「魔群の狂宴」は、別に煽情的に暴力を描きたいわけではなく、思想によって人間が狂人化する姿を描きたかっただけである。その時の人間は聖書に出て来る「悪霊が侵入した豚」なのである。
で、現実には悪魔以上に悪魔的な人間もたくさんおり、良心のかけらもなく、自分の悪行に悩むことはまったくない。犯罪については恐ろしく頭が良く、度胸があり、知識もある。
そういう連中の実話に比べれば、フィクションの中の悪など児戯に類するだろう。
(以下「現代ビジネス」から転載)非常に優れたドキュメンタリーであり、現代の犯罪や犯罪を巡る国際関係の問題点など多くの知見が得られる。ここでは1ページしか載せないが、全文と後編(未発表)を読むことをお勧めする。
奥多摩山中で26歳男性がバラバラ死体に…BBQと共に行われた鬼畜たちの「狂気の宴」
切断された右腕
松井知行容疑者(2002年撮影)=警視庁ホームページから
私が着目した未解決事件の中に、「松井知行(犯行時31歳)」や「紙谷惣(犯行時29歳)」らによる「奥多摩山中および秩父山中における連続殺人事件(不良グループによる殺人事件)」があった。平成15~16年にかけて、高井戸警察署に特別捜査本部を設置して鋭意捜査をしたものの全面解決とはならず、南アフリカ共和国に逃亡中の松井と紙谷の逮捕に向けて、ICPOプレトリアに対し、発見時の通報依頼をして特別捜査本部はいったん閉鎖していた。 事件は、平成15年10月4日、有害獣駆除のため奥多摩山中に入っていた猟友会メンバーが、側溝から切断された右腕を発見して青梅警察署奥多摩交番に届け出たことから発覚した。指紋照合の結果、遺棄された右腕は、高井戸署が特異行方不明者として受理していた「古川(こがわ)信也さん(当時26歳)」のものと判明し、同人周辺に対する捜査を重点的に進め、12月27日までに被疑者8名を逮捕監禁罪で逮捕し、その取調べ等から、古川さん殺害に至るまでの残忍極まりない手口が明らかになってきた。 古川さんは、偽造クレジットカードを用いた商品詐欺グループのリーダー松井から六本木にクラブを開店するように指示されていた。しかし、古川さんは松井の指示を断り続け連絡を絶った。それは、クラブの開店目的が、来店客のクレジットカードデータを不正に入手することにあったからだった。 松井は古川さんの反逆を許さなかった。激高した松井は、配下の者たちに命じて、平成15年9月17日深夜、千葉県市川市内のレストラン駐車場で古川さんを拉致させ、一方、松井らは、古川さんの彼女マリコさん(仮名、当時19歳)を誘拐して、両名を埼玉県戸田市内のマンション一室に連れ込んだ。 この部屋で松井らは古川さんを執拗にリンチし、翌18日昼、貨物車に乗せて奥多摩町の空地まで移動すると、乗用車のトランクに押し込み監禁した。さらに、翌19日昼、山梨県北都留郡丹波山のキャンプ場まで移動すると、松井らは古川さんの処理を考え始めた。この状況に古川さんの彼女マリコさんは、「信ちゃんを助けてあげてください」と泣き叫んで懇願したが、松井らはこれを無視した。しかし、その一方ではマリコさんの扱いにも困っていた。 「このままマリコを解放すれば、警察にタレ込まれる。だから、古川を殺すとき、マリコにも手伝わせましょう」 それが配下の者たちからの意見だった。松井はその意見に同意した。 「一緒に古川を殺さなかったら、あんたも松井に殺されるよ」 「両親の所に乗り込むぞ。兄弟がどうなっても知らねえぞ」 「マリちゃんも、一緒にやればみんな信用してくれるから」 「俺たちも首を絞めるから一緒にやろうよ」 震え上がるマリコさんに、配下の者たちは殺しの手伝いを繰り返し強要した。 “いくら断っても許してくれない、このままでは私も本当に殺される” 怯えたマリコさんには、もはや松井らの指示に抵抗できるだけの気力はなかった。
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