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固有名詞の力

八潮市の道路陥没問題はマスコミ報道もほとんど消えている印象だが、まあ、私はテレビも見ないし新聞も(取ってはいるが)ほとんど読まないので、報道され続けているのかもしれない。

だが、私が不思議なのは、道路陥没で地中に沈み、消息不明のトラック運転手の名前が一度も報道されていない(らしい)ことだ。そして、その生存は絶望視された結果なのか、その捜索もしていないように思える。そして、日本全国はこのトラック運転手を完全に忘れたように思える。
それこそが、運転手の名前を報道しなかった狙いではないのか?

つまり、たとえばこれが小川さんなり何なりだったら、誰の心にも「小川さんはどうなった?」という疑問が残るが、名前が無いと、単なる「物体の消失」になるのである。

たとえば、いい方の例で言うと、だいぶ前に山で幼児が行方不明になった時に、ヴォランティアで捜索していた老人がその幼児を見つけ、その発見者の名前(尾畑春夫さんだったか。字は曖昧にしか覚えていないが)が全国的に知られたのである。今でもその事件も尾畑さんのことも覚えている人は多いだろう。

だが、今回は「消えた運転手」は人々の記憶からすら無くなったのではないか。名前が「ない」から記憶されないのも当然なのである。これが固有名詞の威力だ。名前があるから我々は誰かを「人間」として認識すると言ってもいい。これが「某政治家の汚職」と言われても、「政治家なら汚職して当たり前じゃねえの?」くらいにしか認識しないだろう。つまり、名前が無いと個人ではなく、人間として認識すらされないわけだ。

まあ、八潮市の道路下の下水道の工事をした業者の名前まで公表しろとは言わない。その業者の責任なのか判定は困難だろうからだ。

私は、日本社会の「官僚支配」は、上級官僚の名前がマスコミに出ないことが一番大きな力になっていると思っている。「無名のヴェール」に隠れているから、彼らは悪事ができるのである。
あなた、財務省や外務省の上級官僚の名前を知っていますか?

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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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