味している、と定義しておくと、「色即是空」というのは、解釈する者が存在しなければ、解釈する者の視点による認識も存在せず、つまりある意味では世界も存在しないという意味になる。しかし、事実の上からは、解釈する者、たとえばあなたや私がいなくても、この世界はちゃんと存在している、ということは、私やあなた以外の誰かが死んだ後でも世界が存在していることから確認できる。言い方を変えれば、誰かが死んだ時に消滅するのは、その誰かの世界であり、他の人の世界ではない、ということだ。その意味では個人の死はひとつの世界の死ではある。で、現世に生きて理屈や感情に囚われた現在の自分ではなく、この世界を「死者の目」で眺めてみると、この世界は、自分が存在しないにも関わらず、何一つ変わらないままで美しく素晴らしい。これが「空即是色」である。
そのように、自分がいなかった場合の世界を思考実験的に眺めることが「諸法空相」である。空観によって世界の現象やそのメカニズムを眺めるということだ。そうして眺めたら、それは「不生不滅 不垢不浄 不増不減」である。私自身が存在しないのだから、汚いもきれいも生まれるも滅するも増えるも減るも無意味になる、ということだ。つまり、あらゆる「人間的な価値観」はたいした意味は無い、と分かる。従って、「是故空中無色 無受想行色 無眼鼻耳舌身意 無色声香味触法」となる。(このあたりの経文はうろ覚えである。)

まあ、いずれにしても、「般若心経」というのは、この世界の四苦八苦に絶望した人間に対し、「お前は死にたいか。お前が苦しいのはお前が存在するからだ。では、お前が存在しない世界を想像し、それを無心に眺めてみろ。世界はお前が存在しなくても素晴らしい。それが感じられないのはお前が苦しんでいるからだ。だが、その苦しみのほとんどは、それを苦しみだとしか認識しない、お前の心のためではないのか」と説いているように思う。

まあ、簡単に言えば、物事の感じ方はすべてその人の心次第、という単純な話だ、と私は解釈する。

(以下引用)

 ぼくがはじめて般若心経の口語訳を読んだのは大学時代で、岩波文庫の中村元訳である。
 このお経の、もっとも本質的な部分であり、いちばん有名な部分、
 色不異空、空不異色。
 色即是空、空是即色。
は、つぎのような訳になっている。
「物質的現象には実体がないのであり、実体がないからこそ物質的現象で(あり得るので)ある」
 なんとなく、むずかしそうなことをいっているように聞こえる。
 清水義範の小説も、基本的に、この中村訳の影響を出ていない。

 ぼくも、はじめの「色不異空……」という音読みよりははるかにわかりやすくなったから、なんとなくそういう解釈をしていたのだけど、よく考えると意味不明といえなくもない。
 実体のない物質的現象なんてないだろう。

 このギモンをといてくれたのが、橋本左内『牧師が読む般若心経』(白石書店)だった。
 橋本氏は平和運動などをしているキリスト教の牧師で、マルクス主義にも理解がふかい。
 彼の訳と解説によって、ぼくのギモンは氷解した。
「形あるすべてのものは、形ないすべてのものへと消えて存在しており、
 形ないすべてのものは、形あるすべてのものへと現れて存在します」
 つまり、これは古代の弁証法的な自然観のひとつで、たとえば、植物が種から成長し、やがて木になり、最後には朽ち果てて、土となりながらまたその土壌が別の生命をはぐくむという、姿は、おそらくこのような自然観を形成したにちがいなかろうとおもう。
 人間は、つい、その変化や発展の瞬間を切り取って、そこに固執ししてしまう(たとえば、植物の花がさいている状態だけを植物の姿だと思ってしまうように)のだが、この般若心経は、そうした自然や社会、人間の意識のたえまない変転の全体をとらえろという智慧にみちている。
 「これだ」といって、固定できるような形がないこと、これが「空」という意味なのである。
 カラッポとか、無とか、という意味ではない。

 全編こんな調子で、ぼくにはこの唯物論的な解釈に、ものすごく合点がいった。

 仏教とは、もともとこんなかんじで、なにか超越的な神の力というものをおがんで解決するといったところがないもののような気がする。自然や社会の法則をしって、それにそった生き方をすることで解放されるのだ、という教えだから、ぼくは、極端な話、仏教とは無神論ではないかと思う。




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酔生夢人
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仙人
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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