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大不況と公共事業

増田俊男の「時事直言」記事は「徽宗皇帝のブログ」で既に取り上げたので、同じ「時事直言」の別記事の考察をここで行うことにする。言うまでもなく、私は書くことで思考が生まれる人間なので、まだ何も腹案はない。
先に言っておくが、下の引用記事の「事実」部分、つまり前半と、「意見」部分、つまり後半は分けて考えるべきで、現段階では私は「事実」部分は同感だが、「意見」部分には全面賛同はしていない。これは直観的なものだ。
先に引用し、後で考察する。

(以下引用)


黒田氏が10年も続けて来た「異次元金融緩和は百害あって一利なし」であり、黒田氏の言う「効果が副作用より大きかった」は「円安は日本経済にプラス」(決定会合後の記者会見で記者から円安政策でインフレを煽っているのではないかの質問に対する返答)と同じく権威を笠にした「大嘘」である。


人口も減少、GDPも下降線、今や外需依存から内需依存になっている日本がしなくてはならないのは(財界の反対を押し切って)勇気をもって不要産業(ゾンビ企業)をリストラして供給を落とし、一方内需拡大政策で需要を喚起して需給のバランスをとることである。



(引用終わり。以下考察)

最初に言っておきたいのは「インフレターゲット」論自体がキチガイ理論であり、インフレは企業にとってだけ利益があり、国民一般にとっては地獄だということだ。
つまり黒田はインフレターゲットを日銀政策とした時点で「国民の敵」だったということである。このような自明なことをマスコミも経済評論家も誰ひとりとして言わなかった。ためしに聞いてみよう。「あなたは一国民として、物価が上がって嬉しいですか?」と。これにイエスという者は庶民にはゼロだろう。
で、企業にとっては、インフレ気運に乗じて自社も値上げできるのだから、嬉しいに決まっている。と言うより、企業の値上げの結果がインフレなのだから、インフレターゲット論とは「インフレで国民を犠牲にして金融緩和で企業だけを助けます」ということに他ならない。それを正当化する言い分が「企業も国民の一部だ」という言い草である。
だが、商品を値上げしたら、国民が買わなくなって倒産する、という企業もあり、それが増田俊男の言う「ゾンビ企業」である。しかし、それは「良心的な商売をしてきた企業」である可能性が高いのである。大企業だけが生き残れば、それは好き勝手に値上げできる状態になったということで、そこから国民の本当の地獄が始まり、ハイパーインフレまっしぐらだろう。
ということで、増田俊男の言葉はカネ余り人間は有力企業に投資してもっとカネを儲けようというだけの、カネの亡者への株式指南のための言いぐさであり、庶民に敵対する発言なのである。

後半部分(増田俊男の「意見」部分)の中で賛同できる部分は、政府は「内需拡大政策を取るべきだ」という部分である。それはたとえば1930年代の大不況時代におけるルーズベルト大統領の公共事業拡大政策のようなものだ。つまりケインズ思想である。不況の時には、公共事業を通じて国民にカネを渡す、ということである。その仕事は穴を掘って、またその穴を埋めるような仕事でもいいのであり、要は「一般国民にカネを渡す」ということなのである。
今の日本は戦後80年の間の公共施設が軒並み耐久限界を迎えている。たとえば水道管なども腐食しているだろうし、道路や橋も修理が必要だろう。あるいは自然災害への備えも必要だろう。つまり、もともと「公共事業」の拡大は必要なのである。それが日本経済の復活の道でもあり、とても簡単な話なのだ。



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