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今の時点から過去を論評することの意味

だいぶ前に書いたものだが、掲載をためらっていた文章である。私のふだんの持論に一致しない部分のある記事を引用しているからだ。だが、引用記事内容は有益なものだから、死蔵せずに掲載する。

「酔いどれギャラリー」に転載された「長周新聞」記事の一部である。
私が「尊皇主義者」であることは何度も書いているが、昭和天皇には戦争責任があること、そして現在に至る対米従属の責任があることは私も認めている。しかし、では天皇制を廃止すべきか、ということになると、私は反対なのである。このことは何度も書いたから、今さら繰り返さない。
問題は、天皇制などではない。
下記記事にある「日本の支配階級」なのである。官僚、大企業オーナーや役員、大株主、世襲政治家などがそれだ。その手下がマスコミと御用学者であることは言うまでもない。日本という国が、そうした支配階級による「私物国家」(©広瀬隆)であることが、最大の問題であり、それをどうすれば打ち破ることができるかを、我々は考え抜く必要があるのである。仮に、熟慮の結果、天皇制が最大の癌だ、という結論が出たら、私も尊皇主義をやめてもいい。しかし、天皇制など、そうした支配階級の道具の一つでしかないだろう。それは、藤原氏による間接支配の当時からそうだったのである。もっと便利な統治方法があれば、それを採用しただけの話である。そして、まさしく人民には統治が必要だった、ということも認めるしかないはずである。過去の人民は教育も知性も無かったから、上からの統治が必要だった、というようにも言える。もちろん、それは人民の奴隷的従属であった。
では、現在はどうなのか。
はたして、人民は自らの望む政治を得ているか。
民主主義は機能しているか。
そう思う人はほとんどいないだろう。
民主主義は最悪の政治形態だが、他のあらゆる政治形態に比べればマシだ、と言ったのはチャーチルだったか。しかし、今の政治ははたして人民の意思を反映した政治なのだろうか。もし人民の意志を反映しているならば、日本人は全員キチガイである。
であるならば、はたして人民は民主主義によって自律的に自己統治ができるか、ということがこれからの政治学の最大の問題ではないか。それができないからこそ、先の衆院選、参院選のような結果になった、と言えるだろう。もちろん、「不正選挙は無かった」と仮定しての話であるが。
下記記事から話がだいぶ逸れたので、この辺で筆を擱こう。
ただ、一言追記しておく。
下記記事のような過去への批判は有益ではあるが、それよりも、日本の未来像、望ましい国家経営システムを論じる方が大事だろう。もちろん、東電や原子力村などの現在の大罪人・政治的経済的犯罪人をいかにして追い詰めるか、ということが一番大事なことだ。いつまでも「悪い奴ほどよく眠る」だから、日本の政治は変わらないのである。


(以下引用)



第2次世界大戦で、日本人民はかつて経験したことがないほどの深い痛手を受けた。
満州事変(1931年)以後でも、日本人の男子の4分の1、
のべ1000万人が兵隊にとられ、そのうち約200万人が戦死した。
さらに原爆や全国各地の空襲、沖縄戦、また満州などで、
なんの罪もない赤ん坊から年寄りまで約100万人が無惨に殺された。
そして1500万人が家財を焼き出された。
それは、日本人で親戚や友人、知人に戦争犠牲者を持たない者はいない
というほどの深刻な体験だった。

戦後、人人は戦争の荒廃のなかから立ち上がり、二度と戦争を許さない思いを胸に、
平和で豊かな郷土を建設するために不断の努力を続けてきた。

しかし、現在の日本は、アメリカの植民地属国として見るも無惨な姿をさらし、
戦争体験者はかつて「貧乏になって戦争になった」のと同じ実感を全生活から感じている。

そもそも日本の支配階級は第二次大戦でなにをやったか。
明治維新後に成立した日本資本主義は、ブルジョア階級と地主階級に立脚した
絶対主義天皇制のもとで、農民や労働者は二重の搾取に苦しみ、
市場の狭隘(きょうあい)性を特徴として持っていた。
それは国内における強烈な搾取と強権的な抑圧とともに、強い侵略性を特徴としていた。
台湾、朝鮮、満州、そして中国全土、東南アジアと侵略を拡大して、
そこに経済権益を持つ米英仏蘭帝国主義との市場争奪をめぐる帝国主義戦争に突き進み、
そして敗北した。

日本は日米開戦に突入する前に、すでに中国に侵略してうち負かされていた。
中国での日本軍の戦死者は18万5000人を数え、100万の日本軍の主力が
中国人民の抗日戦争によって釘付けにされていた。
しかし中国に負けるのが必至となると、

