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「女か虎か」(3)



さて、この物語のポイントはここである。扉から出てきたのは虎だっただろうか、それとも女だっただろうか?



 



この問いかけを熟考すればするほど、答えるのは難しくなる。この問題は人間の心についての研究題目を含んでおり、それは様々な情熱の混迷の中に我々を導いて、そこから抜けだすことを困難にさせる。賢明な読者よ、お考えいただきたい。この問いかけの決定はあなた自身が下すのではなく、あの熱い血を持った、半野蛮な王女にかかっているのである。彼女の魂は絶望と嫉妬の白い炎に焼かれている。彼女は彼を失った。だが、誰が彼を得るのか?



いかにしばしば彼女はその覚醒と眠りの中で、激しい恐怖に襲われ、我が手で顔をおおっただろう。彼女の恋人がもう一つの扉を開け、そこに残酷な虎の歯が待っていることを想像して! 



しかし、どれほど、よりしばしば彼女は、彼がもう一方の扉を開けることを夢に見ただろう! 彼女の恐ろしい夢の中で、女のいる扉を開けた時の彼の喜びの驚きを見て、彼女はどれほど自分の髪を掻き毟ったことだろう! どれほど彼女の魂は激しい苦痛に焼かれたことだろうか。……明るい頬と勝利に輝く目の女に向かって彼は駆け寄り、彼女を前に導く。彼の体全体は回復された生の喜びに満たされる。王女の耳は観衆の楽しげな叫び声と、幸福の鐘が荒々しく鳴り渡るのを聞く。僧侶が楽しげな一団を引き連れて前に進み出て、彼女のまさにその目の前で闘技場の中の二人を夫と妻にする。花の撒き散らされた小道を通り、観衆の喜びの声に送られて幸せな二人は闘技場を出て行く。その歓喜の声の中で、彼女のたった一つの悲鳴は搔き消され、呑み込まれる。

 

彼にとっては、即座に死んで、祝福された半野蛮な来世で彼女を待つ方がよいのではないだろうか?



だがしかし、あの恐ろしい虎、その叫び声、あの血!



彼女の決定は即座に示されたが、しかしそれは幾つもの昼と夜を経た恐ろしい熟考の中で作られたものである。彼女は自分が尋ねられるということを知っていた。彼女は自分がどう答えるかも知っていた。そして、ほんの少しもためらうことなく、彼女は手を上げて右の方を指したのであった。



彼女の決定についてのこの質問は軽々しく考えられるべきものではないし、私自身がそれに答えうる唯一の人間だとも主張する気はない。そこで、私はその答えの判断をあなた方に残すことにしよう。開いた扉から出てきたのはどちらだろう。女か、それとも虎か?



 



 



 



 



 



 



               「女か虎か」完



 



 



 



 



 



*話はこれですべて終わりである。「女か、虎か?」という問いに答えるのは読者であるあなたである。このように、話の結論を謎のままに残す話をリドルストーリーと言うが、この「女か虎か」は、その中でもっとも高名なものであり、リドルストーリーの代名詞のようなものだ。しかし、案外と誰も話自体を読んではいないはずだから、ここで掲載したわけである。どうだっただろうか。



 


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HN:
酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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