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風の中の鳥 35

第三十四章 死者のベッドも楽し

 その晩、ライオネルは静かに息を引き取った。
 翌日、葬儀の後で、フリードは、ミルドレッドに、今の自分は国王の座を追われた身であることを打ち明けた。
「で、あんたはどうしたいのさ。ケスタの軍と戦って国王の座に返り咲きたいのかい。それとも、何かやりたい事でもあるのかい」
 ミルドレッドにそう言われて、フリードは考え込んだ。果たして、自分は国王の座に戻りたいのだろうか。
「もしも、国王の座に返り咲きたいのなら、昔の仲間に連絡すれば、一緒に立ち上がってくれると思うよ。でも、本当にそうしたいのかい?」
「いや、そうでもない」
 フリードは煮え切らない答えをした。
「ケスタが私を追討する軍を出している以上、それに追いつかれたら戦わざるを得ないが、あまり戦いたくはない。無駄な犠牲を出したくないのだ。それに、国王の座にも大して未練はない」
 ミルドレッドは微笑んで頷いた。
「そうさ。国王なんて、国王になりたい奴がやればいいんだ。あんたや私のような人間は、宮廷の中に収まっているより、自由に生きているほうが、よっぽど楽しいはずさ。ライオネルには悪いけど、私はこの領地も財産も捨ててもいいんだ。さあ、あんたと私の新しい生活を祝って、ひとつやろうじゃないか」
「何をだ?」
「決まってるよ」
 ミルドレッドは、フリードに接吻し、彼の股間の物をぎゅっと握って言った。
「もう私の物は濡れっぱなしだよ」
 昨日までライオネルが寝ていた寝台に、二人は縺れて倒れこみ、素っ裸になった。
 裸になったミルドレッドの体は思ったより細身で締まっており、美しかった。
フリードはそのミルドレッドと心行くまで交わり、この数日の心労を忘れたのであった。

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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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