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人相と手相

次に書くのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの手記の一節である。

(以下引用)

なるほど人相は一部、人間の性格、その気質を表している。が、面にではない。(夢人注:顔の部品の配置や顔の美醜ではなく解剖学的な特徴に性格の一部が現れる、の意味か。)
(イ)快活でよくわらう人なら、唇、鼻孔、目瞼と頬との分かれぎわがはっきりしている。そのしるしがはっきりしないものは思索労働者である。(夢人注:思索家は他人と交わることが少なく、表情筋を動かすことが少ない結果か。)
(ロ)顔の造作が非常に浮き上がったり深くなったりしている人は野獣的で癇癪持ちで、理性に乏しい。
(ハ)眉間に強くはっきりした筋のある人は癇癪持ちだ。
(ニ)深い筋のある額に縦皺の入っている人は、ひそかな、あるいは表立った悩みが多い。
多くの部分について同様のことがいえるだろう。
しかし手相は? 君は大軍の兵が同時に短剣で殺されるのを見るが、[その人々の]手相はお互いに同じではない。難破船の場合も同様。(夢人注:これはその他の多くの占いも同様。占星術など、天体が地上の無数の個人の運命と結びつくはずなどない。娯楽として個人的に占いを楽しむぶんにはいいが、占い師に大金を払うのは馬鹿だろう。)

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新コロワクチン詐欺に加担する人々はその責任を取れるのか

ツィッターでやたらにワクチンを打て打てと勧めている某医師兼小説家のツィートであるが、治験不十分なのはアストラゼネカだけのことではない。
この医者が引用した文面(momoriro-z氏)では「ワクチン」と書いてあるのを、医者氏は勝手に「アストラゼネカのワクチン」とすり替えている。

(以下引用)

私は一度もアストラゼネカのワクチンを推奨などしていませんが。 そもそも日本では承認すらされていません。 私がこれまで推奨し、自分も打ちたいと言っていたのは、 日本で使用されているファイザーのワクチンです。
引用ツイート
momoiro_z
@MomoirozZ
·
治験が不十分で危険性が指摘されてたワクチンを推奨しておきながら責任をとらない見本みたいな人 twitter.com/MIKITO_777/sta…

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学校と性道徳

これは遅すぎたくらいである。もっとこの方針の決定が早ければ防げた「学校の性犯罪」は膨大なものがあるだろう。この方針は学校だけでなく塾や予備校でも踏襲すべきだと思う。私が以前勤めていた予備校でも、(噂に聞いただけだが)生徒と平気で性関係を持つ若い教師が何人もいたものだ。生徒の親からしたらたまったものではないだろう。
まあ、そういうモラルも、北欧のように「小学生にアナルセックスを教えるべきかどうか」で議論する「先進的な性道徳」の国では「後進国の性道徳」ということになり、学校での教師と生徒の性行為も当たり前になるのかもしれない。

(以下引用)

教え子との私的SNS禁止

密室指導も、文科省通知へ


©一般社団法人共同通信社




文部科学省

 教員の児童生徒へのわいせつ行為を防ぐため、文部科学省は9日、会員制交流サイト(SNS)での教え子との私的なやりとりを禁止するといったルールの厳格化を求める通知を、都道府県教育委員会などへ同日中に出す方針を決めた。密室での一対一の指導を避けることも明記。文科省関係者によると、こうした通知は初めて。


 文科省関係者によると、通知では、私的な連絡を行わないことを教委の指針で明確化するよう要請する。


 人目に付かないように子どもと一対一の状況をつくってわいせつ行為に及ぶ事例もあるとして、教室の窓に掲示物を張らないようにするなど密室状態にしない工夫を求めた。








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世界経済の完全滅亡の日

「大摩邇」所載の「in deep」記事の一部である。
グレートリセットが、全地球的な「債務免除」とセットの「すべての財産・資産の所有権放棄の強制」である(事実上は、すべての財産と資産の所有権がDSの手に移ること)なら、実体経済、つまり現金経済から遊離した帳簿の上では現在天文学的な債権と債務を抱えている金融資本家たちへの計り知れない恩恵であると同時に、市井の債権者たちがすべての債権(借金返済要求権)を失うわけである。これは国家的にも言えることで、各国政府が積み上げた膨大な政府借金(国債)は無効となり、国債所有者たちの所有する国債はただの紙切れとなり、国債を発行した連中(政府)は無罪放免となる。
これがグレートリセットの最終的な目的なら、まさにその名の通りの巨大なリセットで、新コロ詐欺はそれを実際に実現可能にしているのである。
前に「徽宗皇帝のブログ」に書いた、「5月5日に財産没収がある」というのが、この「すべての財産・資産の所有権放棄の強制」だとすれば、世界の「経済的アルマゲドン(ハルマゲドン)」までに残された日は一か月を切っているわけだ。もっとも、下の記事ではこの財産没収がカナダだけか世界同時進行かは書かれていない。
まあ、すべての人間から「財産と資産の所有権を奪う」ことが本当に可能かどうか、それで各国政府が人民の暴動を抑えられるかどうか、この話自体が誰かの単なる妄想であることを願うしかないだろう。
なお、この記事は経済的な話題なので本来は「徽宗皇帝のブログ」に載せるべきものだが、あまりにも話が巨大で妄想的にも見えるだろうから、とりあえずここに載せた。


