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投票棄権者から選挙権を剥奪せよ

内田樹のブログ記事である。
当人も言うように暴論である、と言うより愚論だろうが、まったく間違いというわけではない。若者が投票しない(選挙に行かない)理由の10分の1か20分の1くらいは内田説も当たっている可能性はある。だが、その程度だ。
一番の理由は、「選挙に行くメリットがない」ことである。
当たり前の話だ。自分に何のメリットも無いのに、貴重な休日の半日くらいを潰して投票所に行く人間がいるほうが不思議なくらいだ。若者の投票率が30%もあれば、「日本の若者は真面目だなあ」と思うべきだろう。外国の若者の投票率との比較は無意味である。日本は、「周囲と政治の話がまったくできない」という国なのである。そういう状況で政治の話などする奴は、キャッチセールス同様、こちらを利用しようとする奴に決まっている。
で、若者が投票しなければ、結局若者にとって不利な政治になる、というのがお決まりのお説教だが、1億分の1とは言わなくても、選挙区の投票者総数の何万分の1にすぎない自分の票が、それほど重要とは思えないというのは自然の情だろう。
前にも書いたが、ワインを樽にひとり一杯ずつ集めて贈り物にしようとしたが、「自分だけは水を入れてもいいだろう」と全員が考えた結果、混じり気なしに水だけの樽になった、という笑い話と同じである。
これも何度も書いているが、投票率を上げたければ、国政選挙で三回棄権した人は、一生選挙権を剥奪すればいいのである。世界の人民が歴史的に血を流して手に入れた貴重な選挙権を無駄にする馬鹿に選挙権を与える必要などない。まあ、それ以前に「日常的に政治の話ができない」風土が一番の問題なのだが。


(以下引用)

「若者はどうして投票しないのか?」信濃毎日新聞11月5日
 
 今回の衆院選も投票率が低かった。55・93%は戦後ワースト3位。特に若者の投票率が低かった。18歳が51.1%、19歳に至っては35.0%という目を覆わんばかりの数値だった。
 どうして若い人たちは投票をしないのかあちこちで訊かれた。私の仮説は「受験教育のせいかも知れない」というものである。その話をする。
 受験教育では教師が問いを出し、生徒にしばらく考えさせてから正解を示す。生徒たちは「問いと正解」をセットにして記憶する。そして、次に同じ問いを前にすると、覚えていた正解を出力する。正解を知らない場合にはうつむいて黙っている。誤答をするよりうつむいて黙っている方が「まし」だからである。少なくとも教室ではそうだ。教師は黙っている生徒にはとりあわず、次の生徒に向かう。だから、「誤答するくらいなら黙っている方がまし」ということが「成功体験」として日本の多くの子どもたちには刷り込まれている。
 選挙では「誰に投票すれば正しいか」という「正解」が事前には与えられていない。若者たちの多くはどの候補者が「正しい」かを判断するほどの情報を持っていない。友だちや家族とそれについて意見交換することもたぶんあまりないだろう。だから、彼らは「正解」を知らない状態で投票日を迎えることになる。そして、受験勉強で刷り込まれた「正解を知らないときは、誤答するよりは沈黙していた方がまし」という経験則を適用する。教師に「どうしてそんなバカな答えを思いついたのだ」と絡まれずに済むし、的外れな答えを口にするよりは黙っている方がまだしも賢そうに見える。中高生には熟知された事実だ。だとすれば、「正解」を知らない選挙では投票しないことが「まし」だという結論になる。いささか暴論だが、その可能性はあると思う。
 

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