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早い話が「風邪薬」
<転載開始>
厚生労働省は22日、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス感染症の軽症者向け飲み薬「ゾコーバ」について、製造販売を緊急承認した。12月初めから医療現場で使用できるよう、国が購入し供給を始める。感染第8波に向け、国産の飲み薬が初めて実用化される。緊急承認の適用も5月の制度創設以来初めて。
ゾコーバの投与対象は12歳以上の小児と成人で、感染初期に1日1回、5日間投与する。重症化リスクのない人も投与対象となるが、厚労省は高熱や強いせき、強い喉の痛みなどの臨床症状があることが処方の目安になるとした。
塩野義による最終段階の臨床試験(治験)は、軽症・中等症患者約1800人を対象に実施。速報値によると、偽薬(プラセボ)を投与した群との比較で、ゾコーバの群では、発熱やせきなど5症状が消えるまでの時間が約24時間短縮された。症状消失までの期間はプラセボ群が約8日、ゾコーバ群が約7日だった。
緊急承認は、緊急時に限り有効性が「推定」される段階での医薬品の実用化を可能とする制度。5月の医薬品医療機器法改正で創設され、同社が適用を求めていた。
22日の厚労省薬事・食品衛生審議会薬事分科会などの合同会議で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は治験結果について「有効性を有すると推定するに足る」との見解を示した。合同会議では委員1人が反対したが賛成多数で緊急承認が了承された。緊急承認の期限は1年。同社は今後、有効性を確認し、改めて承認申請する必要がある。
政府は薬事承認を前提に、塩野義から飲み薬100万人分を購入する契約を締結している。国内では軽症者向け飲み薬としては、海外メーカー2製品が実用化されているが、対象は重症化リスクのある患者に限られていた。加藤勝信厚労相は承認後の記者会見で「(既存薬と異なり)重症化リスクを有しない患者を含み、対象が広がる。新たな選択肢としてコロナ対策に寄与することを期待する」と述べた。
一方、ゾコーバは胎児に奇形が生じる恐れが報告されており、厚労省は添付文書で妊婦らへの投与を禁止。併用を禁止した薬剤もある。最初の2週間は処方する医療機関を限定する。
ゾコーバを巡っては合同会議は7月、治験の中間段階(第2相)の結果を踏まえて緊急承認の可否を審議したが、その時点のデータでは有効性が推定できるとは判断できないとして、継続審議としていた。【村田拓也、横田愛】