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宮古島の政治と社会の現状

政治関係の記事だが、ローカルな話であり、「徽宗皇帝のブログ」には既に記事をふたつ載せたので、こちらに載せておく。
宮古島は私の生まれた土地であり、現在でも親戚縁者がいる土地だ。その土地に政権交代が起こったのは興味深い。
引用記事は「阿修羅」に載っていた「長州新聞」記事で、毎度ながら、全国紙(すべて御用マスコミ)など足元にも及ばない実に深い内容である。

長い記事なので、選挙関係の話である前半はほとんど省略し、宮古島の現状を記述した(地元民でもあまり政治の全体像が頭に入っていないだろう)後半部分を転載する。

(以下引用)


宮古島市長選の痛快な勝利 市民の力束ね政府バックの現職破る 自衛隊ミサイル配備に揺れる島(長周新聞)
http://www.asyura2.com/20/senkyo278/msg/659.html
投稿者 赤かぶ 日時 2021 年 1 月 24 日 22:30:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

宮古島市長選の痛快な勝利 市民の力束ね政府バックの現職破る 自衛隊ミサイル配備に揺れる島
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/19950
2021年1月21日 長周新聞


当選確実となり、万歳三唱する座喜味一幸(左端)陣営(17日、宮古島)

 沖縄県内で今年最初の首長選となる宮古島市長選が17日に実施され、オール沖縄の推薦を受けて「市政刷新」を掲げた新人の座喜味(ざきみ)一幸氏が、自民・公明両党が推す現職の下地(しもじ)敏彦氏に勝利した。国政与党に支えられて3期12年市政トップを握ってきた下地敏彦前市長は、辺野古新基地建設をはじめとする米軍基地問題で容認姿勢をとる市長連合「沖縄の振興を考える保守系市長の会」(県内9市長、通称チーム沖縄)の会長であり、宮古島市では2015年から表面化した陸上自衛隊ミサイル基地や弾薬庫建設を積極的に推進してきた。市長選は、「防衛力強化」の名の下に市民生活や地元産業を蔑ろにして郷土を売り渡し、その利権を私物化する市政運営への批判世論を反映し、市民の強烈な鉄槌が下される結果となった。

市政私物化と軍事利用に鉄槌 従来の枠こえ「市政刷新」要求



(略)


市民生活疲弊させた「宮古バブル」 ハコモノ行政で財政も逼迫


総工費が120億円に膨れあがった宮古島市の新市庁舎建設現場(昨年3月)

 市政刷新を求める市民世論の背景には、3期12年に及ぶ下地市政で進んだ露骨な市政私物化や利益誘導があり、そのもとで疲弊した島の暮らしがある。

 2015年に国内最長の無料橋である伊良部大橋(長さ3540㍍)が開通したことを契機にして宮古島は空前の観光ブームに火が付き、国内外から年間110万人をこえる人が訪れる県内有数の観光地となった。そのバブルじみたインバウンドに目を付けた本土や外資系ファンドが土地を買い占めてリゾート開発が進み、本土から従業員をはじめ、ゼネコンなどの大手業者が作業員ごと乗り込んだため住宅需給が逼迫。アパートやマンションの建設ラッシュが始まったが「1DKで10万円」という都心並みの価格となった。

 地価や物価が急上昇する一方で、「地元住民の賃金レベルは月12~13万円程度で、時給790円の全国最低の沖縄県のなかでも最低水準。だから島内に若者が住める家がなくなり、みんな島の外に出て行ったまま帰ってくることもできない」といわれる事態となった。

 人員不足や資材の高騰によって1平方㍍あたりの建築単価が平均32万円と県内最高値となるなか、下地市政が進めたのが大規模公共事業だった。市庁舎(築27年)の新築計画は、下地前市長と「二人三脚」といわれる下地幹郎代議士の出身企業である大米建設に一括受注し、当初105億円だった建設費はその後120億円にまで膨れあがった。この庁舎建設だけで島外作業員がのべ7万8000人(人件費9億円)にのぼったことも高騰の要因といわれ、公費の追加支出における運用基準の逸脱が市議会で指摘されている。

 また、図書館を併設した未来創造センター(54億円)、スポーツ観光交流施設のJTAドーム(44億円)、住民が急減している伊良部島への野球場建設(30億円)や統合中学校建設も計画するなど、あいつぐハコモノ建設を身内企業に発注し、「216億円の合併特例債や地方一括交付金も使い切ってしまい、市の財政破綻は時間の問題」「人口5万人程度の島でなぜこれほど大規模な施設が必要なのか」と批判を集めてきた。

