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石原慎太郎の死



石原慎太郎が亡くなったそうで、まあ、人間性はどちらかと言えば嫌いだったが、その作品にしても政治発言にしても、「思ったことをズバズバ言う」姿勢は、なかなか貴重だったのではないか。要は、その発言や作品を正しく捉え、肯定するか否定するかという受容側の問題だ。同じ暴言人間でも、少なくとも麻生太郎よりははるかに知性も教養もあったとは言える。そりゃあ、文学者であるのだから当然だ。
私自身、若年のころは、彼の作品を読んで、「或る種の、あるいはすべての人間の本性を実に見事に書いているなあ」と感心させられたものだ。ヤワな人間には、どれほど体験しても分からない「人間の真実」を描いていたわけだ。まあ、「処刑の部屋」など、その後に何度となく起こる若者の残虐殺人事件を予告していたのではないか。
もっとも、彼の作品を私が好きかどうかと言えば、嫌いであり、若いころの「読書体力」のある時期でないと読めない。昨日、映画で「三文オペラ」を見ようとしたが、主人公の悪党ぶりに嫌気がさして、途中で視聴放棄した。石原慎太郎の初期作品に多いのだが、「悪を主題にした作品」というのは視聴感や読後感が悪いのである。ただし、「三文オペラ」の主題歌の「匕首マッキー(メッキ・メッサー)」は大好きで、ボビー・ダーリンがこれを歌う動画の恰好良さは一見に値するのでお勧めだ。
悪というのは刺激的なので、文学や映画の主題になりやすい。善というのは「見ても面白くない」のであるwww その面白くなさのためか、世間の人間の中には、自分に無関係でも、他人の善を見るとすべて「偽善だ」と攻撃する馬鹿もいる。(もっとも私は「偽善(本心からではなく、無理に行う人為的善)」は大事だ、と思っている。それによって世界はまともに動いているとすら言えるのではないか。心に悪を抱いて善行を為すほうが、心に善を抱いて悪を為すよりはるかにマシである。)

石原慎太郎には「明朗青春小説」とでも言えそうな作品が幾つかあり、「青春とは何だ」や「おおい雲」などはテレビドラマ化や映画化もされていたと思う。非常に面白く読後感もいいので、若者にはお勧めだ。「野蛮人のネクタイ」なども面白い。

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酔生夢人
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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