子どものしつけの一環で体罰を容認する人が6割近くいることが15日、国際NGOの意識調査で分かった。たたいたり、怒鳴ったりすることも子どもの成長に悪影響を及ぼす恐れがあるが、容認派の割合が高かった。
NGOの担当者は「虐待や学校での体罰は禁止されていても、家庭を含むあらゆる場面では禁止されていない」と指摘。民法が認める「親権者による懲戒権」の削除などを提言している。
調査は、子どもの支援を専門とする「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が昨年7月にインターネットで実施。成人男女2万人から回答を得た。
しつけのための体罰を「積極的にすべきだ」は1.2%だが、「必要に応じて」「他に手段がない時」を合わせると57%が容認。たたく行為は60%が肯定し、体罰否定派でも4割が尻や手の甲をたたくことは容認した。
「怒鳴りつける」は6割近く、「にらみつける」は半数近くがそれぞれ容認していた。
子育て中の1030人に尋ねた実態調査では、7割がしつけの一環で子をたたいた経験があると回答。8割は子どもの言動にいらいらしたことがあるとし、6割は育児と仕事などの両立が難しいと感じたことがあったと答えた。
厚生労働省によると、厳しい体罰で感情などをつかさどる脳の前頭前野の容積が2割近く萎縮し、言葉の暴力で聴覚野が変形するとの研究もある。同省は、いらいらしたら深呼吸するなど「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」を呼び掛けている。 (了)