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魔子への歌

大杉栄の「日本脱出記」は、洒脱な名文で、伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」を思わせる風情がある。ぜひ、文庫本化して、多くの人に読ませたい文章である。もっとも、すでに文庫本化されているかもしれないが。
その中では、パリの牢屋の中でのノンシャランな物思いを書いた「牢屋の歌」の部分が面白いが、長くなるので、同じく牢屋の中で、自分の6歳の娘、魔子(この命名も凄いね。緑魔子という女優もいたが)に宛てて書いた詩だけ引用する。(「スパスパ」の後半は繰り返し記号、つまり踊り字だが、ワードには該当する踊り字が無いので、表記を変えた。)
なお、パリの牢屋ではこの詩の通り、料理の差し入れが許され、酒、タバコも自由であったようだ。日本の牢屋とは大違いのようである。




魔子よ、魔子
パパは今
世界に名高い
パリの牢やラ・サンテに。

だが、魔子よ、心配するな
西洋料理の御馳走たべて
チョコレトなめて
葉巻スパスパ ソファの上に。

そして此の
牢やのお陰で
喜べ、魔子よ
パパは直ぐ帰る。

おみやげどっさり、うんとこしょ
お菓子におべべにキスにキス
踊って待てよ
待てよ、魔子、魔子。









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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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