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天皇の戦争責任と日本国民としての戦争責任

「播州武侯祠遍照院」所載の、作家赤坂真理の文章の一部である。引用元は「あいば達也の『世相を斬る』」らしい。
この赤坂真理の文章は、ここに抜粋した部分以外にも興味深いところがたくさんあるが、長くなるので割愛した。
「昭和天皇の戦争責任」問題は、当時の日本人にとっては「自分自身の戦争責任」を問われる問題だった、というのがこの問題の根底ではないだろうか。(このことは私自身が別の文章の中で書いているが、他の人がそれを言うのはあまり聞いた記憶が無い。ほとんどの言論人は「無辜の民」と「戦争責任者である天皇」を無関係の存在とし、当時の一般国民を「無罪」にすることに努めているように思う。だが、日本が戦争をした以上、それに明確な反対をした人々以外は、「戦争責任」がある、と私は思う。そして、当時、明確な戦争反対の意思表示をした人は、全人口の1%もいなかったのではなかったか。)
戦後に天皇の戦争責任を言い立てた人々の中で、戦争開始時や戦時中に戦争反対を言った人がどれだけいたか、知りたいものである。
下の文章の中の「BC級戦犯」は、立場がそうなれば、自分も同じことをしていただろう、ということが当時の人なら誰でも想像できたはずだ。運よくそういう運命を免れた、というだけで自分を「まったく無罪だ」と考え、「そういう戦犯どもは自分とは関係がない」と思える人を私は嫌悪する。
もちろん、真の戦争犯罪者たち(それはむしろ戦勝国側に多い。)を憎むことに関しては、私は他人より激しいことは、私のこれまでの全ブログから分かるとおりである。

なお、「天皇陛下を裁いたら日本がめちゃくちゃになった」という言葉は、当時の日本という国を考えれば正しい見方だと思う。そして、GHQはそのことをよく見抜いており、それをうまく利用したのである。これは賢明な判断だったと私は思う。ただ、その事が「日本政治と日本国民の無責任性」を著しく増大させたことは言うまでもない。




(以下引用)



 論理的には罪を問われるべき人が罪を問われない場合、その人はよじれそのもののような存在となる。そこに人々は、自分の罪が支えられて押しとどめられているのを、無言のうちに見ていたのではないか。
  私の母は、軍国主義を信じていた子供の自分を嫌悪している、という意味のことをぽつりと言ったことがある。それと「天皇陛下を裁いたら日本がめちゃくちゃになった」と言う彼女は、同じ人であり、どこかが解離している。巨大な空白のようなものがある。
  戦争を知る多くの人にその空白があったろう。傷とはまた別の、空白、断絶。
彼らの空白を、昭和天皇は引き受けていたのではないかと思うことがある。
あるいは、彼らが、天皇に仮託したのだ。

■沈黙の理由


 母は、東京裁判の文書を見たという話のとき、こう言い放った。(第2回参照)
 「BC級だから下っ端よ」
 そのときは聞き流していた言葉に、別の側面があるかもしれないと思えたのは最近のことだ。
  BC級の文書をもし仮に見たのであれば、それはむしろ、そちらのほうがつらいことだったかもしれない。なぜならBC級戦犯の文書とは、ごくふつうの日本人の行った非道な行為であり、そちらの方が残虐だった。
 上の命令だったという人、「空気」に逆らえなかったという人、出世したかっただけの人、いじめられたくなかっただけの人、恐怖や不安に駆られた人……今の私たちともどこも変わらないようなふつうの人たち、どちらかと言えば小心で人を害するなど考えもつかなかったような人たちが、極限と閉塞のなかでどうなっていったかということがそこには克明に書かれている。その人たちに起こったのなら、今でもいつでも誰にでも、一定の条件で起こりうることとして。
 これは、今母に確かめたところで、記憶も答えもないことだが。
 そういう膨大な罪の記憶、恥の記憶、それと同時に被害の記憶、被害を被害と言えないつらさ、生き残った者の罪悪感、などなど、そういうよじれがあるとしたら、地を埋め尽くして足りないほどであるに違いない。
 人々は、被害者でもあり加害者でもある自らの姿を、ひとつの象徴として、昭和天皇に見たのではないだろうか。
  ならば、だからこそ、心の中でも、天皇を裁けなかったのではなかろうか。 自分も、免罪されるほどに罪のない存在だとは思えないから。 だから、黙った。
 誰にも内面を覗かれないようにした。
 そのとき、かの人の生身の肉体は、生き残った者たちの免罪符そのものとなり、同時に、無数とも言える生き恥を、代わってさらしてくれるものだったのではないだろうか?

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