(以下引用)赤字部分は夢人による強調。まあ、分かりやすく色付けしただけだ。


いずれにしましても、「まさに今」となって、唐突というような増加が始まっているのはなぜなのか。それは理由はわかりません。


ちなみに、今回ご紹介したすべての国で、すでにコロナワクチンの接種は進んでいます。上に出てきた国については、たとえば、4月6日時点で、


・インド 8300万人以上が接種
・ブラジル 2200万人以上が接種
・南米チリ 1100万人以上が接種


などとなっています。


これら「特定の国」で感染が拡大している理由はわからないですが(欧米の主要国はおおむね感染数が減少しています)、ふと、以前の「カナダ自由党の内部告発者が語る「Covid-21後の世界」。封鎖は過激化し…」というタイトルのメルマガにある、


> Covid-21


という言葉を思い出しました。


そこでご紹介したカナダ自由党の内部告発者のメール「だとされる」ものの一部をご紹介して締めさせていただきます。


昨年10月のメールとされますが、ワクチン接種者に対して発行される「ヘルスパス」という言葉も出ていまして、現在のワクチンパスポートの概念とわりと似ています。


そして、この流出メールが本物かどうかは関係なく、すでにこのようなことが現実に起きているという事実があります。


なお、これはあくまでカナダでのことで、他の国のことには言及されていません。




 


カナダ自由党委員からの漏洩メールとされるものから抜粋(2020年10月10日)


Leaked Email From Liberal Party of Canada Lays Out The Plan, Very Concerning


現在、あるロードマップがカナダ政府の首相府によって設定されています。設定されたロードマップは次のとおりです。


最初に主要な大都市圏からロックダウンを始め、周辺の領域に拡大していく二次封鎖(ロックダウン)制限の段階的導入。これは 2020年11月までに予定されています。すべての州および準州で隔離施設の取得(または建設)を急ぐこと。これは 2020年12月までに予定されています。


COVID-19 の毎日の新しい症例は、同じ成長曲線に続く COVID 関連の死亡の増加を含め、検査の能力を超えて急増します。これは 2020年11月末までに予定されています。


完全な二次ロックダウン(以前のロックダウンよりもはるかに厳しい制限)が、2020年12月末から 2021年1月上旬に予定されています。


予測される COVID-19 変異または二次ウイルス(COVID-21と呼ばれる)との同時感染は、はるかに高い死亡率と高い感染率を伴う第三波につながります。これは 2021年2月までに予定されています。


COVID-21 による入院、COVID-19 および COVID-21 に関連する毎日の新しい症例は、医療施設の収容能力を超えます。これは、2021年の第1四半期から第2四半期にかけて起きます。


強化されたロックダウン制限(第三次ロックダウンと呼ばれる)が実施されます。これには完全な移動と旅行の制限が課せられます。これは 2021年第2四半期中に予定されています。


サプライチェーンの崩壊が予測されます。そして、在庫不足と、大きな経済不安が続きます。これは 2021年第2四半期の後半までに予定されています。


移動のチェックポイントを確立するための主要な都市圏、およびすべての主要な道路への軍人の配置が始まり、旅行と移動を制限します。これは 2021年第3四半期までに予定されています。


本質的に国際規模での経済崩壊を相殺するために、連邦政府はカナダ人に完全な債務救済を提供するつもりです。連邦政府は、世界債務リセットプログラムとして知られるようになるものの下で、IMFによってすべての資金がカナダに提供されるすべての個人債務(住宅ローン、クレジットカードなど)を排除することを提案します。この完全な債務免除を受け入れることと引き換えに、市民はすべての財産と資産の所有権を失います。


