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カネの奴隷であるとは何か

孔徳秋水氏のツィッターから転載。内田樹と誰かの対談を引用しているようだ。
「人格の荒廃」
という言葉が、下の話に出てくる女性の発言を読んですぐに想起されるが、しかし、そこに、現代社会(消費社会・カネに支配された社会)という怪物が現前してくる。そして、我々がその怪物に対してほとんど無力であるのが事実なのだ。この女性の精神の荒廃は、社会の必然であり、怪物の一部になって犠牲者を食うことでしか、この物語の勝者となることはできない。怪物という言い方が、「彼ら」をむしろ誇る気持ちにさせるなら、E・A・ポーの言葉を借りて「勝利の蛆虫」と言おうか。人間は蛆虫に食われ、蛆虫たちは勝利を誇る。
ただし、下の話の中には、「言葉の前で立ち止まって」おきたいところが二つある。

一つは、「仕事というものは、生きている実感を与えるべきものか」、ということである。
おそらく、クリエィティブな仕事をしている少数の人々(経営者も、ある意味ではそうだ。)以外には、大方の仕事は「単調で無味乾燥、索漠とした労働」以外ではありえないだろう。たとえば、百姓仕事にいちいち生きる喜びを感じている百姓がいたら、精神異常を疑ったほうがいい。工場労働者も一般サラリーマンも同様だろう。
私が疑問に思うのは、たとえば艱難辛苦の果てに超一流の演奏家になった人々や、超一流のスポーツマンになった人々は、自分の「仕事」をやる時に「生きがい」や「生きる実感」を感じているのだろうか、それとも、「面倒くさい日々の労働」と思っているのか、ということだ。単に高額の報酬が貰えるからその仕事をやっているだけで、その仕事を辞める代わりに巨万の金を出す、という悪魔の提案があったら、喜んで辞めるのだろうか。
その仕事が心から好きで、その仕事に生きがいを感じているなら、報酬など無くてもその仕事をやるだろうし、逆にカネを払ってでもやるのではないか、と私は思うわけだ。つまり、この場合は、それは「仕事」ではなく「娯楽」であると言うべきだろう。仕事とは、生きがいや生きる実感などを伴うものではない。(洗脳して、そう思い込ませることはできるが)だからこそ、報酬を出す必要があるのだ、というのが私の考えだ。

もう一つの疑問は、この女性を「カネの奴隷」と簡単に片づけていいのか、ということだ。「カネのために嫌な労働に耐える」「その憂さ晴らしに、カネを使役する(カネを使う)」というのは、カネを巡る一つのサイクルであり、ここで彼女は「カネのために労働をしている」という部分ではカネの奴隷だが、「買い物をして憂さ晴らしをする」という部分ではカネの主人なのではないか。まあ、屁理屈に聞こえるだろうが、少なくとも、「カネの奴隷」という部分だけを感情的に強調しても、この資本主義社会、あるいは「カネによって社会生活(人生)のほぼすべてが規定された社会」を根本的にどう改善していくか、という建設的思考には結び付かないような気がするのである。カネの奴隷とならないためにカネを手に入れようと四苦八苦して株などやっている孔徳秋水氏なども、他人の目には十分にカネの奴隷であるように見えるのだからwww


(以下引用)




>彼女にしても…栗原君という価値観の違う他者に苛立ったことで、無意識に本当の思いを、恐ろしい真実を口に出してしまった。おそらく今の日本の勤労者のうちでかなり多くの割合の人が、この女性と同じ実感を持って生きているんです。それが事実だろうと思うんですよ。 


  1. [7/22 17:20] >でも、なんとかそれを耐えられるものにしているのは、ここでこうやっておカネを使うということができるからだ。「おカネを使うことによって憂さを晴らす、それだけが生きている実感を持てる瞬間だ」と言っているわけです。

     

  2. [7/22 17:19] 日本人の幸せ…それは、おカネの奴隷になること…:*:・( ̄∀ ̄)・:*:笑えるわ~

     

  3. [7/22 17:19] >結局、栗原君と彼女はそれで破局するわけですけれども、これはけっこうすごい話だと僕は思っています。こんなにニヒルな発言はないわけですよ。彼女は自分がやっている仕事に本質的には何も意義を見いだしていないし、生きがいを実感することもできていない。

     

  4. [7/22 17:18] >「なんのために私みたいなサラリーマンが毎日、嫌な仕事をしているのか、わかっているの? それはこうやってショッピングセンターに来て、買い物をして、それで憂さを晴らすためなのよ!」と叫んだ、と。←ウザ度100%。おカネの奴隷…この価値観に嫌悪感を抱くね…

     

  5. [7/22 17:17] >「なぜあなたは働きたいと思わないの? 働かなければ、ここで買い物だってできないでしょう」と。そうしたら栗原くんは、「なんでそんなにここで買い物をしなければいけないの?」と聞き返した。すると彼女が、そこでぶち切れたというんです。

     

  6. [7/22 17:17] 女って、こういうの多いよな~。正直ウザい。

     

  7. [7/22 17:16] >2人は家が近くて、あるとき一緒に近所のショッピングモールに行った。でも栗原君はおカネがないので何も買わない。彼女が、「あなた、何か買わないの?」と聞くと、栗原君は「カネがないから」と言う。「どうしておカネがないの?」「働いてないから」「どうして働かないの?」「働きたくないから」

     

  8. [7/22 17:15] >博士課程の院生時代に、結婚まで考えた交際相手の女性がいたそうなんです。高校の教員をしていた人で、向こうもその気はあったらしいのだけれども、やはり「この人はいったい、いつになったらちゃんと働くのだろうか」という、不安と不満を持っていた。

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