 ある市民は「米軍をはじめとする県内の防衛事業を請け負ってきた大米建設を中心に特Aクラスの業者しか公共事業の恩恵にあずかっておらず、大事にされてこなかった下請企業でも離反が進んだ。税金を注ぎ込んだ一時的なバブルは、終わった後にその反動が必ず来る。宮古島のような離島は、国の補助金が必要な農業や漁業が中心で、土木事業も国の予算に左右されやすいので歴史的に保守の地盤だった。だが、国をバックにして一部の政治家や業者だけが利益を独占し、恩恵の多くは島の外に出て行く仕組みになっており、その一部が政治資金として族議員の手元に入る。“国との太いパイプ”によって島がどうなったのかが明るみに出ることによって変化が起きた。国会議員の操り人形のようにコントロールされることへの反発だから、いくら中央から大臣クラスが現職の応援に来ても逆効果でしかなかった」と話した。

 また別の市民は「コロナによってインバウンドが蒸発し、島内のホテル建設も一斉にストップ。逼迫していた不動産需要もなくなって空き部屋が増えたが、建設費の減価償却ができないため家賃が下げられないという悲惨な状態になっている。国のヒモ付き交付金や不安定なインバウンド需要に依存した経済よりも、地場産業を中心にした堅実な地域振興を求める世論が強まり、座喜味候補はサトウキビをはじめとする農業振興への転換を掲げた。これまで多くの市民が望んでいたことだ」とのべた。

敵基地攻撃の最前線に 住民の安全は度外視



 その市政私物化の過程で進んだのが、国策による島の軍事要塞計画だった。防衛省は、南西諸島一帯で配備を進める自衛隊の司令部を宮古島に置くことを決め、野原地区に指揮所と警備隊、さらに「第七高射特科群」(地対艦・地対空ミサイル部隊)の総勢800人を配備し、さらに島東部の保良地区には地対空(570㌔)、地対艦(700㌔)のミサイルを保管する弾薬庫や射撃訓練場の建設を進めている。

 この配備計画も市民に信が問われたことは一度もなく、候補地選定にはじまり、用地売却から工事着工まで国、市長、関係業者によって市民の頭越しで進められてきた。配備されるミサイル部隊は、車載式部隊であり、相手から攻撃を回避するために島中を移動しながらミサイルを発射することを想定しており、自衛隊が回避したミサイルを受けるのは落下地点の住民となる。防衛省は「そのさいは市街地を走らない」というだけで、有事の住民保護については想定も計画もない。さらに施設の規模、仕様、保管する弾薬量に至るまで「防衛上の秘密」として明かさないばかりか、基地内に「つくらない」と説明してきた弾薬庫やヘリポートの存在が後から判明している。

 山や川がなく、水不足に悩まされてきた宮古島は、地下水脈や地下ダムが暮らしの生命線であり、化学物質による汚染やミサイルなどの攻撃で地下水源が断たれると、農業はおろか命の危険にさらされるため、市民からは慎重な検討を求める声が絶えない。

 だが、市民の窓口となるべき市政は、島の将来や生活に不安を持つ住民からの質問や陳情を門前払いし、市長同席の住民説明会も開かないなど、「国防は国の専権事項」「市が説明する義務はない」という立場を一貫してとり続けた。

 この問題にとりくんできた男性は、「国のミサイル防衛計画が明るみに出るに従って、宮古島が敵基地攻撃の最前線にされるという青写真が広く認知されるようになった。災害救助隊としての自衛隊は容認できても、米軍と一体化し、住民を盾にして近隣国との緊張を煽ったり、戦争の火付け役となる自衛隊は容認できないというのが多くの市民の思いだ。宮古島で進行する配備計画は、住民防護ではなく、住民の命と暮らしを脅かすものであり、宮古島を発火点にして沖縄や日本全土を戦争に巻き込む危険性もある。新市政には住民の側に立った情報公開や対話が求められるし、必要に応じて国に対していうべきことをいわなければいけない。それが市民が求める市政刷新の中身でもある」と話した。

 別の男性も「下地市長自身の問題もあるが、それをバックで後押ししてきたのが国だ。市民の声を権力と金力でねじ伏せ、島の経済も民主的な行政運営までも歪めてしまった。それは辺野古問題をめぐる沖縄県への仕打ちや、福島など原発立地自治体に対する残酷なやり方とまったく同じだ。イデオロギー争いではなく、生活に根ざして立場の違いをこえた市民の力で選挙を突き動かしたことは大きな快挙だった。オール沖縄や玉城県政はこれまで自衛隊基地問題には及び腰だったが、市民の命と暮らしを守るために妥協することなく国に対峙していく姿勢を示していかなければ、逆に足元をすくわれる。県民の声に耳を傾け、地に足を付けて、沖縄の軍事基地化に対する全県民の力を束ねることが必要ではないか。これは終わりではなく始まりだ」と話した。

 新市政もまた、下地市政を退場に追い込んだ市民の力に縛られる関係にあり、「市政刷新」の公約を誠実に実行することが今後注目されることになる。

 沖縄県内では今年2月に浦添市、4月にうるま市の市長選が続き、秋までに予定される衆院選を経て、来年2月には名護市長選、同9月に知事選も控えている。選挙年の端緒を開いた宮古島市長選勝利の教訓を広く共有することが求められている。


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