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E.M.フォースターの言葉(続き)

(イギリスにおける「反逆煽動法」の議会成立に際して)
(この法律に対して)強い抗議がよせられたにもかかわらず、その事実は新聞でもBBCでも報道されませんでした。抗議は無駄ではなく、原案の比較的危険な条項は委員会に上程中に撤回されました。この種の法律は、政府が危急の場合にそなえて用意しておくもので、ただちに使おうというわけではありません。それにもかかわらず、効果は即座に現れます。ある印刷業者が平和主義的な児童書の印刷をことわったという噂がありました。この本が軍人の手にわたって、反逆を煽動したとされては困るというのです。この印刷業者はあまりにも臆病です。しかし、必ずこういうことになるのであって、またそれがこの種の法律を制定するときの狙いなのです。一般大衆は何となく怯えて危うきには近づくまいとするようになり、行動でも発言でも、ものを考えるにも、いつもより控えめになります。このほうが、法律を現実に行使する以上のほんとうの弊害なのであります。心理的な検閲が成立して、人類の文化遺産を歪めることになるのです。(「イギリスにおける自由」より)

酔生夢人注:官僚による心理的民衆支配の例として掲載。これは戦時中のイギリスの事例だが、現代の日本でも同様の手法の民衆抑圧は定期的に生じている。(下線は酔生夢人による)

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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