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「魔群の狂宴」の背後関係

まあ、「悪霊」の換骨奪胎なのだが、日本を舞台にする都合上の問題などもあるので、脚本を書くために「脚本の背後関係」を考えてみたわけだ。須田清隆のモデルの黒田清隆はスムースに脚本に適合しそうだが、柳原白蓮関係まで入れるのは無理なようだ。

銀三郎は東京帝大在学中に社会主義に関心を持ち、その研究会に入っていた。
その時のメンバーが、佐藤富士夫、桐井六郎、佐藤(当時は別姓)鱒江、外部メンバーが兵頭栄三である。鱒江は富士夫の恋人だったが、新たに研究会に入った銀三郎に激しく恋をし、富士夫を捨てる。銀三郎は鱒江を連れて海外留学をする。だが、帰国直前、鱒江(妊娠している)を不良仲間の外国人に与え、捨てる。物語の冒頭部分は、その銀三郎の帰国を待つ郷里(北海道)の上流社会の話。
銀三郎が幼い少女を強姦するのは、海外留学中のこと。留学先の不良仲間の娘である。(下宿先の娘でもいい。そのほうが、マリリン・モンロー的な悲哀感があるか。名前も「ノーマ」とする。)
銀三郎の父親は北海道開拓使長官、須田清隆。ただし、ほとんど東京に在住していた。清隆の死後、(夫の不快な記憶を忘れるため)妻の須田夫人が札幌に住居を買って住むようになった。息子の銀三郎は学習院への通学の都合上、東京に残していたので、彼が休暇を過ごしに北海道に来る以外はほとんど会う機会がない。須田夫人の北海道在住のつれづれを慰めていたのが鳥居教授で、あわよくば須田夫人の後夫になる野心もあったが、ついに恋仲になることはなかった。
須田夫人の友人が岩野夫人で、その娘の理伊子は中学生のころに夏季休暇で来た銀三郎を一目見て以来、彼に恋している。
須田夫人の使用人の息子が佐藤富士夫、その妹が菊で、菊が気に入った須田夫人は菊を養女にするが、養女とは言っても下女的な地位である。菊にとって銀三郎は主人的存在で、恋心の対象でもある。
銀三郎は父清隆の荒淫を嫌悪していたため、成熟した女性全体を嫌うところがある。性行為を獣的行為として嫌悪しながら性欲はあるため、ペドフィリア的傾向を持つ。十歳の時に父親の妾に誘惑されたのが彼の初体験。その妾は、泥酔した清隆に日本刀で斬殺される。その現場を銀三郎は目撃する。
銀三郎は、知力・体力・財力・美貌と、すべてに完璧なので、周囲の人々から常に敬意を受けてきた。しかし、何もやりたいことが無いので、大学在学中には社会改革を考え、社会主義研究会などに入ったりしたが、べつに貧しい人や不幸な人への深い同情心も無いので、中途で関心を失っている。しかし、議論ができる程度の知識はある。
あまりにすべてに恵まれているので、銀三郎は「自分にできないこと」をあえてやる傾向があり、その表れが、不良仲間、賭博仲間の田端退役大尉(実は上等兵どまり)の妹、麻里江との結婚である。少し頭の狂っている女で、足がびっこである彼女と結婚できるか、と田端に挑まれ、面白いと受けて立ったのが結婚のいきさつ。ただし、このことは田端と銀三郎しか知らない。北海道に来た銀三郎の後を追うように田端が妹を連れて北海道に来たのは、当然、銀三郎からカネをゆするためだが、いざとなれば銀三郎は彼を平然と殺すだろうと恐れてもいる。なお、銀三郎は麻里江と結婚したが体の関係は持っておらず、麻里江は処女のままである。しかし、結婚したらしいという曖昧な記憶があるため、子供を産んだ妄想を持っている。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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