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夜の雨

私はテレビを見る習慣が無い(というか、アンテナと接続されていない)ので、夜は夜食代わりに晩酌をしながらNetflixでアニメなどを見て、7時頃にはベッドに入っている。寝る前に本を読むこともあるが、睡眠導入剤のようなものである。
最近は雨続きで早朝の散歩もしないことが多いので、運動不足で睡眠時間が短く、午前0時前に目が覚めることが多い。
先ほど目が覚めてトイレに行って、帰りに居間の窓を見ると、外が明るい。
「ああ、そういえば、一昨日が中秋の名月の日(旧暦8月15日)だった」と気づいて、ベッドに入って、頭をいつもと逆にして窓から上空の一部が見えるような体勢にすると、月が見える。雲がかかっているが、確かにほぼ満月だ。
それから本を少し読んでうとうとしていると、再び目が覚め、その時には外で雨の音が聞こえた。雨になったらしい。
起きて窓の外を確認すると、やはり雨である。ベッドを出て台所でコーヒーを淹れ、今、こうしてコーヒーを飲みながらブログを書いているわけだが、その間、雨に関する浮遊思考が頭の中を漂っていた。
最初は「夜の雨」ということで、即座に思い出したのが凡兆の「下京や 雪積む上の夜の雨」だが、あいにく今は秋で、しかもここは沖縄だから雪が積むこともない。
次に、というか、その前から意識の底にあったのが「雨の音が聞こえる」という、大島弓子の漫画で、私が彼女の作品の中でたぶん一番最初に読んだ作品だ。
それを読んだ時から長い時間が経って、この「雨の音が聞こえる」は、八木重吉の詩の一節だと知って、知ったことが嬉しかった記憶がある。
この詩は前にも引用した気がするが、こうした一連の「記憶の財産」は様々な時間に甦る「人生の小さな荘厳化」であり、一生ものである。


 


雨の音がきこえる


雨が降っていたのだ


あのおとのようにそっと世のためにはたらいていよう


雨があがるようにしずかに死んでいこう


 

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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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