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蛆虫には肥溜めが天国

「阿修羅」所載の「リテラ」記事の後半で、前半は誰でも知っている内容なので省略。後半にはいろいろ面白い話がある。まあ、面白いといっても、蛆虫の生態を面白いと思うかどうかである。

(以下引用)


■山縣有朋の歌、献花の行列…デタラメが次々発覚する菅前首相の弔辞 「銀座の焼き鳥屋」も…


 しかし、ほんとうの問題は21日の不在や今後の動向ではない。そもそも今回の玉川氏の処遇は最初からおかしかったのだ。ヘイトでもなんでもないたんなる事実誤認、しかもすぐにきちんと訂正をおこなっているのに、10日間の謹慎処分を科すということ自体がありえない。


 しかも、唖然としたのは、19 日、玉川氏がおこなった生謝罪だった。


「おはようございます。今回の、私の事実誤認のコメントにより、ご迷惑をおかけした電通および菅前総理大臣に対し、あらためてお詫び申し上げます。このような事実に基づかない発言をテレビでしてしまったということ、それは、私の慢心と驕りがあったからだと反省致しました。申し訳ございませんでした」


 そう、玉川氏は「電通」「菅前総理大臣」の名を挙げ、謝罪したのだ。


玉川氏が謝罪すべきは、視聴者に間違った情報を提供してしまったことについてであり、この両者に謝る必要なんてまったくない。


 電通にかんしては、たしかに今回の弔辞を演出していたわけではないが、一方で、同社が自民党や安倍・菅政権のSNS戦略やイメージ演出をずっとおこなってきたのは事実だ。しかも東京五輪やコロナ事業で巨大な利権を与えられるなど、電通と安倍・菅政権は一体の関係と言ってもいい。弔辞にかかわっていなかったことを訂正する必要はあるが、なぜわざわざ謝罪する必要があるのか。


 菅前首相についてはなおさらだ。スピーチライターが電通でないというだけで、菅前首相の読んだ弔辞が「演出」されたものであるというのは、まさに玉川氏の指摘通りではないか。


 いや、菅氏の弔辞がやったのは演出どころではない。国葬直後に本サイトが指摘したとおり、菅氏は話を過剰に盛って、エピソードをでっち上げていたことが明らかになっている。


 その最たるものが、「山縣有朋の歌」のエピソードだろう。菅氏は死後、安倍氏が“読みかけ”だった山縣有朋の評伝を発見、ちょうど最後に読んだページに山縣が暗殺された伊藤博文を偲ぶ歌が載っていたとして、その歌を弔辞で紹介したのだが、実際は、この評伝と歌の話は、当の安倍氏が今年6月に葬儀がおこなわれたJR東海・葛西敬之名誉会長の追悼で引用したもので、菅氏の弔辞はその使い回しだった(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2022/10/post-6232.html)。


 また、菅氏は弔辞のなかで、献花の様子について、「ここ、武道館の周りには、花をささげよう、国葬儀に立ちあおうと、たくさんの人が集まってくれています。二十代、三十代の人たちが、少なくないようです。明日を担う若者たちが、大勢、あなたを慕い、あなたを見送りに来ています」とあたかも見てきたかのように語っていたが、実はこれも何の確認もしないまま、ギャンブルで盛り込んだということを自ら明かしている。(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2022/10/post-6233.html)。


さらに、ここにきて、「銀座の焼き鳥屋」のエピソードもでっち上げ演出の可能性が浮上した。


■「銀座の焼き鳥屋はどこの店?」と聞かれた菅前首相の驚くべき回答 萩生田が暴露


 菅氏が弔辞で披露した「銀座の焼き鳥屋」「焼き鳥屋で3時間」エピソードというのは、銀座の焼き鳥屋で3時間にわたって安倍氏に総裁選出馬を説得したというもので、国葬当日、トレンドワード入りするなど大きな話題になった。ちなみに、菅前首相は弔辞で以下のように語っていた。


「総理、あなたは一度、持病が悪くなって、総理の座をしりぞきました。そのことを負い目に思って、二度目の自民党総裁選出馬を、ずいぶんと迷っておられました。最後には、二人で、銀座の焼き鳥屋に行き、私は、一生懸命、あなたを口説きました。それが、使命だと思ったからです。
三時間後には、ようやく、首をタテに振ってくれた。
私はこのことを、菅義偉生涯最大の達成として、いつまでも、誇らしく思うであろうと思います」


 ところがこの「銀座の焼き鳥屋」、ほんとうに実在するのかかなり怪しくなってきたのだ。それは、ほかでもない、「あの銀座の焼き鳥屋ってどこの店?」と聞かれた菅氏が驚くべき答えをしていたからだった。


 国葬があった夜、菅前首相が統一教会とズブズブの萩生田光一・自民党政調会長と面談したことが話題になったが、その萩生田氏が、9月30日のブログで菅氏とのその際のやりとりをこう書いたのだ。


