(以下引用)
そうした中、日本では芸能界を舞台にしたスキャンダルに人びとの関心は向いているようだが、芸能界が腐敗していることは昔から言われていること。身内の人間が芸能界入りすることは反対されたものだ。そうした世界だからこそ、社会的な弱者が集まったとも言える。ある時から芸能界は健全化したと宣伝されるようになったが、個人的な腐敗から組織的な腐敗へ変化しただけのように見える。
芸能界に深く関係していた笠岡和雄は2017年に『狼侠』という本を出版している。この人物は2代目松浦組傘下の大日本新政會で総裁を務めていた。その笠岡によると、1992年に暴対法が施行された後、テレビコマーシャルで荒稼ぎするための会合がバリ島で開かれ、芸能界の大物、広域暴力団の組長、右翼団体の会長、広告代理店の役員らが出席したという。
これはカネ儲けの仕組みで、企業のスキャンダルを調べたうえで右翼団体や総会屋を使って脅し、広告代理店が芸能界の大物を紹介、脅しは止まる。その代償として特定の芸能事務所に所属するタレントを使ってCMを流さなければならなくなる。いわゆるマッチポンプだ。アメリカで発覚したジェフリー・エプシュタインの事件と同じように、スキャンダルを作り出す仕組みも作られ、後に警察の幹部も芸能事務所の顧問として組み込まれたと言われている。現在、特定の芸能事務所や芸能人が槍玉に上がっているが、そうした小さな問題ではない。