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「自然真営道」一節

安藤昌益の「自然真営道」の一節を訳してみる。

上の人間の贅沢への欲望は下の人間の労働の成果を責め取ることで満たされる。だから下の人間は困窮する。困窮する時は必ず反発・反乱の心が起こる。だからお上の法度に心服することがない。上の人間はこれを憎む。心服しないのは上の人間の贅沢への欲望の罪である。
ここにおいて、上は下を憎み、下は上を非難し、憎しみと非難と交々争ってついに乱をなす。
この原理を明らかにして、上の人間の無為徒食・貪欲・贅沢を減じる時には悪賊の根は断たれて下に賊は絶え、社会(政治)はおのずと余裕が出てくる。
上に金銀を蓄えるのは、乱の時に用いるためである。上に贅沢への欲望が無く、下に生活の余裕がある時には、乱を起こそうと(誰かが)願っても乱が起こることはない。すでに乱や贅沢が無いのなら、金銀を何に用いると言うのか。
であるから、乱の無い世においては金銀は大きな恨みの種である。
したがって、金銀を蓄えて天下国家を治めようと考える者は、乱を憎んで乱を作る者である。
下の民で金銀を蓄えて家を富まそうと考える者は、貧を憎んで自ら貧を作る者である。
そういうわけだから、上の者にも下の者にもこの主旨を示して、上は上の田畑を耕すようにさせ、安らかに衣食を成し、ただ、怠けて労働せず、無駄食いをする者の罪を咎めるようにする時は、下において怠ける者が出ることはない。


(「日本古典文学大系」97巻、660,661頁より)










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