忍者ブログ

政府とは嘘をつくものだ

「マスコミに載らない海外記事」の4月19日記事全文を転載する。
何の説明もいらないだろう。「政府とは嘘をつくものだ」の一言がすべてである。アメリカも日本もどこの国も同じことだ。その政府の広報や政府の指示を受けたマスコミを信じる人間は、「風が吹くとき」のあの老夫婦のように死の灰の中で死んでいくことになる。
ついでながら、山崎行太郎は、この「政府とは嘘をつくものだ」を政府として当然の行為であり、「大本営発表」は当然だと発言している。

(以下引用)


2011年4月19日 (火)
O・J・シンプソン-プルトニウムファイル、そしてチェルノブイリ極秘
オトモダチの国のクリントン国務長官、韓国からの帰路、わざわざお寄り下さったが、早々と帰国された。TPP実施への念押しにこられたのだろうか。さすが、プルトニウムの恐ろしさ、原子炉事故の恐ろしさ、充分ご存じなのだ。

ご主人クリントン氏が大統領だった時に、アメリカが総力をあげ、長年にわたり、プルトニウムも使った大規模人体実験をしていたことが暴露されていたのだから。

トモダチ作戦でつめかけた特殊部隊の皆様も、工程表が公表されたので、めでたく早々ご帰国される。

『アルバカーキ・トリビューン』の記者アイリーン・ウェルサムがスクープ記事を書いた。彼女は、のちに『プルトニウム・ファイルズ』(邦題は『プルトニウム・ファイル』上・下、翔泳社、2000年8月1日刊、各1600円)にまとめた。



アイリーン・ウェルサム、この報道で、九四年のピユーリツァー賞を受賞している。

クリントン政権時代のエネルギー省長官、ヘイゼル・オリアリーが、軍部他の体制派勢力に真っ向から挑戦したことで、情報公開が進んだのだ。クリントンの指揮下で、調査委員会も設置され、一応、調査報告書も発表されている。調査報告書の発表に際しては、クリントン大統領、声明も出している。

ナチスや、日本の731部隊の人体実験と比較しても、決して劣らない恐るべき実験。読んでいて、いやになる。

多数のアメリカ人に、プルトニウムを注射したり、囚人の睾丸に放射線を浴びせたり、あるいは多くの兵士に原爆・水爆の爆発を見学させ、死の灰を浴びせ、実験したのだ。プルトニウムを注射した被験者の墓場まで暴き、骨を収集した。

これだけ長期間、大人数の自国民を犠牲にして平気な支配層なら、9/11も仕組む可能性も大きかろうと、勝手に納得してしまう。

しかし、それほどの大変な秘密実験に関するこの翻訳書、全くみかけない。そもそも、本国でも絶版か品切れのようだ。これも不思議ではないだろうか。

恥ずかしながら、こうしたスクープ、当時全く知らなかった。しかし、それには、見事な煙幕があったのだ。たしか、日本でも、マスコミという組織、しつこく報道していたのではないだろうか?どうして、どうでも良い選手の殺人事件裁判ばかり報道するのか、奇妙に思った記憶はあるのだが。

本書、四五章にこういう記述がある。

(大統領の謝罪から)二時間後のロサンゼルスで、評決を手にした陪審団が法廷に戻ってきた。フットボール界の星、0・J・シンプソンの殺人容疑の評決だ。無罪と決まってマスコミは蜂の巣をつついたように騒ぐ。ずっと重大な罪を語ったクリントンの言葉など、夕方のニュースにちょっと流れ、新聞もおざなりに書いただけ。そんな陽動作戦に救われようとは、マンハッタン計画の医師のいったい誰が予想しただろう?

また、本書の訳者あとがき(279-280ページ)にも、こうある。

いろいろ忙しいマスコミも、クリントン大統領の謝罪から二時間後に出た0・J・シンプソンの無罪評決のほうを華々しくとり上げます(四五章)。

エミー・グッドマンのデモクラシー・ナウ 2004年5月5日でも、このタイミングについて触れている。以下の該当部分だけ翻訳してみた。

プルトニウム・ファイルズ: アメリカは、どのようにして、何千人ものアメリカ人に、秘密裏に放射性物質を与えていたか

エミー・グッドマン: アイリーン・ウェルサムさんとお話しています。彼女の連載記事はアルバカーキ・トリビューン紙に掲載され、彼女は記事を、著書プルトニウム・ファイルズにまとめました。あなたの暴露記事はクリントン政権時代のことでしたね。クリントン大統領が放射能人体実験諮問委員会を設置し、それが放射能実験計画を徹底的に調べました。実に注目すべきことに、報告書、最終報告書は、1995年10月3日、O.J. シンプソン裁判の判決と同じ日に発表されました。結果が報道されたのを見た記憶が私はありません。

アイリーン・ウェルサム: 実に残念なことでした。アメリカでは、誰もがO.J. シンプソン問題に、気を取られていたので

エミー・グッドマン:うまくタイミングをあわせたのかも知れませんね? 毎日、皆シンプソンの判決を待っていたので、政府委員会だって、国民の注目が他を向いていたこと位は当然わかっていたでしょうから。

アイリーン・ウェルサム: それは考えていませんでした。エミーさん。それは単なる可能性ですよ。

属国の権力とマスコミがグルなのは、宗主国の実態の反映なのだろう。

プルトニウムファイル 下巻 31ページに、官房長官の常套句のような表現がある。

志願兵が今の許容値以上の被曝を受けたとき、ただちに悪影響が出ないとしても、いずれ死者や病人が出るかもしれない。そうなると国を相手どった訴訟が起き、まずい世論が生まれてしまう。

