「泉の波立ち」から記事の一部を転載。
遺体のあった位置など、他の記事では見られない情報もあり、「死亡者のほとんどは一酸化炭素中毒であり、腹這いになって匍匐前進し、非常口が適切な位置にあったら助かった可能性もある」と他の部分に書かれているのは、冷徹で有益な意見だと思う。
この建物は消防法には違反していないというが、かなり密閉構造であったのは事実だろう。それはアニメ制作の都合上の問題かもしれないが、防火対策は本当に充分だったのか。「ガソリン散布による放火にはどんな対策も無理だ」という建築家たちの声は、「専門家」のポジショントークである可能性もあるのではないか。非常口の位置も、適切だったのかどうか。
まあ、例によってカンに障る書き方をしているところがある(「これが名探偵による推理である」など)のは、この人の個性である。
(以下引用)
ガソリンが大被害をもたらしたのはわかったが、それがここまで多数の死者をもたらしたのは、なぜか?
その問いに「爆燃現象だろう」と答える識者がいる。
では、本当に爆燃現象で被害多数になったのか? どうも、そうではないらしい。それと矛盾する証拠がいくつも上がっているからだ。(以下で述べる。)
死因を調べるには、法医学者が検死をする。ここで、一酸化炭素中毒者には、顕著な特徴が出る。皮膚が桃色になるのである。そのせいで、いちいち解剖するまでもなく、「一酸化炭素中毒による死亡」と判定できる。今回もそうであったらしい。
つまり、爆燃現象はたしかにあったのだろうが、それは直接の死因にはならず、一酸化炭素中毒が直接の死因であったようだ。火炎そのものは一瞬であるから、そのときには瞬間的な高熱が発生しても、火傷をするだけであって、即死には至らない。しかしその数秒後に、一酸化炭素中毒が発生する。ここで、数分間をかけて、死に至った……というふうに判定できそうだ。
犯人は1階の玄関付近にガソリンをぶちまけただけなのに、2階や3階で多大な被害が生じた。それはなぜか?
らせん階段があるので、これが吹き抜けのようになって、被害を拡大したのだろう……と推測した。そう書こうと思っていたら、同じことを当局もまた考えていたようだ。
→ らせん階段の位置の図
ただし、注意。らせん階段から火の手が伝わったとすれば、それは、爆燃現象とは違っていたはずだ。爆燃現象があったとしたら、爆心地から直接的に届くような場所(おおむね目で見えるような場所)だけだから、1階と、らせん階段だけだっただろう。
一方、らせん階段から離れた場所は、爆燃現象は届かなかったはずだ。ならば、らせん階段から離れた場所は、安全だったか? 実際には、そうではなかった。(以下で示す)
死者のいた場所はどこか? らせん階段のそばか? いや、逆だった。下記の記事がある。
図で明らかなように、死者のいた場所は各階ごとに、次の3箇所である。
・ 1階は、玄関からもっとも離れた場所。
・ 2階も、玄関からもっとも離れた場所。
・ 3階は、屋上につながる階段の途中。
このことは、次のことを意味する。
「火元は玄関だった。そこで巨大な火の手が上がった。爆燃現象が起こったらしい。しかし、その火の手によって即死した人はいなかった。火の手が上がったあと、人々はなおも生きていた。だから、火の手から逃れようとして行動した。1階と2階では、火の手から最も遠い方向に逃げようとした。3階では、少し火の手に近づくが、階段を経由して屋上に逃げようとした。しかしながら、それらの人々はいずれも途中で力尽きた。最終的には、一酸化炭素中毒のせいで、動く力をなくした」
これが名探偵による推理だ。本項の読者が求めていた真相である。
遺体のあった位置など、他の記事では見られない情報もあり、「死亡者のほとんどは一酸化炭素中毒であり、腹這いになって匍匐前進し、非常口が適切な位置にあったら助かった可能性もある」と他の部分に書かれているのは、冷徹で有益な意見だと思う。
この建物は消防法には違反していないというが、かなり密閉構造であったのは事実だろう。それはアニメ制作の都合上の問題かもしれないが、防火対策は本当に充分だったのか。「ガソリン散布による放火にはどんな対策も無理だ」という建築家たちの声は、「専門家」のポジショントークである可能性もあるのではないか。非常口の位置も、適切だったのかどうか。
まあ、例によってカンに障る書き方をしているところがある(「これが名探偵による推理である」など)のは、この人の個性である。
(以下引用)
爆燃現象
ガソリンが大被害をもたらしたのはわかったが、それがここまで多数の死者をもたらしたのは、なぜか?
