インスリンの働きを保ち、血糖値を上げないためには?

では、インスリンを出す力を守りつつ、血糖値を上げすぎないことを両立するには、どのような食事をしたらいいのでしょう。


ポイントは、“甘い飲み物はやめて、主食は食べること”です。


まず、甘い飲み物について説明します。甘い飲み物は糖質の吸収スピードが速く、血糖値を急激に上昇させます。すると、インスリンの分泌力が弱い日本人は、血糖値を速やかに下げることが難しく、血糖値が高い状態が続き、糖尿病のリスクが上がります。


野菜ジュースや乳酸菌飲料、ビネガードリンクのように健康効果を謳った商品や、疲労回復や集中したいときに飲むエナジードリンクなど、甘い飲み物の種類はたくさんありますが、“血糖値を急激に上げる”ことに変わりありません。過剰なエネルギー摂取は太りやすくもなります。糖尿病だけに限ったことではなく、健康維持のために甘い飲み物はやめるのがベストです。飲み物は水、お茶、ブラックコーヒーにしましょう。野菜ジュースを減らしてビタミン摂取が減るのが心配ならば、食後にみかん1個食べるほうがよいでしょう。


次に、主食についてです。食事から主食を抜いてはいけません。ご飯などの炭水化物が多い食品には糖質だけでなく、食物繊維が含まれます。食物繊維は血糖値を安定させる重要な成分。食物繊維は消化されにくいため、胃の中に長くとどまるので満腹感が長く続き、食べすぎを防ぐ効果も期待できます。また、そもそも糖質は活動をするエネルギーとなる重要な栄養素です。とり過ぎることが問題なのであって、食べてはいけないわけでは決してありません。なお、運動習慣のない体重60kgの方の場合、1食のご飯の目安はお茶碗1杯150gほどです。


糖質制限ブームの影響もあってか、昨今糖質量ばかりが注目されがちですが、穀類には糖質以外に食物繊維のほか、さまざまな栄養素が含まれていることを忘れないでください。いっぽうで、ジュースは“糖質の塊”。水に溶けて体に吸収されやすくなっているので、血糖値への影響は甚大です。同じ糖質と一括りにして考えてはいけないのです。