 案の定そうなった。ネヴァダや太平洋の演習に駆り出された兵士は、除隊のあと発疹、水ぶくれ、アレルギーなどに見舞われ、今なおそれが続いている。髪や歯が抜け、吐き気に苦しむ退役軍人が多い。細胞が傷つき、数十年後にがんを発症した人もいる。放射能で遺伝子が冒され、子や孫にさまざまな病気が出たケースも多い。

ちなみに、「ただちに悪影響が出ないとしても」、原文は以下の通り。

may not produce immediate deleterious effects

多くの方々が、この話題、以前からとりあげておられる。

米の放射能人体実験 次々崩れた機密の壁 地方紙記者が追跡6年 1994年2月1日朝日新聞

なんと、授業でとりあげる大学もある。

第5回 米国における人体実験と政策

書評では以下。

プルトニウムファイル

【米国ナチファシズムの狂った信奉者達!】 プルトニウムファイル・米国の人体実験

磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

『プルトニウムファイル 上 The plutonium files』

『プルトニウムファイル 下 The plutonium files』

プルトニウムファイル 上・下

「内部被曝」について  (その2)アメリカの「内部被曝」を認めない態度(続

このアメリカ政府の偽善暴露で連想されるのが、ソ連政府の虚偽を暴露する下記の本。

『チェルノブイリ・極秘』



アラ・ヤロシンスカヤ著
和田あき子訳
平凡社 1994.4刊

これも、女性ジャーナリストによる傑作。事故そのものではなく、事故の庶民生活に対する余波、無責任な政治家、学者の様子が余すところなく描かれている。

今の放射性物質放出、汚染報道、疎開問題を考える上で、これほど参考になる書物は少ないだろう。ところが、これも不思議なことに入手困難。平凡社には、緊急大増刷をお願いしたいものだ。避難されている当事者の皆様にも、是非お読み頂きたいものだ。

•システム上の欠陥ではなく、人間による操作ミスに、強引にもってゆく政府
•なんと、汚染地域に疎開させてしまう無責任さ
•子供たちが、ヨウ素を摂取してしまうのを、放置する政府
•食物や環境に関する放射性物質の基準を、どんどん都合よく緩和してゆく政府
今の日本そのまま。目次は以下の通り。

第1部わが内なるチェルノブイリ
1 世界ではじめての体験 17
2 ルードゥニャ=オソシニヤ村-偽りのゾーン 29
3 廃墟のそばで 39
4 ジトーミルでの政治戦 65
5 議会での虚しい叫び声 77
6 体制の秘密主義-情報はいかに統制されたか 89
7 罰なき罪 107
8 イズラエリは告白する 127
9 「子どもたちの健康は心配ない」 141
10 真理の瞬間 177
11「地球規模の大惨事(カタストロフ)である」 201
12 IAEAはそれでいいのか? 229
13 チェチャ川は流れる─ウラル核惨事の警告 259
14 溺れる者を救うのは、溺れる者自身の手である 273
15 汚染地域再訪 301
16「子どもたちが死にかかっています、助けて下さい!」 333

第2部 極秘
1 クレムリンの賢人たちの四〇の機密議事録 367
 ─「秘密の対策本部」は何を決めたのか
  ウソ1─放射能汚染について
  ウソ2─汚染された農地の「きれいな」農産物について 
  ウソ3─新聞向け報道について
2 この世の生活は原子炉とともにあるのか 381
 ─共産党政治局の白熱の議論
   一味の利益
  「炉の安全性は組織面や技術面の対策によってではなく、
   物理法則によって保証されなければならない」
  「あなたはどの原子炉を選ぶのか」
解説(今中哲二) 404
機密議事録解題/年表 413
訳者あとがき 416

佐藤栄佐久元福島県知事が、外国特派員協会での会見で、いっておられる。

「日本の原発事故、チェルノブイリ事故を起こしたロシアのような、ファシスト的構造がひきおこした。」というようなご意見だ。ごもっとも。ご本は英語版が必要だろう。

(個人的には「ソ連の衛星国政権のようなファシスト的構造」か、「アメリカというファシスト宗主国の属国ファシスト支配構造」の方がより適切と思うが、些細な違い。)

つまりは、ハワード・ジンが講演で語っている通り「ひとつだけ覚えておくように、国家は嘘をつくものなのです。」

アラ・ヤロシンスカヤ チェルノブイリ・極秘 感想

DOL特別レポート・ダイヤモンド・オンライン 2011/4/20記事は、チェルノブイリ事故処理班の生存者が語る凄惨な過去と放射能汚染への正しい危機感
「政府発表を鵜呑みにせず自分の身は自分で守れ」

この二つの本をまとめて絵に描いたような、下記のビデオがある。

Chernobyl:A Million Casualties

JapaneseNUDGE TEXT
2011年4月19日 (火) アメリカ, ロシア, 地震・津波・原発・核 | 固定リンク

|

拍手

PR

インドでの反原発運動弾圧

「毎日jp」からの転載。記事の存在は「東海アマ」ツイッターで知った。

インドやパキスタンはイギリスから独立した後もイギリス(欧米支配勢力)の間接支配を受けているというのが私の持論である。アジア・アフリカの旧植民地の政権のほとんどは旧宗主国の傀儡政権だろう。現代の世界はいまだに「帝国主義」であり、露骨な植民地支配から、現地人政権を使った間接的植民地になっているにすぎない。日本も第二次大戦後に米国に占領され、その後はずっと米国の植民地扱いなのである。サンフランシスコ平和条約での「独立」は、「間接支配」に変更したというだけにすぎない。
このインドでの反原発運動弾圧は「欧米の商売の邪魔をする者は殺す」というアングロサクソンの意思を示しているわけである。


(以下引用)