〈この夜はお互いの日程の合間をぬって菅前総理と二人で安倍さんを偲び献杯しました。「再度総裁選への挑戦を決意させた銀座の焼鳥屋ってどこですか?」と聞くと、「それが日程にも書いてなくて思い出せないんだよ。萩生田、聞いて探してくれ」と頼まれました。当時、酒を飲まなかった二人が三時間もいた焼鳥屋さんはさぞ迷惑だったでしょうね(笑) 探してみることにしました。〉


 そう、菅前首相は「銀座の焼き鳥屋」と具体的に語っておきながら、それがどこの店か「思い出せない」としてまったく答えられなかったのである。


 いったいそんなことってありえるのか。そもそも、首相経験者である安倍氏と総裁選出馬について密談をするのに、予約もなく知らない店にふらっと入るなど考えられない。どちらがセッティングしたとしても可能性のある店は数店であり、どの店だったかくらい少し調べればわからないはずがない。


 にもかかわらず、菅氏が「思い出せない」「日程にも書いていない」などというのは、実は、銀座の焼き鳥屋なんて行っていないからではないのか。


■安倍元首相の癒着記者・山口敬之が書いていた“菅義偉が安倍晋三を最後に説得した場所”


 実際、菅氏が安倍氏に最後に出馬を説得したのは「別の場所」だったというリアルな証言もある。


 それは、ほかでもない安倍政権の腰巾着ジャーナリスト・山口敬之氏の証言だ。山口氏といえば、TBS政治部記者時代から、安倍・菅両氏とのべったりな関係は有名で、安倍氏が自民党総裁選に再出馬する際も、現役記者でありながら、安倍・菅両氏の間で伝書鳩の役割まで果たしていた。


 山口氏は著書である『総理』(幻冬舎)で、その経緯を自慢げに書き綴っている。


 当時、安倍氏は総裁選出馬か不出馬かかなり揺れていた。自民党総裁選を翌月に控えた2012年8月中旬の休日の夕方、山口氏は安倍氏と代々木のレストランで会食するのだが、そこで、安倍氏から「出馬見送り」の意向を聞かされる。山口氏の著書では、その後の菅氏の動きがこう書かれている。


〈安倍と別れてすぐ、私は菅に電話を掛けた。
「今日の様子だと、安倍さんはやっぱり出ないと思いますよ」
「え、やっぱり? 今日会ったの? 何て言っていた?」
 私は正直に伝えた。菅は珍しく電話の先で数秒黙り込んだ。
「……これから行ってくるわ」
 電話を切ってすぐ菅が向かったのが、東京・富ヶ谷の安倍私邸だった。背広の内ポケットには議員要覧を携えていた。全国会議員の顔写真入りのリストをまとめた小冊子である。
「このグループは、石原支持ですが、決選投票になればこちらに来ます」
「この議員は実は、初回投票から決選投票まで一貫して安倍さんに投票してくれます」
 菅は、出馬を躊躇する安倍を言葉で説得するのではなく、総裁選の票読みをして見せたのである。〉


〈しばらく黙り込んだ安倍が、ついに口を開いた。
「やってみる価値はあるね」
 これ以降、安倍が不出馬方向にぶれることはなかった。〉


 つまり、山口氏の『総理』によれば、出馬の決意をさせた説得の場は「安倍氏の富ヶ谷の私邸」、しかも、情緒的な説得などではなく、生々しい“票読み”だったのである。


 改めて言うが、この証言をしているのはただの政治記者ではない。安倍元首相の官邸執務室でのオフショットを自著の表紙に使うことを許され、自らが起こした性暴行事件の揉み消しやTBSを辞めた後の再就職を当時の官房長官である菅氏に依頼したとされる、まさに安倍・菅両氏の側近中の側近だった癒着記者なのだ。しかも、当時、菅氏による安倍氏説得そのものに全面協力していた人物だ。


 そんな人物が著書で明かした裏話にはっきりと書いているのだから、「私邸での説得」が真相と考えていいだろう。


 実際、安倍氏は、2012年の早い段階から総裁選の再出馬に色気を見せており、あとは「勝てそうかどうか」の判断で迷っていただけだ。そういう意味では、具体的な票読みで勝算を示し、説得したという山口氏の記述は筋が通っているし、そんな生々しい話は、自宅かホテルの一室などでするのが普通だ。少なくとも、銀座の焼き鳥屋でするような話ではないだろう。


■「銀座の焼き鳥屋」はどこからきたのか、弔辞のスピーチライターと目される人物の“前科”


 では、なぜ菅前首相は、「銀座の焼き鳥屋」などと言ったのか。どこの店かも覚えておらず、メモも残っていないのに、「銀座の焼き鳥屋」「3時間の説得」というところだけやたら具体的なのはなぜなのか。


