NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用し、地方銀行口座から不正に預金を引き出される被害が相次いでいる。各行はそれぞれの口座とドコモ口座を連携させるための新規登録を停止。被害件数や被害総額は調査中だが、今後拡大する可能性もある。
8日までに被害が確認されたのは、七十七銀行(仙台市)、中国銀行(岡山市)、東邦銀行(福島市)、滋賀銀行(大津市)、鳥取銀行(鳥取市)の5行。このほか、大垣共立銀行(岐阜県大垣市)でも不正の疑いのある取引があった。
ドコモ口座は、開設時に登録した銀行口座から入金することで、ウェブ上で買い物や送金などができる。ドコモの顧客ID「dアカウント」と、銀行口座の情報があれば簡単に作れるため利用者は増えており、地銀を中心に35金融機関が導入している。
ドコモによると、不正利用した第三者は何らかの方法で預金者の銀行口座番号や暗証番号などを入手。預金者本人になりすましてドコモ口座を開設し、そこへ入金する形で銀行口座から預金を引き出したとみられる。銀行やドコモは情報流出は確認されていないとしているが、銀行口座をウェブで簡単に使えるサービスの利便性を突かれた形だ。被害が起きた各行は相談などに電話で応じている。
ツイッターでは「4回にわたって30万円も引きだされた」などの投稿があった。ドコモは被害状況について「個人情報の観点から銀行と十分共有できていない」と説明。「これまでもセキュリティー対策を講じているが、更なる強化に努める」としている。【本橋敦子】