インド 「子供らのため阻止」 西部の原発建設予定地ルポ
毎日新聞 4月25日(月)1時51分配信


拡大写真
「フクシマの漁民はどうなっているのか」と詰め寄る漁師たち。ほとんどが18日の警察襲撃などの暴動デモに参加したという=インド西部のナテ村で2011年4月22日、杉尾直哉撮影

 世界最大の発電量となる「ジャイタプール原発」(総出力990万キロワット)の建設予定地、インド西部ラトナギリ地区。18日に起きた反対デモで住民1人が警察に射殺された現地を訪ねると、住民たちは、東京電力福島第1原発の事故に不安を募らせ、「子供たちの未来のために必ず阻止する」と言った。日本や米国など原発先進各国が本格参入を狙うインドだが、政府は「世界最大の民主国」をうたうだけに、原発推進策の見直しを求められる可能性が出てきた。【ジャイタプール(インド西部)で杉尾直哉】

 「ノーモア・チェルノブイリ、ノーモア・フクシマ(チェルノブイリ原発や福島第1原発のような事故はこれ以上ゴメンだ)」

 原発計画地の北方のタラプール。23日、市民ら約150人が集まり、インド政府の原子力推進策の見直しを求めた。地元マハラシュトラ州政府が「デモ禁止」を通告し、警察がうち100人を拘束した。しかし、被拘束者の中には元最高裁判事や元海軍高官らもおり、脱原発機運の多様な層への広がりに政府は衝撃を受けた。

           ◇

 ジャイタプール原発の予定地は、アラビア海に突き出した高台だ。周囲には特産品のマンゴー畑やココナツ林が広がり、良好な漁港が点在する。マンゴーやエビは日本にも輸出されている。

 政府によると、ここにフランスなどの技術で原子炉6基を造り、最初の2基を6年後に稼働させる計画だ。

 18日の抗議デモは、4月中旬、地元住民に通告なく重機やセメントなどの資材が予定地に持ち込まれたのがきっかけだった。福島第1原発から海に放出された汚染水や土壌汚染の問題が関心を集めており、予定地に近いマドバン村の農民らが工事を阻止しようと立ち上がった。

 参加者の中には女性や子供も多くいたが、警察が警棒で殴ったという話が周辺住民の間に広がり、漁師ら数百人が警察署を襲撃、車両に放火する騒ぎに発展。ナテ村の漁師タブレズ・アブドル・サタールさん(30)が警察に射殺された。

 タブレズさんの自宅では、男たち十数人が父アブドルさん(55)を囲み、悲しみに沈んでいた。アブドルさんは「息子は騒ぎを傍観していただけ。なのになぜ……」と声を震わせた。タブレズさんの妻はショックで家の奥に引っ込んだままだ。

 漁師たちは記者が日本人だと知ると、「フクシマには漁場はあるのか」「漁師は今どうなっているのか」などと質問攻めにした。リアズ・サルカルさん(41)は「福島第1(1号機)の出力は約45万キロワットだが、ここは1基で165万キロワット。事故が起これば影響は日本の比ではない」と言った。

 ジャイタプール原発では、冷却水をくみ上げる電力節約のため、高台を海抜7メートルまで掘り下げて設置する計画で、漁師たちは「(東日本大震災のような)ツナミには耐えられない」と訴えた。

 デモに参加したマドバン村の女性ランジェナさん(61)は、「私たちは、フクシマの事故とその後の悲惨な状況を知り、『これでインド政府も計画を見直すだろう』と安心していた」と話す。そこに突然、重機が入ったことで住民を動揺させ、混乱に発展したというのだ。

 ナテの警察署では住民によって窓ガラスが割られ、破壊されたパソコンなどが外に積み上げられていた。

 匿名を条件に取材に応じた警察幹部は、「我々は法と秩序の維持だけが目的。今後、同じようなデモがあっても今回のような混乱は招かない」と語り、デモの阻止に全力を挙げると強調した。

 別の農村に、今回のデモを主導した活動家(41)を訪ねた。「暴力的な運動で支持が得られるのか」と尋ねると、「我々はガンジーの非暴力主義でやってきたが、政府から無視された。今、彼らは我々を殺そうとしている。暴力以外に手段はない」と言い切った。

         ◇

 79年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故以降、世界に反原発の潮流が広がったが、21世紀に入り、欧米諸国で原発が見直され、「原発ルネサンス」と言われるようになった。特に米国のブッシュ前大統領が06年、「石油中毒」からの脱却を訴え、国内で凍結されていた原発新設を打ち出し、高成長国のインドと民生用原子力協定に合意したのが流れを作った。

 オバマ米政権もこれを踏襲し、インドは、フランスやロシア、日本からも「原発新市場」とみられていく。インドのシン首相は今回の騒乱の直前、「温暖化問題などを冷静に考えるべきだ」と述べ、福島の事故にかかわらず原発を推進する姿勢を見せた。

 しかし、当局がジャイタプール原発建設を強行すれば、混乱は全国に波及する可能性がある。今年2月、同原発に関するマハラシュトラ州政府主催の住民集会で反対を公言し、警察に拘束されたミリンド・デサイ医師(40)は、「原発ルネサンスはインドから終わりにする」と語った。

