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見えない「階級」

今、ドストエフスキーの「未成年」を断続的に読んでいるのだが、その一節を読んでいる時に「見えない階級」という概念が思い浮かんだ。まあ、学校という閉鎖集団などでの「見えない階級」はよく知られているが、やや誇張されている。階級ではなく、いじめ集団対いじめ被害者が大半だろう。私が言うのは、もっとはっきりしている「階級」だのに、それが階級だと意識されていない、というものだ。
それは封建時代には普通だった「長子相続制」における長男(長子)と、それ以外の子供の「階級差」であり、それが日本全国で普通だったのだから、明らかな階級なのだが、それが階級という意識がほとんど無かっただろう。
で、時代劇でおなじみの「御家騒動」だと、長子の相続に不満を持つ他の子供たちが長子を暗殺する計画を立てる悪人だ、つまり「秩序を壊す大罪人だ」となるわけだが、長子相続が本当に正当性があるのか、正義にかなったものなのか、ということは問題にならない。世界には「末子相続」という制度もあり、末子の年齢が低いなら後見人制度というのもある。
まあ、騒動など起こらぬに越したことはないわけで、一部の人間が不満を飲み込むことですべてが丸く収まってきた、というのが日本社会だったわけだが、これが自己主張の強い西洋人だと、同族の間の殺し合いで100年間くらい戦争が続いたのではないか。もちろん、日本も戦国時代にはそうだったわけで、戦国時代が終わって平和になったのは良かったが、「自分の不利益」を我慢した無数の人々の犠牲の上にその平和はあったわけである。
ちなみに、ネットコメントなどを見ると、他県民を蔑視し、東京都に住むだけで自分たちを「上流階級」であるとする馬鹿コメントに時々お目にかかる。まあ、タワマンの上層階に住むのは低層階に住む連中より上流階級だ、というキチガイ思想もあり、人間は階級というのが大好きなようだ。13階段の一番上まで行けば、後はどうなるかwww

(追記)上の話と関係があるような無いようなツィートだが、「家系」というのも「見えにくい階級」ではある。

平野啓一郎
@hiranok
保守系議員が夫婦別姓に反対したり、「家庭」という文言に拘ったりするのは、イデオロギー教育の場として、或いは自己責任論の押しつけ先として家庭に期待しているからだろうが、それだけでなく、二世、三世議員は「家系」というものが価値を失ったら、空っぽだからなのではないかと、最近疑ってる。

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