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日本の腐敗した教育制度の突破口は「高専」にある

私は、日本の教育制度の癌は大学受験にあると思っている。大学受験があるために高校が大学受験の予備校化し、中学が高校受験のための予備校化する。そのどちらにも「進学校」と「非進学校」という差別化が生じる。非進学校では「自分たちは劣等生だ」という意識が植え付けられ、進学校では「自分たちはエリートだ」という優越感が植え付けられる。ネットの世界でも、この学歴差別意識はよく見られる。で、その進学校を出た人間が実社会ではまったく使い物にならないのである。当たり前だ。受験勉強と実社会での技能や知識はほとんど関係が無いからである。大学で教育を受けても、一部の理系(主に工学部と医薬学部、理学部)以外は大学で学んだことと無関係な仕事に就くわけだ。
で、私がこれからの日本の教育制度のモデルとすべきなのは「高専」である、と何度か書いてきたのは、そこでの教育が(教育内容が実践的で社会と結びついているのもさることながら)「大学受験」と無関係であることが大きな理由のひとつだ。5年という履修期間もいい。つまり、高校と短大を合わせたくらいの期間で、実践的知識や技能を習得し、研究するのに適当な長さであり、仲間との青春生活を送るのにも十分な時間だろう。ただ、高専に入学するには高校の一流進学校並みかそれ以上の学力が必要であり、女子受験者は(男子だらけの高専生活を忌避して)おそらく少ない。
だから、私は「準高専」的な高校大学一貫校を多く作る(あるいは現在存在し、経営危機に陥っている高校と大学が一体化する)べきだと思っている。もちろん、そこから普通の(受験を要する)大学へ進学してもいいわけだ。
「多様化」が言われる社会でありながら、まったく変わらないのが受験戦争と学歴社会である。そこがこの社会全体の腐敗の根本ではないか。


(以下引用)

KOSEN(高専)に世界が注目! 5年で創造的な技術者を育成

 「高等専門学校(以下、高専)」が誕生してから60年を迎えた今、海外で「KOSEN」と呼ばれ、その教育システムに関心が集まっている。世界に類を見ない日本独自の「高専教育」とは。
一人ひとりの個性を生かす少人数教育。全国に国公私立合わせて57校あり、約6万人が学んでいる(2022年8月現在)。写真提供:仙台高等専門学校

高度な専門性をもつ人材を育む一貫教育

 2022年4月、高専生たちがディープラーニング(深層学習)を活用した作品を制作し、その事業性を企業評価額で競う「第3回全国高等専門学校ディープラニングコンテスト2022(DCON2022」の本選が行われ、過去最高10億円の企業評価額が3チームにつけられた。


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DCON2022では、全41チームのうち予選を勝ち抜いた10チームが本選に出場した。写真提供:全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト

 高専生の柔軟な発想力とモノづくりの高い技術力は高専独特の教育システムによって培われている。高専は社会が必要とする、創造性をもったエンジニアを養成する高等教育機関で、学科(専門分野)は機械系、材料系、電気・電子系、情報系、化学系、生物系、建築系といった工学系や商船系のほか、経済・ビジネス系などの社会ニーズに対応したものなど多岐にわたる。


 中学校卒業後の15歳で入学し、5年一貫の教育を通じて大学と同程度の専門的な知識と技術を修得できる。国立高等専門学校機構(東京都)の理事長を務める谷口功氏は「15歳から5年間の一貫教育には大きな意味があります。『やりたいこと』が明確に決まっている学生にとっては、大学受験に時間を割くことなく好きなモノづくりに没頭できます」と言う。


 授業は実験・実習に重点を置いている。実際にモノづくりをすることで、創造力、問題解決能力、忍耐力などが養われるという。前述のDCONのほかにも、「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」や「全国高等専門学校デザインコンペティション(高専デザコン)」など、アイデアを形にして発表できる機会が多いのも高専の特徴だ。身に付けた知識や得られた研究成果を社会問題解決のために応用する「社会実装教育」にも注力している。


 高専の卒業生はIT業界をはじめ、さまざまな分野で活躍している。「ポケモン」の生みの親として知られる、株式会社ゲームフリークの代表取締役の田尻智氏、東京工業大学学長の益一哉氏らも高専出身だ。


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東京工業高専と北九州工業高専の2校は高専のロボット分野の拠点校となっている。実習で設計・製作したロボットの走行テストなどを行う。写真提供:東京工業高等専門学校

日本で生まれた高専が海外へ

 高専出身者の専門性と実務能力は、国際社会でも高く評価され、タイやベトナム、モンゴルでは「日本型高等専門学校教育制度」の導入が進められている。谷口氏は「諸外国に教育システムを提供する際、高専の特徴をしっかりと理解して実践してもらえるように指導しています。そうでなければ単に知識を学ぶだけの教育機関となってしまい、創造性に富んだエンジニアは育たないのです」と語る。


 社会の変化や時代のニーズに対応した技術者の育成を目指して、日本型高等専門学校教育制度の国際展開のほか、IoTやロボット、サイバーセキュリティの人材育成事業に取り組むなど、高専は進化し続けている。これから国内外の高専を卒業したエンジニアが世界中で活躍し、さまざまなイノベーションを生み出してくれるのだろう。


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2019年5月、日本型高等専門学校教育制度を本格導入したタイ国内初の高専「KOSEN-KMITL」。2022年5月には岸田総理が視察。写真提供:KOSEN-KMITL
国立高等専門学校機構 https://www.kosen-k.go.jp
取材・文/小野寺ふく実

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