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誰かに踊らされて戦争を始める馬鹿国

筒井康隆の昔の作品「東海道戦争」の中に、自衛隊の命令権は米軍にある、という事実を明記してある箇所があって驚いたのだが、それが世間の常識になるまで何十年かかったか。いや、まだ常識ではないかもしれない。
そこから、三島由紀夫が市ヶ谷演説や檄文(檄)の中でこの事実に言及していたか知りたくなって調べたが、言っていた。しかし、譫言めいた多くの言葉の中に埋もれていたので、そのことに触れた人はあまりいなかったと思う。ほとんどの右翼や国粋主義者からも三島の行動や演説、檄文は無視されてきたのではないか。
檄文(檄)の中から、その一部を抜粋転載し、その後で筒井康隆の文章も、気が向けば転載することにする。
なお、「東海道戦争」とは、東京と大阪が、原因不明の理由で戦争をする話である。まるでこれから起こりそうな中台戦争やそれへの日本の参戦みたいであるwww ただし、筒井作品には珍しく、ユーモアやドタバタの要素は少なく、わりと真面目な描写が多い。

(引用1)赤字太字は夢人による強調。

 われわれは戰後の日本が、經濟的繁榮にうつつを拔かし、國の大本を忘れ、國民精神を失ひ、本を正さずして末に走り、その場しのぎと僞善に陷り、自ら魂の空白狀態へ落ち込んでゆくのを見た。政治は矛盾の糊塗、自己の保身、權力慾、僞善にのみ捧げられ、國家百年の大計は外國に委ね、敗戰の汚辱は拂拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と傳統を瀆してゆくのを、齒嚙みをしながら見てゐなければならなかつた。

(中略)

諸官は任務を與へられなければ何もできぬといふ。しかし諸官に與へられる任務は、悲しいかな、最終的には日本からは來ないのだ

(中略)

アメリカは眞の日本の自主的軍隊が日本の國土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年の内に自主性を囘復せねば、左派のいふ如く、隊は永遠にアメリカの傭兵として終るであらう。




(引用2)「東海道戦争」より

「ところで君は」山口がおれに訊ねた。「非常事態に際しては、日本のすべての武装力、警察力は、日本政府の指揮からはなれて、米軍司令官の指揮命令をうけることになるのを知っているか?」
「何だそれは!」おれは驚いた。「ちっとも知らなかった。それじゃあまるで、日本の軍隊と警察は、米軍予備隊じゃないか? そんな法律が、本当にあるのか?」
「認識不足だな」山口がいった。「あるんだ。ずっと以前からある。秘密了解事項として公表されていないが確かにある。旧行政協定をめぐる日米交渉の際に、アメリカから出された草案の第24条だ」
二尉が詳しく説明した。「非常事態に際して日本の自衛隊は、在日米軍と米軍事顧問団を通じ、ハワイにある太平洋方面三軍司令官の直接指揮下に入るんです」




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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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