 土地収用を求められている地主2335世帯のうち、補償金の受け取りに同意したのはムンバイなどに住む70世帯のみ。計画地周辺に住む農家らは100%反対している。

拍手

確実に起こること

私にとって気になる記事を二つ掲載しておく。両方とも「ダイヤモンドオンライン」からである。一つは食料問題、もう一つは雇用問題だ。両方とも夏頃から顕在化してくる。特に雇用問題は、派遣社員の雇用が6月打ち切りとなっているところが多いようだから、その頃に大量の失業者が出ることになるだろう。食料問題は、東北地方の田畑が津波被害に遭っているから、今年の秋の米は例年より収穫量がかなり落ち込むはずだ。
この二つの問題について政府は今から対策を講じる必要があるが、おそらく何もしないで、問題が表面化してから「有識者会議」でも開いて、「まず調査のうえ、善処します」ということになりそうである。そして、調査のための新しい機関を作り、その調査報告書が出たら、それで政府の仕事は終わり、ということになる。その間、国民はどんどん首吊り自殺をし、政府は「これで無駄飯食いが減った」とほくそえむわけである。


(以下引用)





世界が不安視する日本の食糧輸入
今後重視すべきは「ムダの削減」
――需給バランスを安定させ、穀物価格の上昇を防ぐためには、どうすればよいか。
 国内での増産に加え、先進国が協力して備蓄を増やしていくことが必要だ。とりわけ日本については、「ムダの削減」が重要になる。
 日本は国内でコメ、小麦などの穀物を年間1000万トン生産しているが、一方でその3倍となる3000万トンの穀物を輸入している。つまり国内では、合わせて4000万トンが供給されていることになる。
 ところが、実際人々の口に入るのはその半分の2000万トンに過ぎない。残りは残菜や賞味期限切れなどの理由で、捨てられてしまうという。これは、全くもって大きなムダである。
 人口1億3000万人弱、国土38万平方キロメートルの日本が1000万トンの穀物しか生産していないことに対して、人口も国土も日本の半分程度の英国では3000万トン、日本より国土が1割小さいドイツも5500万トンの穀物を生産している。国際マーケットがこれだけきつくなっている時代に、日本が3000万トンも穀物を輸入し、しかもその多くがムダになっている状況は、明らかにおかしい。
 これを見ても、日本人は食糧不足に対する危機感が薄いと思う。むしろ、「コメや小麦は余っているから、もっと備蓄を減らしたほうがよい」と言う人さえいる。しかし、国内でコメが余る理由は、食糧の自給体制が整っているからではなく、3000万トンもの穀物が当たり前のように輸入されているからだ。中国と共に、日本の過剰な穀物の輸入は国際マーケットで不安視されている。
 今後、食糧が高騰すれば、ムダの削減や食育が浸透する可能性はある。ゆくゆくは食糧不足が顕在化し、国内で大増産へと舵を切ることになるだろう。
 ただしそうなったときに、日本に弾力的な農業生産力があるかどうかは甚だ疑問だ。多くの農家が資金不足や人手不足に悩んでいるし、水利施設の管理費は事業仕分けで6割も削られてしまった。こんな状態で、来るべき危機にどうやって対処するつもりだろうか。この機会に、日本も食糧に対する考え方を改めるべきだろう。
穀物は単なる商品でなく「政治財」
大震災を機に危機感を取り戻せるか
――3月中旬に発生した東日本大震災では、被災地の農業が大きな打撃を受けた。大震災は日本の食糧市場にも影響を与えるだろうか。
 今回の大震災では、不安を募らせた消費者の買い占めにより、スーパーやコンビニの店頭から、おにぎり、弁当、カップ麺、パンなどの食糧が一斉になくなった。商品の原料ベースで見ると、これは穀物が消えたことに他ならない。異常事態における穀物は、足りないとなるとパニックを引き起こすことから、単なる商品ではなく「政治財」に変わり得る重要なものなのだと感じた。
 震災の影響で一時的に食糧不足が顕在化すれば、穀倉地帯では「まず自分たちの食糧を確保しよう」という意識が強まり、都会への「売り惜しみ」が生じるかもしれない。ライフラインが完全に復旧していない影響もあり、品薄でパニックになればさらなる買い占めが起きる可能性もある。
 その結果、「食糧の自給にもっと力を入れるべき」という議論が盛り上がる可能性はある。

質問1 食糧不足を解消するにはどうしたらいいと思う?
国内でもっと増産する さらに輸入を増やす 先進国が協力して需給をコントロールする 個人レベルでムダを出さないように心がける その他






