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女性が社会で働くこと

世間のかなりな割合の人が、女性が記者になるならそういうのは覚悟の上だろ、と冷笑するかもしれないが、話は記者のことだけには限らない。
女性が社会で働く上で、セクハラとパワハラは複合しているのである。つまり、上司や取引先のお偉いさんのセクハラに抗議するとパワハラで報復されるわけだ。
ならば、女性は社会に出なければいい、と言うのなら「男女雇用機会均等法」とか「男女共同参画社会」とかいった寝言はやめるべきだろう。セクハラ親父どもを野放しにしながら、女性は社会に出ろ、などというのは、女性を労働力か奴隷としか見ていないからである。保育園不足を一向に解消しないのも同じ姿勢の表れだ。
要するに、男どもが、仕事は仕事として、仕事の場では女性に性的なアプローチをせず真面目にやればそれで済むだけの話である。もちろん、職場だけではなく、地位や権力を楯に取って女性記者を居酒屋などに呼び出すのも同じことだ。北方謙三(字はこうだったか?)の人生相談ではないが、そういう馬鹿親父エロ親父どもは「トルコへ行け」だ。


(夢人追記)ちなみに、私は古市憲寿は大嫌いだが、ここで彼が言っているのは珍しく正論だと思う。つまり、会社の上層部自体が女性記者を一種の色仕掛け的に利用しているということだ。だが、それだからといって取材対象者がその女性記者にセクハラをしてもOKという話にはならない。指弾されるべきは、女性記者の色香を仕事に利用しようという下種な心根の上層部である。つまり、加害者(セクハラ親父)も被害女性の会社上層部も下種である、という話である。味方だと思える人間がどこにもいない、というのが女性へのセクハラ事件での実態だろう。

(追記用引用)

テレ朝女性記者のセクハラ被害巡り緊迫の「とくダネ!」…古市憲寿氏に伊藤アナが反論「古市さんがおっしゃったニュアンスは違う」

19日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)で、テレビ朝日の女性記者が、18日に事実上更迭された福田淳一・財務省事務次官(58)によるセクハラの被害を受けていた問題を特集した。

社会学者の古市憲寿氏(32)は「そもそも何がセクハラを生んだかってところから考えるべき」と示した上で「政治家とか省庁の幹部をテレビ局が取材する時に取材経験はそんなにないけども、若くて可愛い女性記者を送り込むことは正直あると思うんですよ。そこで政治家と仲良くなってもらって、話をいろいろ聞き出すっていう。そもそもそのメディアの手法自体がセクハラを生みやすかった。現に多分、セクハラ自体はたくさん起こっていて、これまで黙認されてきたんだけど、こうやって明るみになったのかなっていう。この一件だけじゃないと思う」 と指摘した。

この意見に伊藤利尋アナウンサー(45)は「女性の社員を送り込んでっていうことでは、もはやない時代だと思いますし、必ずしもある種、色仕掛け的なニュアンスで今、古市さん、おっしゃいましたけど、それちょっと違うかなと」などと反論し、スタジオは緊迫した雰囲気に包まれた。

[報知 2018.4.19]
http://www.hochi.co.jp/topics/20180419-OHT1T50081.html




(以下引用)

「男性記者は私を差し出した」メディアの女性たちが声を上げられない理由









4月19日未明、テレビ朝日は記者会見を開き、同社の女性社員が財務省の福田淳一事務次官からセクハラ被害を受けたと発表した。女性社員は福田氏とのやりとりを録音しており、財務省にも正式に抗議するという。一方で、女性社員の上司が被害を公表せずに済まそうとしていたこともわかり、報道機関が抱える問題点も浮き彫りになった形だ。


報道機関でもあるテレ朝は、なぜ自社の社員の訴えを報じなかったのか。なぜ、女性は週刊誌に持ち込んだのか。


Business Insider Japanでは4月17日から18日にかけて、「緊急アンケート!メディアで働く女性たちへ。 『なぜ私たちはセクハラに遭ったことを言い出せなかったのか』というアンケートを行った。調査に協力してくれた女性のほとんどが「取材先や取引先からセクハラを受けたことがある」と回答している。にも関わらず、6割超はその被害をどこかに相談したり告発したりしていない。


見えてきたのは、上司や会社への不信感から、身動きすら取れなくなっている女性記者たちの姿だ。


セクハラにあっても言い出せない。記者ではなく女性としてしか見られないこともある(写真はイメージです)。 © 撮影:今村拓馬 セクハラにあっても言い出せない。記者ではなく女性としてしか見られないことも…

テレ朝の女性社員は約1年半前から数回、取材のために福田氏と2人で食事をとってきたが、そのたびにセクハラ発言があり、身を守るために会話の録音を始めたという。しかし、この事実を報じるべきだと訴えた女性社員に対して上司は、本人が特定され二次被害につながると考え報道は難しいと判断。被害が黙認され続けることに危機感を抱いた女性社員が週刊新潮の取材を受けた、というのが今回の経緯だ。


テレ朝の篠塚浩取締役報道局長は「セクハラの情報があったにも関わらず適切な対応ができなかったことを深く反省する 」と話している。


仕事中、食事会、タクシーやエレベーターの中でも


メディアで働く女性はどんなセクハラを受けているのか。読むのもつらい人がいるかもしれないが、まずはその実態を知って欲しい。


性的な関係の要求は、かなり露骨だ。



不倫を迫られた」(35-39、編集者、webメディア)


