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テレビは完全に「この世界の片隅に」を黙殺しているらしい

「日刊リウイチ」から転載。
観た人はほとんど全員絶賛の映画だのに、テレビではほとんど黙殺という異常事態。それほど芸能プロの圧力は強いのか。しかし、片淵監督が、こうなる可能性をおそらく予測していたにもかかわらず、あえてのんを主演声優に起用した創作者としての誠実さと勇気と義侠心を讃えたい。


(以下引用)



【11月14日】 目が覚めたんで朝の情報番組とかボーッと見ていたけれども映画「ミュージアム」の封切りとか「溺れるナイフ」の顔ペロシーンとかが紹介されても片渕須直監督による長編アニメーション映画「この世界の片隅に」に関する話はいっさいなし。あれだけ世間を騒がせ年末の紅白でも寸劇にされた国民的ドラマ「あまちゃん」のヒロインが初めて主演の声を担当したアニメーション映画が公開され、テアトル新宿は土曜日だけでなく日曜日も全席完売になって立ち見すら売り切れる事態になっているというのに、どうしてテレビがトピックとして取り上げようとしないのか。理由は薄々分かっているけど事ここに及んでやっぱり異常としか言いようがない。

 これが誰も知らない単館上映のアート作品で、新聞各紙でも隅っこにベタで紹介している程度の映画だったらテレビが食いつかないのも仕方が無いけれど、公開前日の11月11日の新聞は朝日読売毎日東京日経が夕刊で画像入りで評論家によるレビューとして大きく取り上げ、東京では夕刊のない産経も朝刊で片渕須直監督のインタビューを載せて大いにプッシュしていた。その週末に公開される映画として全国紙が揃ってナンバーワンとしての推しっぷり。これはとてつもないことなんだけれど、テレビというメディアに舞台を写すと欠片も扱われないで半ば存在しないことにされてしまっている。新聞が紹介している以上はバリューがない訳じゃない。芸能的にも推せる要素はいっぱいあるにも関わらず、スルーするテレビメディアを異常と言わずして何と言う? 普通だったらあり得ないだろう。

 そんなあり得ないことが起こってしまうメディアにテレビってところは成り下がってしまった。もしかしたら女性誌なんかも成り下がってしまっているかもしれない。あれだけふんだんに存在する女性向けの雑誌でまともに「この世界の片隅に」なり主演ののんさんを取り上げていたのって「婦人公論」くらいだったし。あるいはテレビの中でも昔ながらの反骨精神で、権力が何と言おうとも凄いものは凄いと言う真っ直ぐさを持っている人がいたり、そうではなくって他がやろうとしないなら自分ところは抜け駆けしてでも大きく取り上げ、将来の超メジャー化に備えて青田買いしておこうと企む人がいたりしたって良いかもと思っていたけど、そんな人は終ぞ現れなかった。もう本当にダメになっているのかもしれないなあ、テレビってところは。それに世間は気付かないと思っているのなら、ますますダメになっていくんだろうなあ。

 そんな「この世界の片隅に」の週末の興行成績が出て10位はとりあえずランキングには入っているものの、後がない感じてやっぱりもうちょっと上にいて欲しかったかなあという印象。そりゃあ60館ちょっとで数百館が公開するメジャー映画に挑んで10位なら万々歳だけれど、世間の人はそうした事情なんて斟酌せずに10位は10位なんだとしか認識しない。そして来週にもラインキングからいなくなったらもう過去の物として忘れ去っていってしまう。そうさせないためにももうちょっと、地方の劇場でいっぱいの動員が欲しかったけれど女性層へと届く回路がごっそりと抜けていると、新聞くらいしか読まない高齢者を除いてミドルの女性層が存在すら知らないでいたりする。そうした層を惹起していけばランキングもアップして世間も存在を話題にするようになるんだけれど。だから来週末こそが大事。また行こうどこかの劇場へ。


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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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