東京で、愛知で「大規模派遣切り」が進行中
非正規社員を襲う“6月危機”と“9月危機”
「このままだと、6月末には全国に失業者が溢れることになります」
 派遣ユニオン書記長の関根秀一郎さんはこう予測している。
 工場城下町として知られる群馬県伊勢崎市。ここには、派遣会社の寮として使われるワンルームマンションがかなりあるが、4月9日、関根さんが訪れてみると半分以上がガラ空きの状態だったという。すでに派遣切りは始まっているのだ。
派遣ユニオン書記長・関根秀一郎さん
「会社や工場が被災し、自宅待機を命じられている派遣社員は数知れない。その多くが近く失職に追い込まれる可能性が高い」と関根さん。1ヵ月、もしくは3ヵ月という細切れ契約が多いことを考えると、Xデーは震災の3ヵ月後、つまり6月末という計算になる。
 しかも、これは被災地に限った話ではない。
「震災にともなう労働相談は東京が最多。愛知や埼玉、神奈川も多い。とくに大手自動車メーカー部品工場従業員からの相談が目立っています。
 下請け部品工場が被災して稼働をストップすると、在庫がないから親請け工場も身動きが取れなくなる。まさに“ジャストインタイム”の弊害が出た格好です。部品の“ジャストインタイム”の流れがストップすると、人間の“ジャストインタイム”、派遣による労働力の調達がまっ先に止められる。
 必要な時に必要な人材を、という派遣制度は、“必要がなくなればすぐ切れる制度”でもある。こんな制度を放置しておいちゃ絶対にダメだ」
 被害は派遣社員にとどまらない。“6月危機”の次に到来が予想されるのは“9月危機”だ。半年契約をしている工場の期間工たちが大量解雇される危険がある。さらに来年春、そして再来年春には正社員のリストラが進む可能性もある。「最終的に失業者の規模はリーマンショックを超えるのではないか」と関根さんは見ている。
未曾有の大失業時代を迎えるかもしれない日本。非正規雇用の若者たちはそんな時代をどう生き抜けばいいのだろう。
 ひとつだけはっきりしているのは、「国はアテにできない」という現実だ。
「厚生労働省ではこのほど、雇用保険失業給付の特例措置を設けた。これは、『会社が震災で直接被害を受け、無給で休業することになった場合は、離職してなくても失業給付が受けられる』というもの。一方、会社が直接被害を受けていない場合は、労働基準法26条にしたがって休業中の賃金が支払われなければいけない。
 ところがここに大きな隙間があるんですね。計画停電で休業している会社はその間の賃金を支払わなくていいのか、という問題です。厚生労働省は『26条には該当しないので、賃金を払わなくていい』という通達を出している。これは昭和26年に出された通達にならったものとか。だけどね、60年も前の通達ですよ?」
 昭和のシステムをいまだに踏襲しつづけている国。おかげで計画停電中、無給状態に陥った多くの人々の間では「家賃が払えない」といった悲鳴が相次いだ。この問題に限らず、老朽化したシステムの“隙間”は今後次々に露わになる可能性もある。
「その場しのぎの施策も多すぎる」と関根さん。たとえば「緊急雇用創出事業」。国の交付金を原資に、自治体などが失業者に働き口を提供するというものだ。とはいえ、就労できる期間は最長でも原則1年。
「期間が満了するとしかたなく生活保護を受ける人が多い。結局、解決にならないんですよ」
小さなパイを上手に分け合う知恵
「国をアテにできないからこそ自分たちの安心は自分たちで守らなければ。それには孤立せずみんなで危機に立ち向かうことだ」と関根さんは表情を引き締めた。
「労働需要はしばらく元通りになることはないでしょうね。復興景気も一部の産業に限られるでしょうし。僕らが今、考えなければいけないのは、経済を回復させてバリバリ稼ぐ方法じゃない。安心して働き続けられる社会をみんなで作ることではないでしょうか。
 停電でネオンの消えた渋谷の街を歩いていると、『この方がなんか落ち着くな』と感じるんですよね。豊富に電気を使える便利な世の中は悪くないけど、便利になればなるほど、人は生産活動に駆り立てられる。“増やす”のでなく“維持していく”。低成長・低消費時代に合った生き方、価値観に、今こそ転換するチャンスかもしれません」
 そのためには、小さなパイを上手に分け合う仕組みが必要だ。具体的には、労働者派遣法や有期雇用に関する法律を改正し、働く人を簡単に切り捨てられないようにすべき、という。お手本になるのは、合理的な理由なくして有期雇用契約ができないフランスやドイツ。とくにフランスでは働く人の均等待遇が進んでいる。
 キーワードは“シェア”。一人勝ちをめざすのでなく、みんなで痛みを分かち合う時代が到来している、ということなのだろうか。







拍手

権利の上に眠る者

「独りファシズム」から転載。
記事の前半は放射能障害がどのようなものかが書かれていたが、ネットに触れる程度の情報リテラシーのある人間なら常識だろうから省略する。

大事なのは、冒頭に書かれた「国家賠償法第一条」である。役人というものは、自己保身を第一義とする連中だから、こういう法律を作る場合には、まっ先にこの条項を入れたわけである。どうせ国民の99%は一生読むこともない文章なのだから、これに文句をつけられることもないというわけ。
要するに、丸山真男の「であることとすること」という有名な文章に引用されている「『権利の上に眠る者』はやがてその権利を失う」、という趣旨の言葉が現実化したわけである。
我々は民主主義を上から与えられたが、その民主主義を守る努力をしてこなかった。そしてやがて日本の民主主義は「国民主権」から「役人主権」に書き換えられていたのである。


(以下引用)


国家賠償法第1条には、行政上の瑕疵があろうとすべからく役人は免責となることが謳われています。厚生労働省の役人が4000万人の年金台帳記入漏れをしようが、財務省の役人が外貨準備金運用で30兆円の為替損をだそうが財政投融資で260兆円規模の焦げ付きをつくろうが、経済産業省の役人が原発の監督行政で下手うって1000万人を被爆させようが、公務員個々へ責務は遡及されず、賠償責任は国、つまり国民の税金に依拠するものと規程されているわけです。

いかなる社会や時代においても、結果責任を問われない組織や個人が腐敗するのは常でしょ。いずれにしろ福島原発を発端とする未曾有の惨劇は、特権階級と化した公務員を頂点とする利権複合体のジェノサイドでありホロコーストであり、ガタガタ屁理屈をぬかしたところでポルポトやスターリンに匹敵する自国民の大量殺戮です。

電力会社に非難が集中しているようですが、利権構造において連中は底辺の属性であり、本丸の悪党は連綿と無軌道な原発行政を推進した経済産業省エネルギー庁を筆頭とする官僚機構でしょ。利権ヒエラルキーにおいて、これに連なる推進派議員やマスコミは所詮連中の実働部隊にすぎません。つまり公務員が親と子供を殺し、土壌と水を汚染し、財産と仕事を奪い、文化と共同体を破壊し、経済と産業を遺滅させているわけです。

