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断食と生命力の向上

飢餓状態は生命力を向上させるということも私の健康理論の一つだが、例の医学生のブログからそれに関する文章を転載しておく。ただし、朝食抜きによるストレスという悪影響も考慮する必要はある。我々が食事を摂るのは、実はそれによる快楽と満足が大きな要素だからである。逆に、過食の原因も食事の快感が克服しがたいからなのである。

(以下引用)


                    Home Medicine Method Essay Books 朝食の是非
 一日3食きちんと食べましょう。特に朝食は一日の活動源を得るためにしっかり摂りましょう。朝食を摂ることで体温を上昇させ、血糖値を上げ、脳の働きを高めます。また朝食は排便を促します。早めに起きて、十分な朝食の時間を取りましょう・・・

 学校教育でも一般家庭でもこういった朝食の重要性を謳った話をよく聞く。おそらく厚生労働省でもこうしたことを推奨しているのであろう。もちろん、これだけ推奨するぐらいだから、それを裏付けるデータも存在するのであろう。例えば、朝食を毎日きちんと食べている中学生と朝食を食べてこない中学生の勉強の成績に有意な差が出たとか、医科大学の学生に必ず朝食を摂ってくるように指導したら国家試験の合格率が上がったとか。すると、子供の教育に熱心な家庭では、なおさら朝食をきちんと取るように子供を指導するようになる。

 当たり前のことであるが、あるデータの正当性を評価するためには、その前提条件が揃えられているかを確認しなければならない。普通は、数学の問題を解くときのように変数が幾つもあったら、まずはひとつの変数だけに着目して、残りは固定して定数として扱う。この場合、朝食を毎日きちんと食べる、ときどき食べる、まったく食べないといった朝食摂取に関する変数に着目するならば、その他の条件はまったく同一にしなければ出てきた結果に対しての正当な評価はできない。ところが、上のような朝食の重要性を示唆しているはずのデータは、どうもこれを満たしていないような気がする。朝食をきちんと食べさせている家庭は、おそらくその他の事柄に関しても子供のためになりそうなことを行っているはずである。例えば、小学生の頃から子供の宿題を見てやったり、毎日勉強する習慣を付けさえていたり、早寝早起きを習慣とさせていたり、家族全員で朝食を摂りながら楽しい話題を持ち出して子供のやる気を引き出すような家庭であったりと。つまり、朝食摂取と子供の成績の間には相関はあるが、因果関係は不明なのである。

 とは言っても、理論的には、夕食から12時間近くも何も口に入れていなければ、血糖値が下がってしまい、いわゆる低血糖発作に近い症状となる場合もある。頭がぼんやりして力が出なくなり、午前中の勉強や仕事の能率は上がらない。だから、朝食は必ず摂りましょう、ということになる。普段、朝食を摂っている人が、たまたま朝食を摂り損ねると、その重要性を特に感じるであろう。頭はぼんやりして集中できないし、排便はできなかったし、昼食をその分たくさん食べてしまったら逆に午後は満腹感で眠くなって一日が散々だった、やはり自分は朝食を摂らなければ駄目だな、と。

 朝食を摂らないなんて全くの論外。議論するに値せず。朝食を毎日きちんと摂っている人にとっては、そういうことであろう。何しろ、自身の経験が全てを物語っているのだから。

 ところが、である。「朝食有害説」、「朝食抜きで健康回復」、「朝食は万病のもと」、「朝食抜きダイエット」などなどという、全く逆の主張がある一部の人たちの間でなされているのである。全くの嘘をでっち上げているなんてことはありえないであろう。すると、たとえ一部の人にでもそれが有効であったならば、その理論的背景を考えてみる必要があるように思える。

 まずは、余剰カロリー摂取の問題。朝食を抜くことで摂取カロリーが減る。そうすれば、多くの人にとっての病気の原因を取り除くことができる。昔から腹八分目が理想というように、食べ過ぎは、糖尿病や動脈硬化の原因だけでなく、さまざまな病気の原因となりうる。病気になったときの回復も、あまり食べないほうが良好であったという報告もある。動物では摂取制限をした方の寿命が明らかに長いという。野生動物が病気になれば、じっと蹲って何も口にせず(できず)、体力の回復を待っている。食べないことでエネルギーを病気の回復に集中させているのである。断食療法が効果を発揮する理由のひとつもこうしたことによるのであろう。少食が健康にとってプラスに働くということは、多くの人が納得するはずである。昔の栄養不良の時代とは明らかに異なるのである。

 しかし、余剰カロリー摂取の問題だけでは、朝食の是非についての議論はできない。3食のカロリー摂取をそれぞれ控えて、朝食も摂れば良いからである。朝という時間帯に、食べ物を口にすることが生体に与える影響というものを考える必要がある。

