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粘土団子による砂漠の緑化

「がま仙人のブログ」より、備忘のために転載しておく。砂漠の緑化、地球全体の食糧確保は、私の思考テーマの一つである。




[晴耕雨読-0053] わら一本の革命 福岡正信自然農法わら一本の革命
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福岡 正信
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 --雨は上から降るのではない。下から降るのだ--
 
 福岡正信の有名なこの言葉は自然農法の本質を良くあらわしている。
 彼の発見・開発した農法を駆使することによって砂漠を緑の原野に変えることができる。これは実際に世界に散在する砂漠の緑化実験でことごとく成功を収めている。種を粘土の団子にまぜた無数の粘土団子を空から砂漠に蒔く。たったそれだけの方法である。粘土団子を撒くだけであとは何もしない。不耕起(たがやさない)、無農薬でも種はちゃんと発芽し、自然に草木の野になるのである。粘土団子の中には当然土の栄養と水分が含まれている。種はそれによって粘土の中で育つのである。やがて下に根を張ってゆき無数の粘土の中のどれかの苗が地下の水脈に達し、水を葉にひっぱりあげる。この過程でその他の苗に水分が補給され善の循環が起こる。やがてその一群はお互いに助け合ってより深く広く群生するようになる。これが粘土団子による砂漠緑化のプロセスである。自然の力だけを使いその他一切の人的な行為を排除するのである。すばらしい農法である。
 この本ではその粘土団子による自然農法のノウハウが書かれているが、ほとんどが自然農法を発見するまでの彼の試行錯誤とその哲学について書かれている。実に老荘的だが自然と仲良くして自然の本来の力をそのまま引き出す農法には驚かされる。自然を味方にするのが最も強いということがよくわかる。
 実際に2年間、私は粘土団子による自然農法を自宅の庭で試してきた。最初はもちろん疑心暗鬼だったが、いつのまにか雑草のように生い茂る野菜の葉の群れを見たとき、一気に自然農法を信じることになった。また農薬が必要がないというのも雑草や枯れ木がそのままそれが自然のサイクルの中で肥料に変化するからだが、その過程を目の当たりにしたのでいまではとてもよく理解できる。もし、自分が帰農し自給自足を行うのだったら間違いなくこの農法を実践するだろう。ただし、自給自足という条件は必要最低限である。なぜならばこの農法で作られた野菜は自然に完全適用するため野生化する。その結果形の悪い野菜となる。したがって商品としての出荷はできないというデメリットがあるからだ。しかし、この農法でできた野菜はとてもうまい。自分の生活を満たすのはそれで充分だろう。

 ちなみに、ビックコミックに連載していた「Seed」とい漫画があった。主人公の農業コンサルタントが発展途上国でODA活動として農業を教える内容だが、そのキーテクノロジーとして「粘土団子」があった。彼は粘土団子を駆使して各地で農業を成功させる。視点がとてもおもしろくユニークな漫画だった。しかし、原作者に物言いがついたらしい。粘土団子を勝手に漫画で紹介したので福岡氏の取り巻きが原作者に抗議したということらしい(たぶん福岡氏本人はどうでもよかったことなのだろうが)。結果的に和解したということだが、漫画で紹介した粘土団子は福岡氏によって発案されたものだから(特許も取っている)、彼の功績について説明なり感謝の言葉なりを書いておけば問題なかったのだろうと思う(実際に連載中は福岡氏の名前は一切でてこなかった)。ただ、この漫画によって粘土団子のすごさを知った人はたくさんいるはずである。福岡氏の「わら一本の革命」は自然農法派の人たちにはバイブル的な存在であるが、それ以外の人はほとんどと言っていいほど知らないはずである。その意味では両者の間の和解はとても意味のあるものであると私は思う。

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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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