くりかえしますが利権複合体のマネーロンダリングシステム中核にあるのが独立・特殊・公益法人群です。これらに貸し付けられた財政投融資債(年金・郵貯・簡保マネー)約360兆円のうち推計75%が不良債権と化し、過去7年だけでも欠損穴埋めと利払のため国庫=税金から約18兆円が拠出されています。これだけの金があれば、国民負担なく震災の復興に使うこともできたわけです。さらに特別会計から金の流れを遡及してみれば、各種租税の引き上げ目的は暫定的な復興財源ではなく、官僚の不労所得のために起債された財政投融資債の償還が主眼であるとわかります。

結局のところ、強者はとことんまで貪り、弱者はどこまでも喰われるという、この醜悪な現実こそが我々の社会の基本原理であり、国家の本質とはすなわちノーメンクラツーラ(官僚支配階級)の私物に他ならないということです。

拍手

てんでんこ

「ウェッジ インフィニティ」というウェブマガジンの記事である。
集団行動を学校教育で叩き込まれた現代日本人は、非常事態に対して自己判断ができない。下記の記事は岩手の小中学生相手に防災教育、具体的には津波への対処を教えて、生存率約99%という「奇跡」を起こした人の手記だが、その根本にあるのが「自己判断」「他人の指示をあてにするな」ということだ。いわゆる専門家というものがいかにいい加減な存在であるかは、福島原発事故関連の無数の御用学者で世間の人間もよく分かるようになってきたが、しかし、ではいざという時どうするかというと、「責任者の指示に従う」というのがほとんどだろう。その責任者というものが現場には実は存在もしていないというのが福島原発事故だったわけである。
「てんでんこ」つまり、各自が自己判断せよ、というのは日常を生きる上での基本でもある。


(以下引用)


 防災教育の総仕上げとして子どもや親に教えたことは、端的に言うと「ハザードマップを信じるな」ということだ。ハザードマップには、最新の科学の知見を反映させた津波到達地点や、安全な場所が記されているが、これはあくまでシナリオにすぎない。最後は、自分で状況を判断し、行動することの大切さを伝えたかった。そうは言っても、子どもたちには不安が残る。だから、どんな津波が来ても助かる方法があると伝えた。それが逃げることだ。

 もう一つは、自分の命に責任を持つことだ。三陸地方には、「津波てんでんこ」という昔話が伝えられている。地震があったら、家族のことさえ気にせず、てんでばらばらに、自分の命を守るために1人ですぐ避難し、一家全滅・共倒れを防げという教訓である。私はそこから一歩踏み込み、子どもに対しては「これだけ訓練・準備をしたので、自分は絶対に逃げると親に伝えなさい」と話した。親に対しては子どもの心配をするなと言っても無理なので、むしろ、「子どもを信頼して、まずは逃げてほしい」と伝えた。

 どれだけハードを整備しても、その想定を超える災害は起きうる。最後に頼れるのは、一人ひとりが持つ社会対応力であり、それは教育によって高めることができる。私は、今回の震災で命を落とした少女たちの声に耳を傾け、防災教育の広がりに微力を尽くしていきたいと、あらためて思いを強くしている。

WEDGE5月号特集「『想定外』を生き抜く力」では、他に以下の記事が読めます。
・自衛隊の訓練が津波と原発の差を生んだ
・海外での異常時にこの国は自国民を守れるか
・ゆで卵5人で1個 岩手・助け合いの現場を歩く
・原発被災後のエネルギー戦略の視点



拍手

江戸社会への回帰

どういう巡り合わせか、昨日から右側の陣営に属する人間を褒めるような記事を転載しているが、べつに私が「転向」したわけではない。もともと転向するほど強固な左翼でもない。私の友人知人親戚の大半もほとんどは保守主義者である。私は現実人生では「隠れ左翼」なのである。

何度も言うが、左翼とは、現在の社会を変えなければいけないと切望している人間のことなのだ。今の社会によって苦しんでいる人間が無数にいるのに、その社会をそのままにしておくことは国民全体に対する犯罪的行為である、と思うから社会変革を望むのである。その意味では、「保守主義とは所有に伴う傾向である」という言葉ほど保守主義の本質を示した言葉はない。
つまり、現在の社会から利益を得ている「既得権益層」が保守主義の中心にあり、それが無数の犠牲を要求しているのである。
もちろん、誰でも今の政治社会体制から恩恵を得ている部分はあるが、それが構造的に一部の人間の犠牲の上に成り立っているのなら、そのような社会を肯定することは、私はしたくない。

下記記事は船井幸雄のホームページに掲載されていた記事の一部で、直接には「つむじ風」ブログで知った。
筆者(語り手)は自衛隊の教官の方であるからマルクス思想を敵と見做しているが、実は私にとってもマルクス思想は、ある意味で敵である。つまり、マルクス思想の戦闘性が社会主義(共産主義)の本質と思われたために、本来は多様性をもっていた社会主義全体が世界中で嫌悪され攻撃されるようになったからである。
日本共産党がマルクス主義と決別することができれば、日本の政治に新しい潮流が生まれる可能性もある。

前置きが長くなった。
下記記事にある「江戸社会への回帰」が、私の思想と一致しているので、これを掲載する。


(以下引用)


"本物の情報"を自分で選び取ることが大切


池田:結局、テレビなどで表に流される情報というのは、流す側のPR的要素があって、スポンサーの利益が出るために流しますので、客観的に見て、本物の情報が流れないのは当然なのです。だから本物の情報を知りたいと思うと、自分から選びとるしかありません。そういうこともあって、勉強を始めました。
 いま、大量に出回っている食品に含まれる添加物の量というのはすごいですよ。やはり人間にとって、とくに組織のリーダーになるような人にとって一番大切なのは健康管理ですから、食生活も日本人本来の和食に戻るのがいいと思いますね。戦後、牛乳を普及させたのはアメリカの洗脳だと思いますよ。


―牛乳の普及はアメリカの洗脳…。「戦後、アメリカが日本人の高い精神性が復活することを恐れて、食生活や文化、教育などを徹底して欧米化した」と船井も言っていますが、池田さんも同じお考えでしょうか?