 朝食を摂ることに対して、朝食推進派は、血糖値を上げる、体温を上げる、排便を促すなどという利点を挙げる。これに対して朝食否定派は、消化器官に負担をかける、血液が消化器官に集中してしまい活動が鈍る、排泄作用を阻害するなどという欠点を挙げる。朝食を摂らないことに対して、朝食推進派は、血糖値が上がらない、体温が上がらない、排便ができないなどという欠点を挙げ、朝食否定派は、カロリー摂取を減少させる、消化管を休ませることができる、脳への血流を促す、排泄作用が促進されるなどという利点を挙げる。さてさて、どちらを選択すれば良いのだろうか。

 どちらも利点と欠点があるならば、なんらかの対策によって欠点を埋め合わすことによって、利点が欠点を上回ることができるならば、そちらを選択すれば良いことになるだろう。すると、朝食を摂ることに対しての朝食否定派の唱える欠点は朝食を抜くこと以外に回避不可能のようであるが、朝食を摂らないことに対しての朝食推進派の唱える欠点は比較的容易に回避できそうに思える。血糖値が上がらないことに対しては、肝臓でのグリコーゲンの分解が不十分であるからであり、これは習慣的に朝食を抜くことによって肝臓から補給できるように身体が順応していくはずである。たとえそれが不十分であったとしても、糖分を含んだ飲み物を補給することで血糖値はすぐに上昇するであろう。また、体温が上がらないということに対しては、散歩をするなど身体を動かすことによって補うことが可能である。排便ができないということに対しては、習慣的なものなのであまり問題にはならないはずだが、あえて対策を考えるとすれば、水分を補給することで腸管に刺激を与えてやれば良いだけのことであろう。すると、こうした対策を講じておけば、朝食を無理して食べる必要はないということになる。むしろ、朝食を食べることによる欠点が存在するのだから、食べないことに対する欠点が克服されているならば、食べないことでその利点を得、食べることによる欠点を避けることが望ましいように思われてくる。

 ダイエットに関心のある女性のなかには、朝食を抜くと、昼食で食べた物の吸収が良くなって、かえって体重が増えると考えている人もいるようである。吸収効率が上がるのだから、少ない食べ物で多くのエネルギーを得ることができ、これほど良いことはないのではないかと思うのだけれども、ダイエットを中心に考えるとどうも話は逆らしい。本当に吸収効率が上がるならば、消化管の活動が良いということであり、また食べかすが溜まらず腸内環境も良好で、健康的である。健康であることはダイエットの目的である美を手に入れることに直結しており、なんら問題はないはずなのだが、どうもそうではないらしい。つまり、おいしいものをたくさん食べて、それでも痩せるということが彼女たちのポイントなのである。しかし、そういう虫のいい話はないのだから、ここでは問題外か。

 ある友人が、朝食を食べないとハングリー精神で午前中の授業は集中できると言っていたが、確かに彼の授業態度はそれを裏付けている。血糖値を上げるためには、副腎皮質からのコルチゾルを分泌させ、また交感神経系を緊張させることで肝臓でのグリコーゲンを分解して血液中に糖分を送り出させる。まさしくハングリー精神が働くのである。午前中にこうした交感神経系の緊張がより高まることは、一日の活動リズムを作るうえで重要のように思える。逆に、朝食を摂ればそれで血糖値が上がってくれるので、生体は楽をしていても良く、緊張感はなくなる。午前中から極楽気分である。これが大部分の人類が朝食を摂ることになっている本当の原因であろう。朝食推進派の本音もここにあるように思われる。食べることで血糖値を上げておくことの安心感は、飢餓と直面してきた人類にとって何者にも変えがたいのである。食べられるときに食べておけ、という要求が身体から生まれてくるのである。これは肥満の原因と同じである。肥満が健康に良くないのと同様に、身体の要求に素直に従っていれば、現代において健康を保てるということは残念ながらあり得ない。問題は、朝食否定派が主張するように本当に朝食に欠点が存在するのか、ということであろう。

 個人的な経験によれば、朝食を食べないことによる欠点は十分に克服できるし、朝食を食べないことによる利点も確かに得ることができる。朝食抜きをプチ断食と言っている人もいるが、確かに断食の効果に近いものを得ることができるのかもしれない。朝食の是非を議論する場合、人間が本能的に持っている欲求が前面に出てしまい、その議論の方向性を誤らせている可能性は否定できない。朝食を抜けば、誰でも身体が順応するまではひもじい思いをするのである。そうしたひもじさが議論の方向性を誤らせるのである。

 どうか、初めの数週間のひもじさを乗り越えて、朝食抜きの効果を確認された方は御一報を。


 05/06/2004.

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