元広島市長の平岡敬さん=2023年5月21日午後1時58分、広島市中区、大滝哲彰撮影© 朝日新聞社

 G7広島サミットが閉幕した。最終日にはウクライナのゼレンスキー大統領が参加するセッションも開かれたが、1991年から2期8年にわたって広島市長を務めた平岡敬さん(95)は憤りを隠さない。


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 岸田(文雄)首相が、ヒロシマの願いを踏みにじった。そんなサミットだったと考えます。


 サミットでは、米英仏という核保有国と日本をはじめとする米国の「核の傘」の下にある国々が、広島という地に集まり、核軍縮や不拡散といった軍事面が主に議論されました。


 しかし、本来は核が人間に与えた悲惨さを考えるべきです。核を全否定し、平和構築に向けた議論をすべきでした。


 加えて、19日に合意された「広島ビジョン」では、核抑止力維持の重要性が強調されました。

 戦後一貫して核と戦争を否定してきた広島が、その舞台として利用された形です。


 核兵器禁止条約に署名・批准した国と地域に「広島が核を許容した」と思われてしまう。こうした国々は広島を見ているのです。今後、広島が信用されなくなり、ものを言えなくなります。


 だからこそ、議長国である日本の岸田首相は、とても罪深いと言わざるを得ません。


 ウクライナのゼレンスキー大統領が招かれました。これは、いかにも政治的なパフォーマンスです。中国とロシアに対して、西側諸国の結束をアピールしたいという狙いが透けて見えます。


 さらに、G7首脳との間では、軍事的な支援の強化が約束されました。「広島選出」を強調する岸田首相は、戦争を是認し、激化させることを広島の地で許したことになります。


 核を否定し、平和を訴えてきたヒロシマを、これ以上利用するなと言いたいです。


 広島を舞台にしてウクライナ戦争を議論するならば、一日も早い停戦と戦後復興について話し合われるべきでした。


 中国とロシアを非難するだけでは、緊張が高まるだけです。いかに対話をするか、和解のシグナルを発信する必要があります。


 戦争の種をなくし、平和を構築する。それが、岸田首相をはじめとするG7首脳たちに求められていることです。(聞き手・大滝哲彰)