池田:そうですね。その通りだと思います。戦後どころか明治維新でまず、主に日本の上層部を洗脳することで日本人の精神性の50%は奪われたと思います。そして第二次世界大戦以降はマスメディアが一気に発達したので、いろいろマインドコントロールできますから、結局、ほぼ100%の日本人の本来の心が失われていったのです。アメリカと同じ考え、すなわち「今だけ、自分だけ、お金だけ」となってしまったのです。




自分の存在を否定してくるものの正体を突き詰める


池田:先ほどお話しました通り、私は少年工科学校にいた時、「税金泥棒」と言われました。その時、自分の存在を否定されたように感じたのです。
 人間何がつらく悲しいかというと、自分の人格、そして自分の存在そのものを否定されることほどつらいことはないのです。当時の自衛隊に対して、反対している人は何も考えないかもしれません。しかし言われなき反対で、弱い立場にいる人はずっとつらかったのです。自己存在の否定…すなわち「お前なんかいない方がいい」と言われることが人間にとって一番ショックなことなのです。
 そこで私は「自分たちの存在を否定してくる敵の正体は何なのか?」そして敵の弱点をしっかり見つけて、そこに理論的にも勝たないかぎり、自分が否定されたものを克服できないと思いました。


池田さんの読書記録ファイル。池田さんは18才の時から読書記録をつけており、自らの"読書道"をお持ちです。船井幸雄の本の読書記録もたくさんあります。
 それで防衛大学では国際関係論という学科に入りました。そこでまず、敵は共産主義、その中でもマルクス・レーニン主義だと思いましたので、マルクスの哲学、基礎を徹底的に検証しました。するとこの理論の人間観には問題点・欠陥があると分かったのです。 
 マルクスの人間観は要するに、「周りのものが変われば人間は変わる」という唯物史観ですね。しかしそれは人間に対する考え方が甘いと思います。人間というのはまず「心・意識ありき」だと思います。
 そのように、根本にある思想が間違っているので、時がたつにつれて、「形だけ、力だけ」で統制していく社会になってしまい、やがては共産主義は崩壊するだろうと予測しました。卒論でも「マルクスの人間観とその欠陥」というテーマで書いたのですよ。見事に当たりましたね。


―そうですか。では今の資本主義についても、矛盾があるからいずれは崩壊するとお思いでしょうか?


池田:そうですね、そう思います。99.9%の人は今のアメリカを中心とする資本主義の思想の中でやってきていますが、それがどんどん行き詰ってきています。今が本当に大きな変化の時期だと思います。
 船井先生もおっしゃっていますが、この地球という星は、まだ『宇宙学』(コスモロジー)で言うところの"不良星"です。それが1段階上の"優良星"に進化できるかどうか、現在が境目の時だと思っています。だから1万年に1回くらいの心の転換が必要になってくるのだと思います。


すばらしい江戸時代文化への回帰


池田:これから先の時代、世の中は、私たちは日本人の本来の姿、すなわち江戸文化的な時代になっていくのだと思います。


―江戸文化? これから私たちは、江戸時代の文化のようになると思われますか?


池田:そうですね。そう思います。私が考える「人間の本来の生き方」というのは、江戸文化的な、自然や共生を大切に思う生き方ですね。だから私たち日本人にとっては、祖先がやってきた当たり前の生き方に回帰するということなんですよ。


―なるほど。江戸時代というとどうしても「封建的であまりよくない時代」というイメージがあるのですが、江戸時代の文化というのはそんなにすばらしかったのでしょうか?


池田:そういう江戸時代に対するマイナスのイメージは明治政府が作為的につくったものなのですよ。明治政府の良さを印象づけるためにね。江戸時代は本当にすばらしかったです。たとえば江戸は人口約100万人で、世界一人口の多い都市でした。当時、ロンドンやパリの人口は60万人前後です。江戸は緑にあふれ、クリーンで美しい町だったのです。
 また、日本は縄文時代から土の文化です。土の文化は自然と共に生きています。そこでは今でいうリサイクルが非常に発達していました。

 江戸時代の具体的な生活については、渡辺京二さんの『逝きし世の面影』(平凡社刊)という本がとても参考になると思います。これは幕末前後に日本の近代化のために欧米から訪れた約4000人の外国人が残した手記をそのまま訳して編纂されたものです。客観性があり、参考になると思います。
 その本には、「日本に行ったら、物乞いをするどころか、子供たちがにっこり笑って『うちに遊びにおいでよ』と誘ってくれ、家に行くと、ごはんは食べさせてくれ、お風呂まで入れてくれた。寝るときは鍵さえかけないで寝られるほど安全で、帰るときにはおみやげまでくれた。なんてすばらしい国なんだ!」と、その人間性の高さにビックリしたことなどがたくさん書かれています。
 また各家には庭があり、人間の出した糞尿を肥料にして有機の野菜をつくっていたようです。治安的にも安全で、100万人の都市に警察官はわずかな人数で足りたようです。
写真が趣味という池田さんが最近撮ったマロウ(別名:ウスベニアオイ)。




 さらに驚くのは、例えば目の不自由な人に対して、現代の感覚では、お金を寄付するという発想になりますが、そうではなく、按摩(あんま)とか琵琶法師など、目の不自由な人にしかなれない職業を特権として与えていたのです。お金を与えるのではなく、職業を与えていたのです。だから、目が見えなくても自立して一生生きていけるのです。まさに、私たちが今向かおうとしている、本来の人間のやるべきことをすでにやっていたわけですよ。それに感動しましたね。
 一方、ヨーロッパは石の文化ですから、確かに見栄えはいいですよ。しかしながら、その実態はどうかというと、まずトイレは、壷の中にするのですよ(笑)。壷に入れたら、窓からポチャンと捨てるだけですよ。だから下に人がいたり、通りに人がいたりしたらたまらないですよね。そのため町中臭いし、日が照るとハエなどが出てきて、すぐに病原菌が流行するのですよ。それで香水の文化が発達したというわけです。


