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転がる石と眠るライオン

例によって思い付きの論を論じてみるが、「挑戦」とか「変革」ということは本来はマイナスの行動なのではないか、という論である。もちろん、面白半分の詭弁が半分の論だ。

現状が完璧な秩序を持ち、誰もが幸福だという状態なら、そこで何か新しいものに挑戦したり現状を変革しようとする人間は普通はいないわけで、いれば、はた迷惑な行動をする「犯罪者」「不道徳者」になるだろう。まあ、要するに、「天国」を「改善」しようとする人間はいるか、ということだ。
つまり、挑戦や変革を必要とする社会や状況は不幸な状態であり、不平不満に満ちているということである。これは社会だけではなく、個人においても同じだろう。現在の自分や自分の状況に不平不満があるから進歩や向上を求めるわけである。
今の恋人に不平不満があるから、新しい恋人を求めるわけだ。あるいは、恋人がひとりしかいないことが不満だから複数の恋人を求めるわけだ。つまり、進歩向上を求める人間は、周囲を不幸にする、と言えるのではないか。新しい恋人ができたら、古い恋人は捨てられるのだから。
で、そのようにして次から次へと変化を求め、新しいことに挑戦し続ける人間は非常に賞賛され、社会にとって有益な存在だとされるのだが、当人は本当に幸福なのだろうか。
「転石苔むさず」という言葉があるが、ローリングストーンズ(転がる石たち)は本当に常に新しい音楽に挑戦しただろうか。ある時期からは自己模倣、あるいは昔のヒット曲の演奏だけだったのではないか。
「ライオンは眠っている」という大ヒット曲を出したトーケンズというグループは、その一曲だけで、70歳80歳になっても田舎で興行をして会場はいつも満員だったという。

転がる石と眠るライオンの見かけは反対だが、どちらも実は変わらぬ部分こそがその個性であり、価値だ、ということだ。あなたが誰かを愛したなら、その誰かの「現在の状態」が愛する対象であるはずだ。その相手が進歩向上して別人になれば、それはもはや愛する対象ではなくなった、ということなのである。逆も真なりで、たとえば美人女優を愛して妻にしたなら、女優からただの主婦になった相手をなおも愛するかどうか、分かったものではない。



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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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