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 ギリシャのチプラス首相は20日夜(日本時間21日未明)にテレビを通じて演説し、辞任して、総選挙を行うと表明した。欧州連合(EU)などと合意した緊縮策を巡る与党の分裂で政権維持が難しくなっていた。投開票日は9月20日の見通し。EU側からの支援と引き換えに約束した財政改革が遅れる懸念もある。


 チプラス氏は演説で「すべては国民が投票で決めてほしい」と述べ、EU側と合意した支援プログラムについて信を問うとした。演説後、パブロプロス大統領に辞表を出した。


 ギリシャ国会(定数300)は14日、国有企業の民営化や早期退職の段階的廃止などの財政改革の法案を可決。野党3党は賛成したが、与党・急進左翼進歩連合(シリザ・149議席)は反緊縮の公約に反するとして40人以上が造反した。


 チプラス氏は選挙で造反勢力を排除し、EU側との合意を履行する考えだが、シリザのラファザニス前エネルギー相は反緊縮新党の結成を呼びかけている。7月までの世論調査では、シリザが再び第1党になる可能性が高いが、単独過半数は難しい模様だ。連立協議が難航する懸念がある。


 EUのユーロ圏財務相会合は14日、ギリシャに3年間で最大860億ユーロ(約11兆8700億円)の支援をすることで合意。ロイター通信によると、ユーロ圏財務相会合のデイセルブルーム議長は20日、「ギリシャユーロ圏との約束を守ることが重要だ」と改革を履行するよう釘を刺した。(ローマ=山尾有紀恵、ロンドン=寺西和男)