日本人の本来の姿は、武士道精神そのもの


池田:日本人の本来の姿というのは、究極の"誠の道"、すなわち武士道の精神そのものだと思います。映画の『ラストサムライ』などは侍の姿として参考になると思いますよ。
 武士道精神を持つ人は、お金も名誉も、地位も、命さえも何もいらない。そして自分の大義、信じるもののために全力で尽くします。これが伝統的な武士道です。これが日本人の"誠の道"だと思いますね。それを体現したのが、江戸時代の侍だったり、時代は違うけれども、特攻隊で亡くなった若者たちかもしれません。そういう意味で自衛官というのは、人のために命をかけて尽くすことを使命としていますから、武士道の精神が残っていると言えると思います。
 そしてその武士道に対峙するのが、悪い意味での資本主義だと思います。それは「今だけ、自分だけ、お金だけ」なのですね。


部長室には池田さんの息子さん達の少年野球の写真が大切に飾られています。


 そのようなすばらしい"日本人の誠の心"が、明治維新、第二次世界大戦など100年を通じて無くされてきた…というのが私の持論です。確かに明治維新はすごいことでした。戦後の発展も目覚しいものがありました。しかしそれだけでは物事の半分しか見られていないと思うのです。そんな経緯があって、成り立っている社会がいまの日本なのです。
 「物事の根本はどこにあるのか」ということを探求するのが私の心の一つの形なのです。
 だからある意味、大それたことを言いますと、船井幸雄先生の生き方と同じなんですよ。
 「人間は何のために生きるか」「宇宙の構図は何なのだろうか」…ということが、ずっと私の探求のテーマだったのです。





拍手

黒だろうが白だろうが、鼠を取るのがいい猫だ

私は「漸進的社会主義者」のつもりだから、右翼とは対立する考えの持ち主だ。だが、今回の大震災の被害者救助に対して、右翼集団の一つと目される日本財団が大きな支援をやっていることを知ったので、公平を期すために掲載しておく。特に漁船を失った漁民に対し、1億円を無利子で貸すというのは、相当なものだ。政府の無為無策に比べると実に立派なものである。だからと言って彼らのふだんの行為のすべてが正当化できるということはもちろん無いが、善行は善行として顕彰しよう。
タイトルは、昔、中国の政治家の誰かが言った言葉。言いかえれば、右だろうが左だろうが、困っている人を救う者が(この際は)いい人間である。


(以下「笹川陽平ブログ」より引用)


緊急記者会見 [2011年03月30日(水)]
「東北地方太平洋沖地震への救援活動」その30
―緊急記者会見―

※日本財団第一次被災者救済策発表

①死者・行方不明者に各一人5万円を支給
②漁船を失った漁民に最大1億円、3年間返済猶予の上15年で返済。無利息
③NPOボランティアの100万円を限度に迅速支援

①広域被災地には、2,500ヶ所余の避難所での生活を強いられている方々、自宅の1階は泥で埋まり2階でひっそりと生活されている方もおられ、被災された方々の避難生活の現状は千差万別である。被災から18日、最低限の生活は確保されたものの、将来への具体的な展望のない生活は、避難民の精神を着実に追い詰めている。

死者・行方不明者を出したご家族の嘆きはいかばかりであろうか。察するに慰める言葉もない。

避難所での生活が落ち着けば、亡き親族に花束を手向け、線香を立て、好物であった酒や饅頭などをお供えしたいであろうに。

筆者は昭和20年3月10日、東京大空襲で被災した。親戚を廻り、ささやかな食事にはありついたが、現金のない生活のつらさをいやというほど味わった。そんな経験もあり、今回の死者・行方不明者の遺族・親族に、死者・行方不明者一人当たり5万円の弔慰金又は見舞金を送ることを決定した。

現在の死者・行方不明者は約2万9千人であり、約15億円を大至急現地にお届けする。

②報道で見る被災者の漁民の姿は一様に深刻である。海に生きた男がすべてを失い、漁業での再起を放棄しようとする映像に涙した。三陸の漁業を絶やしてはならない。

筆者を含め、日本中の人々が三陸の魚介類を楽しみに生活してきた。彼らに再起のほのかな光を提示することによって、今一度、海に出る気力の回復といつの日か我々の食卓に三陸の珍味を提供願いたいものだ。

③NPO、ボランティアは、日頃、専門としている仕事があるにもかかわらず、乏しい金をやりくりしてガソリンを買い、遠路、被災地で活動して下さっているが、この方々への政府、企業からの支援は皆無に等しい。

2,500ヶ所の避難所に1ヶ所10名としても25,000名の人手がいる。その上、町を覆った泥土の処理等々、被災地の復興の初期段階には膨大なボランティアの支援なくして不可能である。
しかし、彼らには政府からは一銭の援助もなく、ただ黙々と働き、夜は寝袋で眠りに就つく。
これらの無私の活動に、日本財団は物心両面の支援をしたい。

この三点の日本財団の具体的な支援が起爆剤となり、政府や関係筋が連動してくれることを願って止まない。

Posted by 笹川 陽平 at 09:00 | エッセー(essay) | この記事のURL | コメント

拍手

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
26 27 28

カテゴリー

最新CM

プロフィール

HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

ブログ内検索

アーカイブ

カウンター

アクセス解析