市民図書館から借りた「モヒカン族の最後」(この訳題を誤訳と前に書いたのは私の間違い。原題が「The last of the Mohicans」らしいから、訳は正しい。)は、作中人物の白人たちが馬鹿揃いで、その発言に人種的偏見が丸出しであり、また、「味方側はすべて正義、敵側はすべて悪」という、阿呆極まる「大衆小説的精神」が露骨なので、外国人(日本人・黄色人種)読者としては読むのがあまり楽しくない小説だが、「イギリス系アメリカ人」視点で読むなら楽しい冒険小説だろう。主人公側で死ぬのも、アフリカ系の血を引く心正しい美女と、騎士道精神溢れるインディアンだけだから、「白人は死なない」しwww その中で唯一私が感心したのが、「敵側インディアン」で、邪悪そのものの存在として描かれる悪役マグアの演説の台詞である。まさに、この台詞は真実そのものである。ただし、その中にも黒人などへの侮蔑が入っている。ただ、「白人とはどういう存在か」をこれほど明確に述べた発言が、1800年代前半に書かれているのはある意味凄いが、これはもちろん「悪役の台詞」だから、信じるな、と作者はサインを送っているのである。それとも、悪役こそが真の主役なのだろうか?