市民はまた、COVID-19 および COVID-21 の予防接種スケジュールに参加することに同意する必要があります。これにより、完全に封鎖された状態でも、無制限の移動と生活の自由が提供されます。これは、カナダでは「ヘルスパス」と呼ばれる写真付き身分証明書を使用することにより実施されます 。


債務免除プログラムに移行するにつれて、参加を拒否した人は公安リスクと見なされ、短期間で隔離施設に移されるでしょう。


これらの施設に入ると、2つの選択肢が与えられます。債務免除プログラムに参加して解放されるか、あるいは、深刻な公衆衛生リスクの分類の下で隔離施設に無期限に滞在し、すべての資産を没収されるかのどちらかです。




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「赤」とは何か

3つ目は国民に対する不信感。少数民族や共産主義者の反乱を警戒するあまり、国軍は長年、市井の人々に疑いの目を向けてきた。


これは「徽宗皇帝のブログ」に載せた記事の一節だが、政治支配層にとって共産主義というのは恐怖の対象である。だから全力を振り絞って共産主義弾圧をしてきたわけだ。
そして、「国民敵視」というのも、上層国民の共通性である。なぜなら、彼らの力(財産)は国民からの富の収奪が基盤だから、国民が彼らを敵視するだろうと恐れているからである。つまり、国民への自らの恐怖を転写したのが彼らの「国民敵視」であるわけだ。それを象徴するのが「アカ」という言葉だ。自分たちを倒す恐れのある存在はすべて「アカ」と呼ばれるだけのことで、そこには本来の共産主義とは無縁の人々も含まれるのである。
下に、清沢冽(きよし。本当はサンズイ)の「暗黒日記」の数節を載せる。最後の「右翼化した左翼だ」は笑わせる。いったい、右翼とか左翼とかの定義は何なのか。上級国民の地位を脅かす「革命」を彼らは恐れるだけで、実は右も左も関係ないのである。(右翼は基本的に現体制を守るものであるが、その守るべき対象がそれぞれ異なるわけである。226の反乱将校たちは資本家を倒すことが皇室や国民のためである、と考えていたフシがある。では、太平洋戦争時の国家官僚は左翼だったか。資本家にとって都合の悪い「国家統制」を「赤」と呼んでいたわけだ。)

(以下引用)

同君(夢人注:半沢玉城。外交時報社長)は現在を「赤」と資本家の戦いなりといい、その旨、三菱本社に行って、話したという。資本家の不満は甚大だ。小林一三氏が官僚の赤化をいうに顧みても、彼らは非常な反感を有している。

資本家側が、現時の官僚を赤と呼ぶものが多い。小林一三氏がそうであり、半沢玉城がそうだ。

今朝の新聞では、株式取引所が官営になったことを報ず。国家社会主義ますます進行す。資本家側より共産化云々の批難出でん。

実業家は全体として、現在の統制を「赤」であり、その指令によって動いていると固く信じている。

戦争の深化にしたがって「革命」的徴候を見る。すなわちそれは「赤」である。小山亮という代議士の如きはその典型だ。右翼化した左翼だ。






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なぜSNS文章では「www」や「草」が必要か

かなり前に、内田樹が「自分は語尾にwwを付ける文章は読まない」と書いていた記憶があるが、面と向かっての会話だと表情や微妙な語調で伝わる「真意」が、ネット文章だと伝わらないわけだ。それを補うのが「www」や「草」である。(改めて説明するまでもないが、「w」は「笑い(warai)の頭文字、「草」はその「wwww」を草が生えた状態に見立てたものである。)つまり、書いた人が、冗談で書いているか本気で書いているか文面だけからでは理解できない、あるいはわざと誤解する連中への親切心が、この「w」や「草」であるわけだ。私の文章など半分はおふざけだから、とうぜんwwwだらけになる。
つまり、これはネット文章と対面での会話の違いから必然的に生まれた「文章作法」なのであって、内田樹がそれを拒否するのはネット文章そのものの否定だろう。もちろん、自分は真面目な論文しか読む気はない、というのなら話は別である。

(以下引用)漫画のコピーはしない(できない)が、要するに「調子のってんじゃねーよ」と軽口を叩いたのが、SNS上の文面だと深刻な非難に聞こえる可能性がある、という漫画である。





技術評論社の『電脳会議』にあった2コマで。 これメールが普及し始めた頃から言われてた問題だと思うんだけど、SNSやってたら絶対直面するから本当気をつけて言葉選ぶようにしてる…。

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学校教育が「精神的奴隷」を作る?

