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作家の年齢と作品

会社勤めをしていた間、小説を「読む」(眼界に文字を通過させるのではなく書かれたことを考えながら読むのである。)心の余裕がほとんど無かったので、会社勤めをやめた今、本を読むのが二番目の娯楽である。一番の娯楽は考えることそのものだが、その思考は浮遊思考であるので、考えるというよりは妄念というべきか。
さて、昨日、市民図書館から借りてきて読んでいる途中の本が、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちわ」で、そういう、男が手にするのも恥ずかしい本を堂々と借りることができるのも、下層階級爺の強みだ。これが上級国民だと、外聞を恥じてそういう行動もできないだろう。で、この本を読んでいると、なるほど世界的ベストセラーになるのも頷ける作品で、これを18歳(17歳?)で書いたのは凄いが、逆に言えば、18歳でしか書けない作品だとも思える。
一般に女性は早熟だと思うが、わずか18歳でこれほどの人間心理洞察ができたのは凄い。フランスは、男でもアルチュール・ランボーやレイモン・ラディゲのように早熟の天才が生まれる国のようで、その原因は、私の推測だと「目上や年上の人間への畏敬や畏怖の念をまったく持っていないから」だろうと思う。つまり、「思考の足かせ」が無いから、現実がありのままに見えるのである。ついでに言えば、思想性の強い本を若いころから読むのも「思考の足かせ」になる。

ただし、18歳の「天才」がその後偉大な作家になった例は無いようだ。つまり、18歳で書いた「傑作」は、18歳だから書けたということもあり、その後の成長は保証しないどころか、むしろ年齢とともに才能が逓減するのではないか、と思う。

これも単なる推測だが、フランス人が「上の存在」への畏敬や畏怖の念を持たなくなったのは、フランス革命を経験したためだろうと思う。つまり、自分たちを抑えつけ縛り付ける存在(王侯貴族や封建的社会制度)が、まったく尊敬にも畏怖にも値しない屑だったということを経験し、それが国民精神になったのだと思う。これは「平等」ではなく「対等」の精神だろう。つまり、外的条件に関わらず、精神においては相手と同じ平面で対峙する精神である。


(以下引用)

悲しみよこんにちは

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

悲しみよこんにちは』(かなしみよこんにちは、フランス語Bonjour Tristesse ボンジュール・トリステス)は、1954年に発表されたフランス作家フランソワーズ・サガン小説。サガンが18歳のときに出版された処女作である。題名はポール・エリュアールの詩「直接の生命」の一節から採られている。17歳の少女セシルがコート・ダジュールの別荘で過ごす一夏を描く。22か国で翻訳され、世界的なベストセラーとなった。ル・モンド20世紀の100冊の1つに数えられる。


日本へは 1955 年に朝吹登水子の翻訳により紹介され[1]、2008 年には河野万里子による新訳が発表された[2]


1957年に映画化され、ジーン・セバーグがセシルを演じた(映画『悲しみよこんにちは』参照)。その際の短い髪型が流行し「セシルカット」と呼ばれブームになった。


また、日本では、1967年に舞台を那須高原に置き換えた、梓英子主演のテレビドラマが制作されている。

あらすじ[編集]

18歳になるヒロインのセシルとやもめである父のレエモン、その愛人のエルザはコート・ダジュールの別荘で夏を過ごしていた。セシルは近くの別荘に滞在している大学生のシリルと恋仲になる。そんな彼らの別荘に亡き母の友人のアンヌがやってくる。アンヌは聡明で美しく、セシルもアンヌを慕う。だが、アンヌと父が再婚する気配を見せ始めると、アンヌは母親然としてセシルに勉強のことやシリルのことについて厳しく接し始める。セシルは今までの父との気楽な生活が変わってしまったり、父をアンヌに取られるのではないかという懸念に駆られ、アンヌに対して反感を抱くようになる。やがて、葛藤の末にセシルは父とアンヌの再婚を阻止する計画を思いつき、シリルと父の愛人だったエルザを巻き込んで実行に移す。アンヌは自殺とも事故とも取れる死に方をする。

登場人物[編集]

セシル(Cécile)
天真爛漫な17歳の少女。
レエモン(Raymond)
セシルの父。画家で放蕩な男。
エルザ(Elsa)
レエモンの愛人。物語の前半でレエモンと別れた。
アンヌ(Anne)
セシルの亡き母の友人。セシルの良き相談相手でもある。
シリル(Cyril)
レエモンの別荘の近くの家に滞在する青年。

改編作品[編集]

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