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「命の選別」問題再考

「大摩邇」所載の「東海アマ」ブログにれいわ新選組の木村英子氏の文章が載っていたので、転載する。
まあ、大西氏が持論を変えるつもりがないなら、それはれいわ新選組の党是と真っ向から対立するわけで、離党するか除名されるしかないだろう。
ただ、大西氏は本気で「命の選別」は絶対に必要だと考えているのだろうか。私は「カルネアデスの板(舟板)」や「トロッコ問題」のような緊急避難の場合にのみ命の選別問題が生じるのであって、それをしなくて済むようにするのが政治の使命だろうと思っている。
で、「命の選別は必要だ」と言う論者に限って、「自分が選別される側」という状況を考えない傾向があるように思う。(大西氏にもそんな気配がある。)
私もいつも「老人より若者の命を優先せよ」と言うが、それは私が老人であるからでもある。つまり、「公正さ」を第一に考えるなら、既に人生を十分に経験した老人より、人生をまだ十分に味わっていない若者に「生きる権利」を優先的に与えるのは当然だ、という考えである。
ここに日本の総理大臣と三歳の幼児が洪水に溺れていて、どちらかを救わねばならないなら、三歳の幼児を救うのが当然だ、という話である。私自身と三歳の幼児でも同じことだ。これは、現在の日本の総理大臣が消えたほうが日本の幸福だ、というのとは別の話だ。どんな優良な総理大臣と三歳の幼児(将来ヒトラーの再来になるかもしれない)でも「老人より若者の命を優先せよ」という原則としては同様なのである。


(以下引用)

 大西つねき「命の選別が政治家の使命」発言に対して、木村英子参議院議員が批判文を公開したので転載する。
 https://eiko-kimura.jp/2020/07/15/activity/1053/

 2020/07/15
 今回の大西氏の「命、選別しないとだめだと思いますよ。はっきり言いますけど、その選択が政治なんですよ」という発言を聞いて、施設にいた頃の私のトラウマを思いだし、背筋がぞっとしました。

 「命の選別」それが政治によって決められる世の中になったら、常時介護の必要な重度障害者の私は真っ先に選別の対象になるでしょう。

 障害を持った幼い時から自分の命を誰かに預けなければ生きていけない私にとって、他者に従うことは絶対でした。私の命、私の身体、私の生活、すべてを他者にゆだねるということは、支配されてしまうことです。

 「命の選別」、この言葉は、私が幼いころから抱いていた、「殺されるかもしれない」という避けがたい恐怖を蘇らせました。大西氏の発言は、自分の命を人に預けなければ生きていけない人たちにとって、恐怖をあたえる発言であり、高齢者だけではなく障害者も含めた弱者全体を傷つけた暴言であると思います。

 「人は生きているだけで価値がある」という理念を掲げた政党であるれいわ新選組の一員から、今回の発言が出たことに、私は耳を疑いました。

 とても悲しかった。そして、地域で差別と闘ってきた私の35年間の活動が否定されたようで、とても悔しく、怒りを抑えられませんでした。

大西氏の発言についての当事者の意見を聞く会において、当事者たちが涙ながらに意見を訴えたにも関わらず、大西氏は自分の主張がいかに正しいかを話すだけで、当事者の必死な訴えに理解を示そうとはしませんでした。

さらに、命の選別発言の動画に対して、謝罪と撤回をホームページに載せたにも関わらず、当事者の話を聞いたその翌日に、再び動画を公開し、これからも命の選別の主張を続けていこうという意思表示に私たちは恐怖を拭い去れません。

大西氏の処分は総会で決まることになっていますが、私は、今回の大西氏の発言は、決して許すことはできません。

 しかし、これは大西氏だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあると思います。程度の差はありますが、大西氏と似たような考えを持つ人は少なくありません。

幼い時から障がい者と健常者が分けられず、日頃から関係性があれば相手の苦しみを想像することができたと思いますが、現状は、障がい者と健常者が、一緒に学び、一緒に働き、一緒に生きる社会の構造にはなってはおらず、お互いを知らないことで、誤解や偏見が蔓延してしまい、無意識のうちに差別が生まれてしまっているのです。

今回の発言は、まさに分けられていることの弊害なのです。

 れいわ新選組は憲政史上初、重度の障害をもった国会議員を生み出し、社会に迷惑とされている弱者が政治に参加するという誰もやったことのないことを実現した初めての党です。

 誰一人として排除されない社会を作るために、それぞれの苦しみや怒りを抱えた当事者が政治に関わることによって変えていける、それが誰もが生きやすい社会を作るために一番必要な政治のあり方だと私は思います。

 今回の件で、弱者に対する差別が明るみに出ましたが、私は、自らの掲げる理念である「共に学びあい、共に助けあい、共に互いを認めあい、共に差別をなくし、共に生きる」を実現し、「誰もが生きやすい社会」を作るために、これからも差別と向き合い続けて、政治を変えていきたいと思います。

命の選別をするのが政治ではなく、命の選別をさせないことこそが、私が目指す政治です。

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