紙おむつや生理用品などに使われている高吸水性ポリマーを,自然界で分解可能な材料で作る――。このような取り組みを,苫小牧工業高等専門学校 物質工学科 生物資源科学研究室が続けている。その最新の研究成果を,「セミコン・ジャパン」(2010年12月1~3日,幕張メッセ)の特設ブース「The高専@SEMICON Japan」で同校が展示した。
新興国の経済発展や先進国の高齢化社会の進展に伴って,高吸水性ポリマーの市場は今後急拡大すると見られている。ただ,現在市販されている高吸水性ポリマーは石油資源から製造されていることから,資源の枯渇が懸念されている。また,現在の高吸水性ポリマーは自然界では分解しない。このため,「埋め立てによる処理ができずに,焼却処理が一般に行われている」(苫小牧高専)。ただ,焼却処理はCO2の排出を伴うことから,高吸水性ポリマーの市場規模が年々拡大している中で,その環境汚染の問題が指摘されている。
こうした資源問題や環境問題の解決を目指して,苫小牧高専は,自然界で分解可能な材料で高吸水性ポリマーを作る研究をしている。同校が着目した材料が,木に含まれるセルロースと,蟹に含まれるキチン・キトサンである。これらを利用して,自然界で分解可能な生分解性の高吸水性ポリマーを開発した。合成法を工夫することで,市販品の6.5~13倍(吸収させる液体の種類による)の吸水特性を実現した。今回のセミコン・ジャパンでは,このサンプルを展示した。