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「白人の強欲」が世界を地獄化する

市民図書館から借りた「モヒカン族の最後」(この訳題を誤訳と前に書いたのは私の間違い。原題が「The last of the Mohicans」らしいから、訳は正しい。)は、作中人物の白人たちが馬鹿揃いで、その発言に人種的偏見が丸出しであり、また、「味方側はすべて正義、敵側はすべて悪」という、阿呆極まる「大衆小説的精神」が露骨なので、外国人(日本人・黄色人種)読者としては読むのがあまり楽しくない小説だが、「イギリス系アメリカ人」視点で読むなら楽しい冒険小説だろう。主人公側で死ぬのも、アフリカ系の血を引く心正しい美女と、騎士道精神溢れるインディアンだけだから、「白人は死なない」しwww
その中で唯一私が感心したのが、「敵側インディアン」で、邪悪そのものの存在として描かれる悪役マグアの演説の台詞である。まさに、この台詞は真実そのものである。ただし、その中にも黒人などへの侮蔑が入っている。ただ、「白人とはどういう存在か」をこれほど明確に述べた発言が、1800年代前半に書かれているのはある意味凄いが、これはもちろん「悪役の台詞」だから、信じるな、と作者はサインを送っているのである。それとも、悪役こそが真の主役なのだろうか?
 
最後の赤字は夢人による強調だが、これ(強欲さ)がまさに白人の最大の特徴だろう。私は、この「悪役」マグアが、全インディアンを統率して白人と戦う存在にならなかったのを、今や地上からほとんど消滅したインディアンに対して惜しむものである。
白人の「つかれを知らない翼」が、世界を「白人汚染」したわけだ。


(以下引用)

それから、陰険なもくろみにもとづいた、マグアの演説がはじまった。聞いているデラウェア(注:フランス占領地区に住む、中立的立場のインディアン部族)たちにわかるように、彼はフランス語でしゃべりはじめた。
「偉大な精霊は、人間にさまざまな肌の色をあたえた。」と、悪がしこいマグアは話しはじめた。
「ある者たちは、のろまな熊より黒い。精霊は彼らに奴隷になれといい、ビーヴァーのように永久に働きつづけるよう命じた。黒人をいっぱい乗せた大きなカヌーが、大きな塩の湖(注:海のこと)の岸を行き来すると、南風に乗って、野牛の声よりもひくく、彼らのうめき声が聞こえるだろう。
精霊は、また、ある者たちに、森にいるテンよりも白い顔をあたえ、商人になるよう命じた。女には犬のようにつかえるが、奴隷には狼のように残酷にふるまうやつらだ。精霊は彼らに、鳩の性質と、つかれを知らない翼と、木の葉よりも数多い若者たちをあたえた。また、ひとをあざむく山猫の鳴き声のようなことばと、兎のようなこころと、豚(狐ではない)のようなずるさと、オオジカの足よりも長い腕をあたえた。(注:泥棒の腕ということかと思う。)
白人のことばは、インディアンをあざむいた。白人のこころは、インディアン戦士に金をはらって、戦わせることをおぼえた。白人のずるさは、大地の富をかきあつめることを知った。そして、白人の腕は、塩の湖の岸辺から、ヒューロン湖の島々にいたるすべての土地をとりかこんだ。
白人は大食らいをして、病気になった。神は、白人にじゅうぶんあたえたが、彼らはまだすべてのものをほしがっている。それが白人なのだ















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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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