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司馬遼太郎の非戦論

福井雄三と言う人の書いた「歴史小説の罠」という本を、筆者がネトウヨ的人物と知らずに図書館から借りてきて、読み始めて後悔したのだが、その中に、私にとって興味深い部分があったので紹介する。筆者の福井氏が「念仏平和主義」として批判的に引用している司馬遼太郎の発言だが、私が前々からブログに書いてきた内容とそっくりなのである。
その発言は昭和四十四年『文芸春秋』十二月号での梅棹忠夫との対談でのものらしいが、私は多分読んでいない。つまり、司馬遼太郎と私は「非戦思想」に向けられる「敵が攻めてきたらどうするのだ」というお決まりの詰問に対し、同じ考えに到達している、ということだ。
なお、占領者によって非道な目に遭わされたらどうするか。その場で相手を殺せばいいのである。もちろん、自分も処刑されるだろう。だが、戦争で死ぬ(お互いに殺し合う個人的理由の無い兵士同士や市民同士が殺し合う)よりはるかにマシな死に方だと私は思っている。それに、戦争とは違ってその場合は死ぬのは自分だけだ。そもそも植民地支配は(米国の日本に対するステルス支配は例外として)経済的に割に合わない、ということは現代の常識だろう。

(以下引用)

「戦争をしかけられたらどうするか。すぐに降伏すればいいんです。戦争をやれば百万人は死ぬでしょう。レジスタンスをやれば十万人は死にます。それより無抵抗で、ハイ、持てるだけ持っていって下さい。向こうが占領して住みついたらこれに同化してしまうがよい。それ位柔軟な社会を作るのが、われわれの社会の目的じゃないですか。」

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