「紙屋研究所」から転載。
非常に示唆的な内容だが、まだ熟読していないので、いずれ考察したい。

早い段階で受ける落第点は「他の子たちほど頭がよくない」「学校ではよい成績がとれない」というステレオタイプを確証するものとして認識される恐れがある。

というのは黒人だけに限らないだろうが、黒人の場合はそれがかなり大きな割合で、ほとんど黒人全体に共通する事象であると思われる。つまり、前に書いたスタインベックの「奴隷の作り方」に出ていた「お前たちは劣等な存在なのだと教え込む」ことが、学校教育の黒人への「見えないカリキュラム」になっている可能性があるわけだ。なぜなら、白人と黒人では教育的な家庭環境が最初から異なり、比喩的に言えば幼稚園児を小学六年生と一緒に走らせるようなことが「白人と黒人を同じ教室で教える」ことで生じると思われるからである。

(以下引用)

ジェニファー・エバーハート『無意識のバイアス――人はなぜ人種差別をするのか』


 リモート読書会は、ジェニファー・エバーハート『無意識のバイアス――人はなぜ人種差別をするのか』(明石書店、山岡希美訳、 高史明解説)。


 

 


 著者・エバーハートの主張する「無意識のバイアス」のメカニズムを正確に理解することがまずは必要だ。

  1. 格差社会(差別社会)の中で大量の格差・差別的現象に触れることによって
  2. 脳の器質的なしくみ・構造によって引き起こされる

…というものだとぼくは理解した。


 大量の差別現象の中で起きる脳の構造によるものである以上、そういうバイアスを持ってしまうのは、その人が思想的な差別主義者だからではない。あるいは心の奥底に差別意識を持っているからではない。誰にでも起こりうることなのだ、とエバーハートは言う。


潜在的なバイアスは人種差別主義の別名ではない。実際、潜在的なバイアスの影響を受けるのに、あなたが人種差別主義者であるかどうかは関係ないのだ。潜在的なバイアスは私たちの脳の構造と格差社会がつくり出した歪んだレンズのようなものである。


(ジェニファー・エバーハート『無意識のバイアス人はなぜ人種差別をするのか』KindleNo.123-125) 


 ぼくは、この本を読んで、表題から想像される「バイアスが引き起こされる自然科学的なメカニズム」のようなものにはあまり関心を持たなかった。


 一番ぼくにとって「驚き」だったのは、米国の黒人を取り巻く状況が、依然差別的なものであるというエバーハートの説明、彼女が説く米国における黒人の状況、というものに一番「驚いた」のである。それが本書を読んでのぼくの最大の「収穫」だった。


 ぼくなりに読み取ったのは次の4点である。

  1. 黒人は依然として米国社会で警察から不当な扱いを受け、一瞬で殺されるかもしれないという危険にさらされた意識を持っている。
  2. 刑事司法においても不利に扱われ、長い拘留で借金を背負うかも、失業するかも、親権を失うかも…という不安にさらされるあまりに、それを回避するために、してもいない罪を認める「自白」をしてしまう。
  3. コミュニティや教育において依然として実質的な隔離が行われている。
  4. ビジネスや採用の場面において、黒人差別は事実上行われている。

 え? お前、つい最近起きて全米・全世界が震撼したジョージ・フロイド殺害事件やその後に起こったBLM運動をまさか知らないの? と言われそうだけども、1.〜4.をとトータルに聞くことで、黒人への差別・抑圧構図が依然として、黒人の日常的な意識を支配し規制するほどに強力なものだという認識が構成された。逆に言えばそういう認識がなかったのである。つまり早い話が、「差別はもうだいたい終わったのではないか」。これだけ衝撃を受けている、ということはぼくは結局その程度の認識をしていたということなのだろう。


 これは日本ではたぶんポイントになる点で、本書の解説でも、黒人社会の差別の現状への認識が「BLM運動への冷笑」を生んでいると述べている。


 ぼくは福岡で行われたBLMを叫ぶデモにも参加した。


 しかし、あらためて米国の黒人差別の状況の皮膚感覚について問われるなら上記のような有様なのだ。


 読書会参加者のPさんは米国で暮らしていたことがあり、黒人が暮らしている区画の状況やたいていの黒人の子どもが処世術として警察への態度を親からどう教えられるかなどについて話があった。


 もう一人の参加者Qさんは、荻上チキが本書を紹介していたのを聞いて、この「無意識のバイアス」の解決策に興味・関心を持って本書を読んだことを紹介した。


 Qさんは、本書の中で「賢明なフィードバック」という介入に注目していた。


 単なる日記を書かせたグループと、自分のアイデンティティや価値観に関わることをふりかえらせる日記を書かせたグループとでは後者の方が「明らかに高い成績を収めていた」。


