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天国の鍵18

その十八 妖怪の寺

「おお、明かりだ。人がすんでいるぞ」
ピエールがよろこびの声をあげました。
 四人は、馬と驢馬は引いて、闇の中をつまずいたりころんだりしながらすすみます。
 やがて、その明かりが目の前に近づきました。どうやら、家の窓のようですが、お寺のようです。
塀(へい)にかこまれた門から入って、寺の玄関にたどりつきましたが、たてものの中はほとんど明かりがありません。
「ごめんください」
 大声でピエールが呼ぶと、奥から「どなたじゃな、こんな夜おそく」と声がかえってきました。
 出てきたのは、ずいぶん年をとったお坊さんです。頭はつるつるで、長い真っ白なあごひげをはやしています。
「すみません。旅の者ですが、こんばん一晩(ひとばん)ここにとめてもらえませんか」
「そうか。今からよそに行けというわけにもいくまい。夜着などはないが、そのへんでねむるだけならいいじゃろう」
「ありがとうございます」
ピエールは礼を言いました。
 お坊さんがひきさがると、アリーナが言いました。
「なんかへんだぜ、あの坊さん」
「どこが?」
ピエールが問い返すと、
「いやになまぐさいにおいがしたんだ。生肉か、血のにおいだ」
「晩飯でも食っていたんだろう」
「あんた、グリセリードの人間じゃないからわからないのかもしれないけど、ここはブダオ教の寺だ。ブダオ教では肉食はきびしくいましめられているんだ」
「この子の言うとおりよ。私もいやなにおいを感じた」
 ヤクシーの言葉に、ピエールは考えこみ、「たしかめてみよう」と言いました。
「みんなでいきましょう」
 ヤクシーの言葉で、四人はこっそり足をしのばせて、寺の奥に近づいていきました。
 奥の部屋から明かりがもれています。
 先頭のピエールが部屋をのぞきこむと、中ではなんと、先ほどの坊さんが、口から血をしたたらせながら、生き物の死体をむさぼり食っているではありませんか。
 ピエールはぞっとして、後ろの三人をふりむいて小さい声で言いました。
「アリーナの勘(かん)が当たった。あの坊さんも化け物だ」

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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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