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誰が何を「裁量」するのか

「裁量労働制」についての記事だが、お堅い内容の前半は省略。わりと分かりやすく書かれた部分だけ転載。特に対話形式で書かれた部分は非常に分かりやすい。何をどれだけやるかに関しては労働者には裁量権は無い、というわけだから、とんでもない仕事量を押し付けられても、報酬は定額しか貰えないという、雇用者にとっての「働かせ放題労働制」であるわけだ。


(以下引用)




 裁量労働制は、あくまでも、業務の進め方に労働者に裁量がある制度、ということになります。


 ここがミソです。

業務量に裁量はない

 労働者は、使用者から下る業務命令を遂行することで労務を提供します。


 すなわち、

  1. 使用者から「これをやれ」と命令がなされる
  2. 労働者はそれを遂行する
  3. 労働者は仕事の結果を使用者へ渡す

 これが労働者のお仕事サイクルです。


 このうち、2.だけに裁量がある制度ということです。


 そうです。1.には労働者に裁量はないのです。


 これは、要するに、業務量については労働者には裁量がないということを意味します。


 


 したがって、次のような現象が起きます。


('◇')ゞ「仕事終わったんで、定時前だけど帰ります!」


( ゜Д゜)「もう終わったの?じゃあ、次はこれやって」


( ;∀;)「え?でも・・・裁量労働なんで・・・」


( ゜Д゜)「あ、そう。業務命令を断るんだ。へー。」


(*_*)「やりますよ・・・」


 ほかにも、


( ゜Д゜)「おまえたちは、裁量労働制だ。好きなときに帰れるぞ。」


(*´▽`*)「わーい。」


( ゜Д゜)「ただし、俺が与えた仕事を全部終わらせてからだがな」


( ;∀;)「えーん。」


 とか、


(-"-)「仕事が多くて終わらないッス」


( ゜Д゜)「仕事の進め方は自由でいいぞ」


(-"-)「いや、仕事が多すぎるんです。終わらないんです」


( ゜Д゜)「でも、仕事の進め方は自由だぞ。」


(-"-)「・・・・(怒)」


 ということになります。

定額働かせ放題

 で、どれだけ長く働いても、あらかじめ、みなすとした時間だけ働いたとしかされません。


 たとえば、1か月10時間の残業があるとみなすとした場合は、100時間残業しても10時間しか残業していないとみなされます。


 そのため、給料もみなされた労働時間分しか払われません。


 使用者にとっては、ラッキーです。


 仕事を目いっぱい与えて、あとはどうぞご自由にとすれば、いいのです。


 どんなに長く働いても払う給料は一定です。


 これが裁量労働制の実際です。


 それゆえに、定額働かせ放題とネーミングしたわけです。

裁量労働制についての幻想

 ところで、よく、裁量労働制だと早く帰れるとか、病院に行けるとか、子育て時間ができるとか、そう言う人がいます。


 裁量労働制があったから早く帰れた・・・・と。


 果たして、そうでしょうか?


 実は、意外と思うかもしれませんが、裁量労働制と早く帰れることは無関係です。


 たとえば、9時始業で、18時が終業時刻(休憩1時間)の会社で働くある労働者がいたとします。


 その人が、15時に帰っても、使用者が18時まで働いたとみなすことは、裁量労働制に関係なくできます


 これはなんにも制限されていません。


 しかし、21時まで働いた労働者の終業時刻を18時とみなすことは、裁量労働制でないとできません


 裁量労働制でない場合は、21時までの残業代を払う義務が使用者にあるのですが、裁量労働制だとこの義務を免れます。


 これぞ、裁量労働制の真の意味なのです


 なので、残業代を払わないで働かせられる裁量労働制の方が、一般的な時間管理のある労働者よりも長く働く傾向にあることは、ある意味、当然なのです。

撤回しかない

 この裁量労働制の拡大をしようとしているのが、「働き方改革」です。


 これが、本当に「働き方改革」なのでしょうか?


 喜ぶのは労働者ではなく、ブラック企業ではないでしょうか?


 裁量労働制は速やかに撤回すべきだと思います。


 あと高プロも一緒に撤回すべきだと思います。

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