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犯罪者の特徴

「ああいう才能のない、気短かで欲のふかい蛆虫どもにとっては、犯罪が何よりありふれた避難所ですからね」

これは『白痴』の中でエヴゲーニィ・パーヴロヴィチという男が言った言葉だが、この男自身犯罪者的性質の持主のように描かれていて、だからこそ犯罪者がどういうものか熟知している感じだ。もちろん、それは作者のドストエフスキーが犯罪者というものを熟知している(彼は長年流刑されていて犯罪者たちを身近に知っていた。)ということである。
「才能がない」というのが犯罪者の特質である、というのが面白い。箇条書きすると、

1:才能がない
2:気短か
3:欲が深い
4:蛆虫である

というのが犯罪者の特徴で、これはほとんどの犯罪者に当てはまるように思う。中でも「才能がない」というのは大きい。つまり、「何か自己表現したい」という強い欲望がありながら、その才能が無い人間が、「自己表現」の手段として芸術以外に簡単に選べる(何しろ気短かだから難しいことや長期的な方法は好まないのである。)のが犯罪なのだ、ということだ。自己表現と言ってもたいした話ではなく、「周囲の人間や世間に一目置かれたい」程度のことで、要するに私が毎度言う、「自己愛」の現れのひとつだ。ただ、その欲望があまりに強いのに才能が無くて芸術などの手段で自己表現の欲望を満たせない場合の「逃避場所」が犯罪である、ということだ。
4の「蛆虫である」とは、言うまでもなく人格が低劣であることだ。
ただし、犯罪者と囚人は別と考えるべきだろう。囚人の場合は時間だけはたっぷりある(気短かでいられない)から、監獄の中で思いがけない「才能」を開花させることもあるかと思う。
まあ、とりあえず、犯罪というのは経済犯以外はあまり頭のいい人間のやることではない。

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