この研究は特に、早い段階での学力不振に対し、より大きな心理的脆弱性を示す黒人の学生において、心理状態と学習過程の関連性を裏づけている。肯定感の利点は、平均以下の学力で最も苦しんでいる成績の低いアフリカ系アメリカ人の子どもたちの間で最も顕著であった。彼らにとって、早い段階で受ける落第点は「他の子たちほど頭がよくない」「学校ではよい成績がとれない」というステレオタイプを確証するものとして認識される恐れがある。価値観の肯定課題によって、自らの妥当性に対する感覚を回復させ、心理的ストレスを軽減させ、成績不振へ至る悪循環を断ち切ることができた。(前掲書KindleNo.3375-3380)


 さらに同じような介入として「賢明なフィードバック」がある。


 白人の教師から同じように作文の課題を与えられた黒人の生徒群と白人の生徒群をつくり、批判的なコメントをつけながら「もっとできるはずだ」というメッセージを送ると、再提出の割合が黒人群で大きく伸びた。内容も優れていた。これは黒人群ではそういう明示的な安心感・信頼感を渇望している、という解釈ができるのだと言う。


 Qさんは、「これって生活綴り方運動みたいだと思った」と述べた。自分にとって忘れがたい体験となった小学校のクラスでは先生が作文を書かせて自分の生活を見つめなおさせていた。生活を客観的に捉えさせ、そこに必要な教育的介入を与えることで、得難い体験をクラスとしてした、今でもそのクラスのことは忘れない、とQさんが述べた。


 実は、Pさんもエバーハートが刑務所で囚人たちに作文を書かせてそこに批判的なコメントをつけて激励したところ、ものすごく熱い反応が返ってきた箇所に心を打たれていた。


 PさんもQさんも、こうした差別問題に与える教育の介入というものの力に強い感動を覚えたのである。


 ただ、ぼくはそこには少し距離があった。


 それらのエピソードは、差別されている側、つまり打ちひしがれ、尊厳を失わされている人たちにとって教育は大きな力を発揮するという証明ではあるが、差別する側のバイアスを正す力に果たしてなるかどうかは疑わしい。仮になるにしても、そうした丁寧な教育や啓発によって変えられる部分は、限られている上に、なかなか手間がかかる。いや…確かに特効薬はないのだから、手間がかかるし、初めは限定的なものなのだろう。それを倦まず弛まずやるしかないのかもしれない。


 


 ぼくは、解決策として注目した部分についていえば、多様な人たちとの交流は、交流自体では偏見の除去の解決にはならず、逆に偏見を強化してしまう恐れもある、という本書の主張であった。


当時、人種バイアスは一般的に無知の産物であると考えられていたのだ。そこで、人々を互いに交流させるだけで、誰もが大まかなステレオタイプを個々の名前、顔、事実に置き換えることができ、敵対的な人種的態度を和らげることができると考えられていた。バイアスの壁が緩和されれば、社会的統合は少数派の台頭を可能にするであろうと。……


しかしながら、バイアスへの解決策を約束した学校の人種的統合は、主唱者たちが予想していなかった障壁をもたらすことになった。結局のところ、ただ単純に同じ教室に座っているというだけでは、時代遅れの偏見はなくならないのだ。……


他の人が信頼する権威のある教師から、日常的に軽蔑されることで、不平等の規範が支持されているのである。……


交流は衝突を改善するのではなく、悪化させる可能性があることを発見した。


(前掲書KindleNo.3138-3163)


 


 エバーハートが紹介する「単なる交流」の中で起きていた教師による差別は相当に露骨なものである。今日これほどの差別が許容されているとは思えないのだが、エバーハートが別のところで書いているように、「無意識のバイアス」はちょっとした表情やしぐさの中に現れ、それは社会的に伝染してしまう。だから、この部分は解決策を書いているというよりも、「交流により解決する」という「解決策」のナイーブさを指摘している箇所として読んだ。


 それは、黒人の話ではないが、例えば、日本で「同じ偏差値のような人々だけでなく多様な人がいる学校やクラスの方がいい」という主張が一理ある反面で、かえって差別感覚を助長してしまう難しさについても考えてしまった。そこにはやはり意識的な教育介入がなければ、偏見を強化してしまう危険があるのだろう。


 


 という具合に、ぼくは本書に何か解決策を見出した、という読み方をしなかったし、できなかった。差別についての現状、起きる仕組み、解決の難しさについてむしろ思い知らされるような一冊となった。


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酔生夢人
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男性
職業:
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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