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論理思考と直観思考

小林秀雄の或る文章に引用されていたパスカルの言葉から判断すると、パスカルはデカルトをまったく評価していなかったようだ。私はパスカルの「パンセ」を若いころに読みかけて、ほんの数ページで挫折した人間なので、それが事実かどうかは知らないし、別にパスカルという人間を思想家として評価しているわけでもない、むしろ、「分析と総合」という、思考の大原則を自分に教えてくれたデカルトをはるかに評価している。だが、パスカルは神を「無前提的に信じる」ことを採用した人間である以上、デカルト的な「論理による真偽判定」手法の否定者となったのは当然だろう。ユダヤ・キリスト教的な神の存在は論理的には否定されて当然だからだ。これはドストエフスキーがその著作の中で何度も「2+2は4」という思考を下らない、と書いている理由である。

では、仏教ではどうか。私は仏教の本質は宗教ではなく、「現世をより良く生きるための哲学」だと思っており、来世の有無とか神仏の存在とかは本来のブッダの教えとはまったく無関係だと思っている。つまり、ほとんどの日本仏教はブッダの教えとは無関係なのではないか、と思っているわけだ。葬式仏教など特にそうである。捨身飼虎の説話など、葬式仏教の対極だろう。 
で、仏教の本質は何かと言えば、それは「この世界をいかに理解するか」という問題に答えたことで、その答えは「色即是空 空即是色」である。そこには、なぜそう言えるのかという論理は無い。ただ、直観的な答えを提出しただけだ。それを信じるかどうかというところにだけ仏教の宗教性はある、とも言えるだろう。で、色即是空・空即是色を信じることで、無用な迷いや悩みから解放されるというご利益がそこにあるから、その意味では宗教だとも言える。

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酔生夢人
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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