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「魔群の狂宴」22



・前の場面に続く。
・画面が数秒暗いまま。
・佐藤らの下宿の戸を叩く音。
・赤ん坊に見入っていた佐藤と鱒子がハッと顔を上げる。
佐藤「富士谷の奥さんかな?」
・佐藤、立ち上がって部屋を出る。
・玄関の外の兵頭・富士谷・栗谷、玄関から顔を出した佐藤を見る。
佐藤「何だ、君たちか。富士谷さん、さきほどは奥さんに世話になった」
富士谷「うむ。それで、赤ん坊が生まれて慌ただしい時に済まないが、君が組織から預かった例の品物を我々に引き渡してほしいんだ」
佐藤「あれを? 今さら、なぜ?」
富士谷「君は組織を脱退したから、あれを所有する権利はないからだ」
佐藤「ふん、五人組か。あれの上部組織なんてのがあるのか」
富士谷「じゃあ、引き渡しを拒否すると?」
佐藤「いや、君の奥さんには世話になったし、渡そう。しかし、あれは人気の無いところに隠したんで、少し歩く必要があるが」
富士谷「かまわん」
佐藤「兵頭さんも、この件に関わっているのか」
兵頭「まあ、まったく無関係でもない」

・佐藤が部屋に戻り、鱒子に少し待っているように告げる。不安そうな顔の鱒子。

・闇の中を歩いていく四人。町の外に出て、寂しい郊外の土手の上を歩く四人を、空をバックに映す。

・その四人から遅れて、彼らの後をつける、赤子を抱いた鱒子。

・或る沼の傍の小屋に入って、中から風呂敷に包んだ何かを持ってくる佐藤。

佐藤「これが、例のあれだ」
富士谷「中身を確認させてもらう」
・富士谷が風呂敷包みを開ける間に、佐藤の背後に回った栗谷が兵頭にアイコンタクトを取る。
・兵頭は顎を動かして「やれ」という合図をする。
・鈍器で佐藤の後頭部を殴る栗谷。
・(スローモーション撮影で)ゆっくりと倒れる佐藤。
・地面に倒れた佐藤の鼻に手をかざし、心臓に手を当てる富士谷。頷く。
・三人が佐藤の死体に石を縛り付け、沼に投げ込んだ瞬間、やっと彼らに追いついた鱒子が即座に状況を理解して悲鳴を上げる。
・沼に沈んでいく佐藤の死体の後から、赤子を抱えて飛び込む鱒子。
・驚いてその様子を見守る三人。
・鱒子の姿も沼に沈み、数個の泡だけが暗い水面に昇る。
・顔を見合わせる三人。

(このシーン終わり)


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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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