「タクシーで送って行くと言われ、自宅前で一緒に降りられた。終電がないから家に入れてくれと言われた」(35-39歳、フリーランス )


「同業者の40代の男性から20代の頃あからさまに「やらして」と言われた。また、20代の頃社内メールで卑猥な文章を送られた」(40代以上、フリーランス )



仕事と引き換えにされることも。



「都議に取材した際、『デートに付き合ってくれたらもっと(情報を)話すよ』と言われた」(30-34歳、記者、出版社)


広告を出してやってもいい、そのかわり君が(性的な関係を匂わせる)付き合ってくれたらとしつこくプライベートで電話がかかってきた」(40代以上、編集者、出版社)



触る、抱きつく、押し倒すなどの行為をされた人も多かった。



「県警本部長の官舎に夜回り中、押し倒されてキスをされた。抵抗すると『君が悪い』と言われた」(40代以上、記者、新聞社・通信社)


「かつて取引した男性と二人で食事し、その後強制的に押し倒され性交渉を迫られた」(30-34歳、編集者、出版社)


「ラジオの司会者が代打アシスタントの私を隣に座らせて、太ももに触れてきた」(40代以上、アナウンサー、テレビ局 )


「タクシーの後部座席で太ももを触られる、エレベーターで抱きしめられるカラオケでチークダンスなど」(35-39歳、記者、新聞社・通信社)


「カラオケで肩を組まれてのデュエット強要『その話に乗る前に、お前に乗らせろ』というオヤジギャグとセクハラのダブルパンチも」(35-39歳、記者、新聞社・通信社)



胸を触られる私を男性記者は笑って見ていた


財務省事務次官のセクハラ問題に怒りの声を上げるメディアの女性は多い。男性はどうか(写真はイメージです)。 © 撮影:今村拓馬 財務省事務次官のセクハラ問題に怒りの声を上げるメディアの女性は多い。男性は…

メディアで働く女性になぜセクハラ被害が多いのか。職場以外の場所で情報を取ったり、1対1の密な関係を築くことで本音を引き出すなど取材環境の特殊さについてはすでに報じたが、その原因の一端は、いまだ女性を記者ではなく性的な存在としてしか扱わない風潮にもある。


テレビ局の報道部で記者として働くAさん(31)は入社3年目の頃、男性の先輩記者2人に「取材の勉強になるから」という理由で、県議会議員との食事に誘われた。しかし、店に入るなり男性記者が一言。


「先生、女性連れてきましたよ」


Aさんは議員の隣に座らされてお酌をさせられ、仕事の話など何もできなかった。2軒目はカラオケのあるスナックに移動し、泥酔した議員に胸を触られた。「嫌です、やめてください」と拒絶しても、議員は笑ってごまかすだけだったという。あまりのことに驚いたが、何よりショックだったのは、信頼していた男性記者たちがその様子を笑って見ていたことだ。


「女好きで有名な議員だと後で知りました。女性が一緒にいた方が情報を取りやすいという男性記者の狙いだったんです。会社に相談はしませんでした。胸を触られたと言うのも恥ずかしいし、先輩たちみたいな人ばかりだったら何を言っても無駄だと思って。こんな風に男性記者が若い女性記者を自分の取材のために差し出すようなことは、今でもよくあります」(Aさん)


取材方法を制限されるくらいなら沈黙する


Aさんは伊藤詩織さんの告発をきっかけに、セクハラの情報を後輩らと共有するようになった。 © 撮影:今村拓馬 Aさんは伊藤詩織さんの告発をきっかけに、セクハラの情報を後輩らと共有するよう…

Bさん(30代、記者、テレビ局勤務)も過去に同じような経験をした。男性の先輩記者の取材先と食事をすることになり、その2次会で胸を触られたのだ。男性記者は助けてくれなかったどころか、取材先が酔っていたためBさんがタクシーで家まで送り届けることに。


車中ではずっと手を握られ、最後は耳を舐められた。「気持ち悪い」と思ったが、相手は先輩の取材先。関係を壊したら申し訳ないと思い、何もできなかったという。もちろん会社にも相談していない。


パワハラでも告発者に報復人事が行われていますから、社内の窓口に相談するなんてできません。それに『これだから女は』とか『面倒なやつ』と思われたくない。性別のせいで記者としての仕事にケチがつくくらいなら我慢します」(Bさん)


Bさんは女性の先輩記者からも「下心で誘ってくる人はたくさんいる。どうかわすかも含めて女性記者としてのスキル」とアドバイスされて育ってきた。ただ、これから報道を志す後輩たちには自分のようにセクハラを我慢するようなつらい体験はして欲しくないと思う。


「信頼できる男性記者に同席してもらったり、何かあれば呼んだりその場から連れ出してくれるように事前にお願いしておくなど、セクハラを防ぐ方法はあると思います。でもそうすると結局、取材相手と1対1でやり取りする機会や夜のお酒の席が減ったりして、仕事に男女差が生まれてしまう。セクハラする人たちが意識を改めるべきなのに、私たちが取材方法を制限されるのは悔しいです」(Bさん)


メディア業界はまだまだ圧倒的な男性社会だ。セクハラを防ぐ方法が、女性の仕事を制限するようであるうちは、男女の格差はいつまで経っても縮まらない。本当に変わるべきは誰だろうか。


(文・竹下郁子)






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