スーパーに買い物にゆくと、「また価格が上がってる」と暗い気持ちになる毎日だ。
昨日今日に始まった値上げ傾向ではない。食料インフレが始まって、すでに5年くらいは経過している。
最初は、野菜類、生鮮食品だった。あらゆる野菜が、2017年あたりを境にして、急激に上がった。毎年少しずつ違うが、これまで、ありふれた大衆野菜といわれた馬鈴薯・タマネギなどが信じられないような価格で売られるようになった。
肉類や卵は、変化が少ないので、そちらにシフトし、野菜を食べなくなった。
今年に入ってからは、これまで値上がり幅が少なかった主食の小麦や、その製品であるパンなどが、驚くほどの値上がりを見せている。
丸亀製麺やはなまるうどんまで、値上げを繰り返すようになった。
これまで、数十年の間、懐具合の寂しい大衆の味方だったファミレスや松屋・すき家・吉野家といったフードチェーン店で、軒並み大きな値上げが始まっている。コメダやマクドナルドも例外ではない。
ガソリンも、旅館代も、食事も、生活雑貨も、あらゆるものが値上がりし、驚くほどカネの価値が小さくなっている。カネが入っても、あっというまに消えてゆくのだ。
だから、ほとんどの人が、これまでの散財を抑制し、休日に遠方にドライブに出かけていたものが近郊に変わり、さらに、車で出るのをやめて、近所の喫茶店で茶を濁したりというライフスタイルの急激な変化が起きている。
飲食供給業は、コロナによる打撃が著しく、どこも閉店や倒産の危機に怯え、生活水準を下げるしかない状態が続いている。
実際に、コロナ禍以降、閉店してしまった飲食店は数え切れないほどだ。
「値上げ=生活に必要な出金を抑える」というのが、今、もっとも関心を持たれているトレンドだ。
世界に目を向けると、状況は日本国内どころの騒ぎではない。戦争が続いている欧州東部ウクライナだけでなく、この戦争の影響を受けて食料調達が困難になっている人々の数は、世界人口の1割以上である。
【国連報告書】世界の飢餓人口 年4600万人増え8億2800万人 2021年2022年7月8日
現在の世界人口は約78億人、うち8億人超が飢餓に苦しんでいるわけだ。
多くの国は、日本ほど自然環境に恵まれていないので、簡単に食料の生産ができない。それを蝗害とコロナ禍が直撃した。
日本が他国に比べて恵まれていることは、①豊富な降水量 ②温暖な気候 ③山岳地帯が8割を占めるため、自然環境が良いこと。などが挙げられるが、歴史的にも、深刻な食糧危機が起きたとき、いわゆる「救荒作物」があり、野山の自然による恵みが豊富なことから、大陸平原地帯ほど、凄まじい事態にはなりにくかった。
それでも、江戸時代の寒冷期=マウンダー極小期に伴うミニ小氷期には、多数の冷害凶作飢饉が発生し、津軽など東北では数十万人の餓死者が出て、人肉しか食べるものがないという極限の飢餓にまで追い込まれている。
一方で、賢明な君主のいた米沢藩では、藩による民衆救済が功を奏して餓死者が皆無だったともいわれる。このとき、それほど遠くない秋山郷は、飢餓によって全滅している。
現在、日本は異常気象の真っ最中で、温暖化といいながら実は寒冷化しているが、これは、江戸時代と同じマウンダー小氷期のサイクルが再び襲ってきていて、2030年から、本格的な小氷期に入るといわれている。
今年の夏、異常に降雨が多かった理由は、この小氷期の前駆活動によるものといわれている。
この先、毎年、このような不順な天候が続くことで、農産物の収穫は地球規模で激減すると指摘されている。
「本当に食べるものがない!」
という時代が、目の前まで来ている。アイドルなんかに浮かれている場合ではない。来年、どうやって食べて命をつなぐかが、喫緊の課題になろうとしている。