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老齢と想像力と創造力

私自身の別ブログに書いた記事だが、若者へのアドバイスとして適切だと思うので、ここにも載せておく。
前置きとしてイエイツの詩「時とともに知恵は来る」をうろ覚えで先に載せておく。



葉と花はあまたあれど根はひとつ

なべて我が偽り満ちし若き頃

我 葉と花を風に揺すりぬ

時と共に知恵は来る

今ぞ我真理(まこと)のうちに萎れ往かむ


(以下引用)

十代のころの私は、人間は年を取るほど賢くなる、と思っていた。知識は年々増えるのだから、考えることもどんどん妥当なものになるはずだ、と思っていたのである。もちろん、知識イコール賢さとは思わないが、間違った知識がどんどん正しい知識に置き換わっていくのだから、賢くなって当然だ、と思っていたわけだ。
だが、現在の私は、年を取ることで賢くなる部分より、失われる知的能力の方が大きいと思っている。
年を取れば、俗世間的な問題に関しては正確な知識は増え、判断も適切になることは確かだ。
つまり、事業経営や政治などに関しては、若者より老人のほうが正しい判断をすることが多いだろう。
だが、失われる最大のものは、「想像力と創造力」である。
老人が旺盛な創造性を持っている、という例は少ない。かろうじて、わずかな創造力を保っているだけである。創造力の源泉である想像力も、枯れていることがほとんどだろう。
なぜか。それは、「想像するまでもなく、知っている」からだ。
老人は世界について、ほとんど知っているし、知らないものは
「保留にしておけばいずれ分かる」
ことを知っているから、想像する必要性を感じない。したがって、想像することもない。
こうして、想像力が枯れていった結果、創造力も枯れるのである。
だいいち、自分に残された時間は少ないのだから、無駄な行為をして時間を浪費したくない。
創造に要する膨大な時間と労力を考えれば、そんなことをする気力も失うのが当然である。
かくして、「いちばんくだらない、不毛な遊びをして」老後をすごすことになるのである。


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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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