日本の支配階級は日本で革命が起こるのを死ぬほど恐れた。
そしてソ連との戦争を避け、「南進政策」をとることでアメリカとの対立が激化し、
日米開戦となった。

海軍では最初から「1年しかもたない」といわれていた。
すでに日米開戦の半年後にはミッドウェー海戦で壊滅的打撃を受け、
その後は敗走に次ぐ敗走となった。44年にはサイパンが陥落し、
東条内閣が倒壊したが、それでも戦争をやめなかった。
それからは制海権も制空権も奪われ、東京はじめ全土がB29の空襲を受け、
爆弾の雨を浴び放題。
南の島にとり残された兵隊は散り散りとなり、飢えと病気で死んで
戦争ができる状態ではなかったが、それでも戦争を続行させた。
そして丸腰の兵隊を輸送船に詰めこんで運び、
待ち構えていた米潜水艦に次次に撃沈させるにまかせた。

すでに日本の敗戦は決定的であった。そこで天皇とその側近のなかでは、
天皇の支配的な地位をいかに守るかが最大の関心であった。

敗戦の前年、近衛文麿の天皇への上奏文には
「敗戦は必至。英米の世論は国体の変革までは進み居らず。
もっとも憂うべきは敗戦にともなって起きる共産革命」とあった。

敗戦が濃厚な米英仏蘭との戦争に進み、敗けることがわかった後も戦争を続けたのは、
日本人民による天皇制打倒の革命を抑えつけて、欧米列強に身を寄せることで
みずからの地位を守るためだった。

国民がどれほど殺されようと、
その命と引き換えに自分さえ助かればいいというこの対応が、
320万人という国民の大虐殺となったのである。


☆日本占領意図した米国 長期戦略に立ち

一方アメリカは、すでに日露戦争後には「オレンジプラン」をつくっていた。
それは中国市場を奪うために、日本を戦争でうち負かして占領する長期戦略であった。

幕末にはそれは明治維新革命でうち破られたが、
あくまでその野望を達成しようとするものであった。
アメリカ大陸で先住民のインディアンを皆殺しにして西進し、ハワイを奪い
フィリピンを奪った残酷な政治の継続であった。

アメリカは開戦直後から、ライシャワーらが日本の軍部に戦争責任をかぶせ
「天皇を平和の象徴」とする間接支配のやり方をとる計画を持っていた。
実際に戦時中もその方向で日本の支配層に働きかけを強めていた。

天皇をはじめ日本の支配階級は、原爆や空襲を「天佑」といって歓迎した。
彼らは、アメリカの無差別攻撃に国民がさらされ、アメリカの占領に対しても、
天皇の責任追及についても、立ち上がれないほど疲れ果てさせることで、
アメリカと利害は一致していた。
だからアメリカは日本人民を虫けら扱いして殺し尽くす一方で、
皇居や軍中枢、三菱の工場などは攻撃しなかった。
敗戦が決まると、三菱財閥統帥・岩崎小弥太は「われわれは今後愉快に仕事ができる」
と小躍りして喜んだ。

戦争で散散に殺され、原爆を投げつけられ、日本はアメリカに占領されたが、
そのとき日本の支配階級はアメリカの日本侵略支配の協力者となり、
民族的利益を根こそぎ売り飛ばすことで支配の地位を確保する道を歩んだ。
この行き着く先が、現在の安倍内閣の姿である。

アメリカの指図で地震列島の日本の海岸線に五四基も原発を林立させたうえ、
大事故が起こってもアメリカに代わって海外で原発のセールスをし、
そのために国内で再稼働や新規立地まで狙う。

日本の農漁業を壊滅させ、外資が参入して日本の富をまるごと奪っていく
ことがわかっていて、アメリカにいわれるままにTPP交渉参加を強行する。

原発を再稼働させる一方で、尖閣諸島問題で大騒ぎして「先制攻撃も辞さず」といって、
アメリカの盾となり日本をミサイル攻撃の標的とする道をみずから突き進む。

安倍内閣はこうして超法規の専制政治を進めているが、
そのことは現在の日本の権力機構がだれに握られているかを浮き彫りにしている。
軍隊である自衛隊はアメリカの下請であり、
警察、検察、裁判所、官僚機構もみなそうなっている。
マスメディアも、戦時中は「大本営発表」を支えた『朝日』の緒方竹虎や
『読売』の正力松太郎が、戦後はCIAのエージェントとなって
「ペンタゴン報道」に尽くしており、アメリカに留学して買収された御用学者が
その協力者になっている。これらの売国奴が手伝いを買って出ているから、
アメリカはわずか数万の米軍で日本を植民地のように隷属させているのである。

かつての戦争で日本人を320万人も殺し、国土を焦土と化したアメリカと
日本の売国支配階級の残虐性は、現在の日本人民に対する残虐性につながっている。

8・15は「アメリカに助けられて平和で民主主義になった日」ではなく、
日本がアメリカの隷属の鎖に縛りつけられ、肥え太らされたあげくに奪いつくされ、
はては原水爆戦争の廃虚にされる始まりの日でしかなかった。



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