その問いに「爆燃現象だろう」と答える識者がいる。
府警は、現場にまかれたガソリンが揮発して建物内の空気と混ざり合い、着火と同時に爆発を起こしたため、甚大な被害につながったとみている。
( → 京アニ火災死因は一酸化炭素中毒か 重症者4人重篤、男も治療中 : 京都新聞 )
日本火災学会の名誉会員で、東京理科大学大学院の菅原進一名誉教授はこの際に「『爆燃(ばくねん)現象』により炎と煙が一気に建物全体に広がった可能性がある」と指摘。被害拡大の要因になったとみている。
菅原名誉教授によると、ガソリンは揮発性が高く、室内でまかれた場合はすぐに充満し、引火すると階段などの開口部に向かって急激に炎が広がり、窓ガラスなどを破る。この際に空気が室内に流入すると、一気に燃焼が進むという。1階で爆燃現象が起こった場合、上階にいた人たちは避難する時間がほぼなかった可能性があるとしている。
( → アニメ会社放火、33人死亡 41歳男確保、殺人容疑で捜査 京都・ガソリンまく? 17人が入院:朝日新聞 )
では、本当に爆燃現象で被害多数になったのか? どうも、そうではないらしい。それと矛盾する証拠がいくつも上がっているからだ。(以下で述べる。)
一酸化炭素中毒
死因を調べるには、法医学者が検死をする。ここで、一酸化炭素中毒者には、顕著な特徴が出る。皮膚が桃色になるのである。そのせいで、いちいち解剖するまでもなく、「一酸化炭素中毒による死亡」と判定できる。今回もそうであったらしい。
死亡した33人のうち28人の死因は、一酸化炭素中毒とみられることが19日、京都府警捜査1課への取材で分かった。残る5人は焼損が激しいことから、司法解剖して死因を特定する。やけどを負うなどした重軽傷者35人のうち、4人は重篤な症状で、他にも予断を許さない人も複数いるという。
( → 京アニ火災、死因は一酸化炭素中毒か 33人死亡、重症者4人は症状重篤 確保の男も治療中(京都新聞) - Yahoo!ニュース )
つまり、爆燃現象はたしかにあったのだろうが、それは直接の死因にはならず、一酸化炭素中毒が直接の死因であったようだ。火炎そのものは一瞬であるから、そのときには瞬間的な高熱が発生しても、火傷をするだけであって、即死には至らない。しかしその数秒後に、一酸化炭素中毒が発生する。ここで、数分間をかけて、死に至った……というふうに判定できそうだ。
吹き抜け
犯人は1階の玄関付近にガソリンをぶちまけただけなのに、2階や3階で多大な被害が生じた。それはなぜか?
らせん階段があるので、これが吹き抜けのようになって、被害を拡大したのだろう……と推測した。そう書こうと思っていたら、同じことを当局もまた考えていたようだ。
第1スタジオは1階から3階までつなぐらせん階段が設置され、吹き抜けになっていた。この吹き抜け構造が火のまわりを早めた可能性があり、京都市は19日に緊急検証対策チームを設置。同消防局など連携して今後同様の建物を調査する方針だ。
( → 京アニ放火 階段の吹き抜け構造、火のまわり早めたか [京アニ放火]:朝日新聞 )
→ らせん階段の位置の図
ただし、注意。らせん階段から火の手が伝わったとすれば、それは、爆燃現象とは違っていたはずだ。爆燃現象があったとしたら、爆心地から直接的に届くような場所(おおむね目で見えるような場所)だけだから、1階と、らせん階段だけだっただろう。
一方、らせん階段から離れた場所は、爆燃現象は届かなかったはずだ。ならば、らせん階段から離れた場所は、安全だったか? 実際には、そうではなかった。(以下で示す)
死者のいた場所
死者のいた場所はどこか? らせん階段のそばか? いや、逆だった。下記の記事がある。
捜査1課によると、出火当時、建物内には従業員ら74人がいた。遺体が見つかったのは、1階で2人、2階で11人、2階と3階をつなぐ階段で1人、3階から屋上に上がる階段で19人という。上階に炎と煙が広がり、多くの人が屋上に逃げようとして死亡したとみられる。
( → アニメ会社放火、33人死亡 41歳男確保、殺人容疑で捜査 京都・ガソリンまく? 17人が入院:朝日新聞 )
図で明らかなように、死者のいた場所は各階ごとに、次の3箇所である。
・ 1階は、玄関からもっとも離れた場所。
・ 2階も、玄関からもっとも離れた場所。
・ 3階は、屋上につながる階段の途中。
このことは、次のことを意味する。
「火元は玄関だった。そこで巨大な火の手が上がった。爆燃現象が起こったらしい。しかし、その火の手によって即死した人はいなかった。火の手が上がったあと、人々はなおも生きていた。だから、火の手から逃れようとして行動した。1階と2階では、火の手から最も遠い方向に逃げようとした。3階では、少し火の手に近づくが、階段を経由して屋上に逃げようとした。しかしながら、それらの人々はいずれも途中で力尽きた。最終的には、一酸化炭素中毒のせいで、動く力をなくした」
これが名探偵による推理だ。本項の読者が求めていた真相である。
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