 実は、ある本にこの弔辞とそっくりのことが書かれていた。ノンフィクション作家・大下英治氏の著書に“8月15日の夜、銀座の高級焼き鳥屋で、「今こそ日本には安倍さんが必要」などと3時間にも及ぶ話し合いの末、菅が安倍を口説いた”という旨のくだりが出てくるのだ。


 もっとも、大下氏のノンフィクションといえば、かなり盛ったドラマチック演出が随所でなされていることで有名。


 実際、安倍元首相もそうした印象を持っていた節がある。安倍応援団の八幡和郎氏が、安倍元首相からNetflixの英王室を描いたドラマが本当のことかどうか意見を求められたときのエピソードを書いているのだが、八幡氏が「だいたい大下英治さんの政界ものと同じくらいには真実と思っていいと思いますよ」と答えると、安倍元首相が大笑いしたのだという。


 菅氏本人がどこの店なのか記憶にない、ということを考えると、「銀座の焼き鳥屋」エピソードも大下流のドラマチック演出、もしくは菅氏の周辺が語った未確認情報をそのまま書いたものだったのではないか。


 ところが、弔辞のスピーチライターが、菅氏本人に確認しないまま大下氏の著書を“逆輸入”して書いてしまった──。


周知のように、今回の菅氏の弔辞は、安倍元首相のスピーチライター・谷口智和氏の手によるものという見方が流れている。


 谷口氏のスピーチ原稿は、プーチン大統領来日の際の「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」に代表されるような「ポエムっぽさ」が売りだが、一方で「しょぼい元ネタ」の存在もよく指摘されてきた。たとえば、「ウラミジール、駆けて、駆け、駆けぬけよう」も極右ヘイト雑誌「月刊Hanada」(飛鳥新社)で谷口氏が安倍御用評論家・小川榮太郎氏とおこなった対談記事のタイトルが元ネタだった疑惑が指摘されている(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2019/09/post-4971_2.html)。


 山縣有朋の歌のくだりの使い回しもそうだが、もし、弔辞のスピーチライターが谷口氏だったとすれば、大下氏の著書から(「銀座の高級焼き鳥屋」の「高級」だけカットして)そのまま持ってきた可能性は十分あるだろう。


■「菅前首相の弔辞が演出されたもの」という玉川徹の指摘は間違っていない


 もちろん、大下氏の書いているように、当時、安倍・菅氏が「銀座の焼き鳥屋」でほんとうに会っていたのに、菅氏がボケて忘れてしまった可能性もゼロではない。


 しかし、いずれにしても、そこで最後の決め手になるような説得がなされたとは考えられない。そこまで重要な会談なら、菅氏もさすがに場所を覚えているということはもちろん、安倍元首相に再出馬を決意させたのは、側近中の側近記者・山口氏が書いているように“票読みによる説得”であり、そんな話を、焼き鳥屋などでするはずがないからだ。


 実際は安倍氏の私邸で「誰が投票してくれるか」という生々しい話をして説得したのが事実なのに、菅氏サイドは「銀座の焼き鳥屋」を出すことで、サラリーマン同士の熱い絆のような庶民風のいい話に仕立てた、つまり「演出」したということではないか。


 ここで思い起こされるのが、問題になった玉川氏の発言だ。玉川氏の発言は、菅氏の弔辞が感動を呼んでいるという状況についてのもので、「これこそが国葬の政治的意図だと思う」と一刀両断した上で、こうコメントしていた。


「僕は演出側の人間として、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういうふうに作りますよ。政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ、当然。これ、電通が入ってますからね」


 あらためて菅氏の弔辞をめぐる疑惑を知った上で、このコメントを振り返れば、「これ、電通が入ってますからね」という部分以外は、すべて正しい指摘だったと言ってもいいのではないか。


 にもかかわらず、テレビ朝日は玉川氏を謹慎10日間という処分にして、菅前首相に直接、謝罪をさせたのだ。そして、その後もスタジオに出演させずに、「取材」というかたちで、露出をどんどん押さえ込もうとしている。


 テレビ朝日といえば、傘下の「ABEMA」が悪質な沖縄差別デマを扇動するような報道をし批判されているが、こちらは何の対処もせずに放置している。それと比較すると、玉川氏に対する対応がいかに過剰で、異常かがわかるだろう。


 その背景には、もちろん、早河洋会長や篠塚浩社長と自民党政権の癒着、自民党幹部への忖度がある。


「テレビ朝日が特に弱いのが、菅前首相、世耕(弘成)参院幹事長、萩生田政調会長の3人。いずれも、過去に抗議をされて全面屈服したという経緯がある。また、どの問題でも篠塚社長がかかわっており、いまもパイプがあるため、少しでも批判的な報道をすると、上から圧力がかかってくる」(テレビ朝日関係者)


 統一教会報道でも明らかなように、テレビ朝日はいまや、民放ではフジテレビと肩を並べる政権御用放送局と化している。そして、最後の砦であった玉川氏がこういう状況になったことで、その傾向がさらに加速していくのは間違いないだろう。


(編集部)

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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